「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(2022)
作品概要
- 監督:ジェームズ・キャメロン
- 脚本:ジェームズ・キャメロン、ジョシュ・フリードマン
- 原案:ジェームズ・キャメロン、リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
- 製作:ジェームズ・キャメロン、ジョン・ランドー
- 音楽:サイモン・フラングレン
- 撮影:ラッセル・カーペンター
- 編集:デヴィッド・ブレナー、ジェームズ・キャメロン、ジョン・ルフーア、スティーヴン・E・リフキン
- 出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、ケイト・ウィンスレット 他
2009年に公開され、その圧倒的なCG技術と3D体験という映画の新時代で記録的な興行収入を得た「アバター」。
実に13年の月日を経て、生みの親であるジェームズ・キャメロン監督の手によってその続編が描かれることになります。
主人公は前作から引き続いてサム・ワーシントンが努め、ナヴィの一員になった彼の妻ネイティリもゾーイ・サルダナが続投しています。
さらに今作ではジェイクの子どもたちも登場し、それぞれがドラマを展開していくことに。
超巨大プロジェクトとして約10億ドルもの予算を使って製作されているようですが、公開前からの絶賛評に加えて、チケットのプレセールもものすごい売れ行きだったとか。
大注目の作品であり公開規模も非常に大きかったですが、実際に終末に行ったらそこまで人がいませんでした。
事実、初週末の日本の興行では第3位と、世界史y¥譲渡は異なる様相のようです。
〜あらすじ〜
人間によるパンドラの侵攻と、原住民族ナヴィとの戦いは、種を超えてナヴィとともに戦ったジェイクとネイティリによって終わる。
その後二人は家庭を築き、地球へ帰らなかった有効的な人間たちを含めて森の民は繁栄した。
しかし、ジェイクの宿敵でありパンドラ侵攻のリーダーであった大佐は、磁針の記憶をメモリ化して残し、ナヴィの身体に入れ込んだクローンを残していた。
大佐は部下を引き連れて再びパンドラに攻め入る。今回は勝利と、ジェイクへの復讐を求めて。
ジェイクとネイティリは巻き込まれてしまう森の民を守るべく、家族を連れて故郷を後にし、海の民に匿ってもらえるように頼み込むのだった。
感想/レビュー
2009年のこと。今でも何となく覚えています。
「タイタニック」で世界的ヒットメーカーになっていたジェームズ・キャメロン監督が、映画鑑賞に3Dという概念をもたらし、世界中でこの青い人たちの映画が大人気に。
学校でも話題になっていましたし、一つの現象になった作品であり、間違いなく映画史において重要な位置にあると思います。
といっても個人的には映像の圧こそ感じ取ったものの、別に話としてとか映画として人生に刻まれた印象でもなく。
だからこそなぜか今更続編を作ると聞いた時にも、ついに2000年代の映画すらそのシリーズ化の波が来たのだと思っただけでした。
あんまり楽しみにもしてなかったのです。
ビジュアルと技術のアピール
正直なところ、いくら技術進歩したと言っても、(今作も担当してますが)WETAの描き出したシーザー(「猿の惑星:聖戦記」)なんかを見てしまった今となっては、果たしてそのビジュアルだけで感心できるのか不安でした。
その点、まあ普通にすごいんじゃない?という感じでした。
特筆すべきは・・・というと良く分からないです。
まあ水の表現に関してとか、各種生物についてとか。
CGで作られたゲームのカットシーンの集合体みたいな印象もなくはないのですが、でも描きこみがものすごく細かいために、実在性は信じることができます。
だから映像に飲まれていき、数十分も眺めていれば違和感も何もなくパンドラに入り込むことができるのです。
視覚に寄り掛かりすぎ
しかし、心配していたことは良くも悪くも的中してしまいました。
私にとっては映像技術のひけらかしにしか感じなかったのです。
肝心の脚本に関しては、果たして3時間以上にもわたって描くようなものなのか疑問があります。
里を離れて新たな故郷へ行く家族という西部劇のような土台。親の苦悩に思春期の友情。秘密の友達に戦争、そして復讐劇。
なんだかアバターとかパンドラとかではなくて、これまでにあった王道ストーリーの詰め合わせという感じです。
この作りこんだ世界をみせたいのは分かるのですが、描こうという話自体についてはこんなに伸ばして描くものでもないでしょう。
だから余計にスローテンポに感じますし、それぞれの交錯が見にくかった気がします。
小規模になっていく話
話としてもクライマックスへ行くにつれて純粋に大佐とジェイクの因縁、復讐の話に集約していきます。
惑星と文明から、アウトサイダーたちの物語、自然との調和。そんな前半から中盤に比べると、どうしても尻すぼみ感が否めませんでした。
正直なところジェームズ・キャメロンは自然とか生命の神秘的な部分にはあまり興味ないんじゃないかなと思います。
人間側を象徴するメカニカルなマシンや武器、兵器の方が描写してて楽しそうに思えましたし。
全体の印象は前作と変わらず、「ポカホンタス」ブルーverパート2みたいな印象です。
白人の侵略や殺戮の歴史をSFファンタジーの世界に落とし込んでいるところから、西部劇的な要素を入れ込んだ感じ。
少年少女の青春描写とか、異なるものに対しての偏見とそうした違いを超えた友情など、見やすいタイプの話であり友達や家族との鑑賞はしやすいかと。
ただしこの上映時間の長さはかなりのネックであると思います。
IMAX3Dなどの最高の状態での鑑賞が必須だと思います。そうでなければ視覚から圧倒して、その張りぼて感をごまかせない。
13年もの月日を経て描くのがこれでは正直なところ意味がないと思えました。シリーズ化していく構想もあるせいで中途半端なところもありますし、次を見たいとは思えません。
この予算と技術をもってして別のことやってほしいというのが素直な感想です。
こんなことを言っては身もふたもないのですが、3時間あったら「RRR」観てください。
感想は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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