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「コート・スティーリング」ネタバレ感想|逃げ続けた男の再生と、“もう逃げない”という選択

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「コート・スティーリング」ネタバレ映画感想 映画レビュー
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作品解説

「コート・スティーリング」ネタバレ映画感想

「ブラック・スワン」、「ザ・ホエール」などで知られる鬼才ダーレン・アロノフスキー監督が、1990年代のニューヨークを舞台に描くクライムアクション作品。

主演には、「エルヴィス」でアカデミー主演男優賞にノミネートされたオースティン・バトラーを迎え、混沌とした都市の片隅で、運命に翻弄されていく男の姿が描かれます。

キャストと人物紹介

  • オースティン・バトラー:
    主人公ハンク役。挫折と罪悪感を抱えながら、逃げ続けてきた人生と向き合う青年。「エルヴィス」、「ザ・バイクライダーズ」
  • レジーナ・キング:
    ハンクを手助けする刑事。正義感と現実的な判断の間で揺れる立場の人物。「ビール・ストリートの恋人たち」、「ウォッチメン」
  • ゾーイ・クラビッツ:
    ハンクの恋人イヴォンヌ役。彼にとっての日常と救いを象徴する存在。「THE BATMAN」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
  • マット・スミス:
    災いの発端となる隣人ラス役。軽薄さと危うさを併せ持つトラブルメーカー。「ドクター・フー」「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」
  • リーブ・シュレイバー:
    裏社会側の人物。冷酷さと理知的な雰囲気を併せ持つ存在。「スポットライト」、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」
  • ビンセント・ドノフリオ:
    マフィア側の重要人物。圧倒的な存在感で主人公を追い詰める。「フルメタル・ジャケット」「デアデビル」

タイトル「コート・スティーリング」の意味

原題の「Caught Stealing」は、野球用語で「盗塁失敗」を意味する言葉です。

また広い意味では、「チャンスをつかもうとして失敗すること」や、「一瞬の判断ミスによって状況が一変すること」を指しています。

このタイトルは、主人公ハンクが巻き込まれていく運命そのものを象徴していると言えますね。

アロノフスキー監督の新作と気づけないくらいポップなルックとコメディのような予告編でしたが監督の新作ってこともそうですし、残酷な部分は残億らしく、コーエン兄弟的なシニカルなクライムものかもと期待し、劇場へ。

公開初週で回数もあったのもうれしいところですが、そこそこ人も入っていました。

~あらすじ~

「コート・スティーリング」ネタバレ映画感想

1998年のニューヨーク。

かつてはメジャーリーグのドラフト候補に名を連ねるほど、野球の才能を期待されていたハンク。

しかし、思いもよらぬ運命のいたずらによってその夢は断たれ、現在はバーテンダーとして働きながら、恋人イヴォンヌと慎ましくも穏やかな日々を送っていた。

そんなある日、風変わりな隣人ラスから、留守中のネコの世話を頼まれる。

軽い親切心から引き受けたこの出来事をきっかけに、ハンクの平穏な日常は一変する。理由も分からぬまま、街のマフィアたちが次々と彼のもとへ押し寄せ、暴力と混乱の渦に巻き込まれていくのだ。

やがてハンクは、自分が裏社会の巨額な金をめぐる事件に巻き込まれてしまったことを知るが、もはや後戻りはできない。

警察に助けを求めながら逃げ惑う日々の中で、取り返しのつかない悲劇が起こる。

ついに堪忍袋の緒が切れたハンクは、自らをこの地獄へ引きずり込んだ隣人とマフィアたちに対し、復讐を決意する。

感想レビュー/考察

「コート・スティーリング」ネタバレ映画感想

ポップに振り切ったアロノフスキー、その中にある変わらぬ主題

ダーレン・アロノフスキー監督といえばやはり私はスポーツ映画史の中でも屈指の傑作であり、自分の中のスポーツ映画オールタイムベストにも入る「レスラー」が大好き。

「ブラック・スワン」、「レクイエム・フォー・ドリーム」、「マザー!」「ザ・ホエール」。。。いやあ見返すとスゴイ作品だらけ。

監督の特徴としては結構重苦しいテイストで、人間がとことん落ちていく様とか、ズタボロになった人間が必死にもがいていく様子などをドラマチックに描くものだと思います。

聖書の引用とか宗教的な側面があったりも。

そんなアロノフスキー監督の歴史の中で、今作はかなりポップです。もうコメディも入ってきていますし、ノリが良い。

それでも根幹には、将来に絶望し自分の罪の意識を抱えてくすぶり腐っている一人の青年が、愛のために、逃げ続けてきた人生と自分自身のトラウマに立ち向かっていく物語があります。

