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「ボックストロール」”The Boxtrolls”(2014)

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theboxtrolls-movie-2014-picture 映画レビュー
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「ボックストロール」(2014)

  • 監督:グラハム・アナブル、アンソニー・スタキ
  • 脚本:イリーナ・ブリヌル
  • 原作:アラン・スノウ 『Here Be Monsters』
  • 製作:トラヴィス・ナイト
  • 音楽:ダリオ・マリアネッリ
  • 撮影:ジョン・アシュリー・プラット
  • 編集:エディ・イチオカ
  • 美術:カート・エンデルデ
  • 出演:アイザック・ヘンプステッド・ライト、エル・ファニング、ベン・キングスレー、ジャレッド・ハリス、トニ・コレット、サイモン・ペグ、ニック・フロスト 他

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「クボ/KUBO 2本の弦の秘密」のライカスタジオによるストップモーションアニメーション。

アラン・スノウによる「Here Be Monsters」という小説をもとに、グラハム・アナブル、アンソニー・スタキがタッグを組んで映画化。

主人公の声をゲーム・オブ・スローンズで活躍するアイザック・ヘンプステッド・ライトが務め、その他エル・ファニング、ベン・キングスレー、ジャレッド・ハリスなど豪華な声優陣が揃っています。

アカデミー賞、ゴールデングローブ賞にてアニメ賞にノミネート、アニー賞では声優翔也美術賞を獲得と、批評面での評価も高いようです。

当時日本公開はされなかった作品ですが、ライカの特別上映としてそのほかの作品と共に東京都写真美術館ホールにて劇場公開されました。

私は廉価版のブルーレイを購入しての鑑賞となります。

Boxtrolls_1

チーズブリッジの街で、悲劇が起きた。地下に潜むボックストロールという怪物に、幼子がさらわれてしまったのだ。

それ以来街には夜間外出禁止令が出され、ボックストロール駆除を一任されているスナッチャーの一味が夜な夜なトロール狩りをしている。

彼は全てのボックストロールを駆除した暁には、名誉ある白い帽子を得ることになっているのだ。

しかし、ボックストロールたちは実際には温厚で、街のガラクタを集めては何か発明している存在。さらに、さらわれたという赤ん坊は生きており、ボックストロールとして育てられていたのだった。

boxtrolls-2014

ライカスタジオのアニメーションは振り返る形で鑑賞していますが、いつもどれもそのディテールと繊細な動きで、リッチなビジュアルを楽しませてくれます。

ちょっと毒気があって意外なグロや意地悪な表現もあったりするのですが、やはりどこかかわいらしい雰囲気で包んでくれて。

実際に存在するクレイアニメとしての暖かみがそこにあります。

今作では人間の表情などだけではなくて、この街やトロールたちの作る機械、メカニカルなものなど、スケールが大きい程、やはりCGとは異なる手触りが強調されていて味わい深い映像になっています。

The-Boxtrolls

キャラクターたちですが、まず声の魅力は大きい。

キャラクターはみんな、キャストの演技ですごく輝いていると思います。

特にスナッチャーを演じるベン・キングスレーの演技はすごく好きですね。

またそれぞれの造形も良かった。

トロールたちのルック自体はけっこうモンスターですが、その喋りとかちょこちょこした動きがかわいいです。

つまり、動いていると生き生きしている。

OPすぐに夜の街でガラクタ集めしているところでの、箱になってのアクションとかとてもかわいらしいんですよね。

実際のところ主人公のエッグスでさえ、正統派な見た目のキャラクターはいません。

子どもも大人もボックストロールもどこかヘンテコでブサイク。ただしそれがとても重要。

この作品に出てくる存在に完璧なものはいません。

どっちかと言えば醜い者であるトロールやスナッチャーが、多くの人々の注目を集めます。

boxtrolls

目を向けるところと向けないところ。

人々は軽薄で扇動されやすく、プロパガンダに乗せられて加害者になっていきます。

その対象の視点も共感もなく、汚いものには眼もくれない。

そして金持ちであるリンド卿などあのパーティに出てくるような面々も、上に立つ特権階級としての責務も果たさずただ享楽に明け暮れ、ウィニーの声に耳を貸しません。

実際、社会的弱者である赤い帽子のスナッチャーたちは、そのシステム内で抗い地位を手に入れようとするので、少し共感というか同情してしまう面もありました。

しかし、今作は子ども、エッグスたちの目線で展開され、そして最終的には革命の物語になっていくのだと思います。

ある意味で2種族の橋、メッセンジャーであるエッグスが示すのは、スナッチャーのようにシステムの中での闘いではなく、その間違ったシステム自体を崩壊させ新しい世界へ踏み出すこと。

まさに箱に閉じこもり、結局はその本質を変えられないと思っていたボックストロールたちにエッグスが与えたもの。

大人と子どもという目線はライカの持つ視点なのでしょうか。

今回は子ども側が巻き起こす革命を通して、社会構造やレッテルに向き合うお話でした。

不細工なトロールも、意地悪スナッチャーも、いびつな造形の人形たちが、ストップモーションにより生き生きと動く。

そしてそのアクションにより愛らしくなるだけで、とても良いものを観たと思う作品でした。

クレジットのとある映像は必見。自虐もおもしろいですが、苦労が分かりますね。

感想は以上になります。これからライカの過去作をもう1つレビューしようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

また次の記事で。それでは。

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