失われた才能と罪悪感を背負う主人公ハンク

今作の主人公のハンク。

もともとは超才能があってメジャー間違いなしの野球少年だった。

それがとある事故でけがをしてしまい、膝がダメになってしまったので夢をあきらめて今はNYCの小さな飲み屋で店員として過ごすだけ。

アルコール依存気味で口にする液体は全部ビールみたいな男で、地味に小汚い感じとか、それでももともとはいわゆるゴールデン・ボーイだったってカリスマがある。

オースティン・バトラーがとてもよく演じています。キラキラ光るはずの男ながら、小心者でビビってしまい、そして自己破壊的。

なんともみっともなく約束が守れない彼が、友人ラスのせいで様々な犯罪組織に巻き込まれていく様は、不憫コメディな部分もあって笑えます。

あまりに陰惨にはなりすぎない形にしていますが、襲い来る災難は正直笑えないレベルのモノです。

しかし全体にオースティン・バトラーのちょい軽い感じの出せる情けなさとかが打ち消してくれています。

それでいてやはり「ザ・バイクライダーズ」なんかでみせた繊細さも見えて、しょぼくれたダメ男でも立ち上がっていき、大事なものだけは守りたいというハンクの心理を本物に感じさせてくれます。

「コート・スティーリング」ネタバレ映画感想

脇役たちがもたらす混沌とスリル

彼を巻き込むことになるラス。マット・スミスが超パンクでモヒカンなだけでも意外性がすごいですけど、この人こんな頭弱いキャラも巧く演じられるんですね~笑 すごく好き。

序盤で退場してしまいますが、ハンクの恋人であるイヴォンヌを演じたゾーイ・クラヴィッツも印象的。

ロシアンマフィアやユダヤ系マフィアなど脇を固めているキャラも個性的でした。

謎解きってほどでもないにしても、ラスから託されたものはなんなのか?それが何かのカギだとしてどこで使うのか?

刑事の裏切りや急に戻ってきたラスなど、先の読めない展開が続いてスリリングです。

イヴォンヌの殺害という衝撃的な事実を序盤に置いたことで、決して誰の安全ではないというラインを早々に引き、ドタバタ劇とはいえ人は死ぬという残酷さも持ち合わせているのがバランス良いですね。

罪の正体と、逃げ続けてきた理由

ハンクが車を運転できない理由。たびたび見ている悪夢。

自身が引き起こしてしまった交通事故。事故で選手生命が絶たれたことを悔やんでいるのか?そう見えたハンクですが違いました。

彼が悔んでいたのは同乗者を死なせてしまったこと。

自分の人生が。。。これは他の人から言われているシーンがあります。

「きっとメジャーに行って大活躍していたのに。」

でもハンクが思っているのは違うのです。彼が考えていたのは、あったかもしれない自分の野球人生ではなく、失われた友人の人生。

その罪の意識から、自分はいい人生を送るべきではないとも言えるように、自虐的になった。

「コート・スティーリング」ネタバレ映画感想

逃げないことを選んだ男のラスト

そのうえ、巻き込まれとは言っても今度はイヴォンヌまで死なせてしまったとなれば、ハンクの絶望も理解できます。

ただそのラインを越えたことが彼を奮い立たせてもいる。

かつて起こした事故で、彼は同乗していた友人を死なせた。また自分に関わった人が死んだ。

次に、自分を信じて毎日寄り添ってくれている母に危険が及ぶと知って、ハンクはついに逃げるのをやめるのです。

終幕まで展開があり、ハンクは自らのトラウマと決別するように、もう一度車で事故を起こす。

ラストシーンは見事で、ハンクがNYCから離れた先で野球中継が映るTVを観ている。

それをTVをオフにして、真っ暗になった画面には彼自身が映る。

ハンクはもう逃げない。真っ直ぐ自分自身を見つめることができるようになったということです。

スクリューボールコメディのようなテンポの良い展開に、容赦ない世界とズタボロだが純粋さもある主人公。

一人の人生諦め男が、大切なもののために自分としっかり向き合い立ち上がるストーリーも含め、グッときて楽しめるいい作品でした。

今回の感想はここまで。ではまた。

コメント

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