「夜に生きる」(2016)

  • 監督:ベン・アフレック
  • 脚本:ベン・アフレック
  • 原作:デニス・ルへイン
  • 製作:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・デイビソン、ベン・アフレック
  • 製作総指揮:クリス・ブリガム、デニス・ルへイン、チェイ・カーター
  • 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
  • 撮影:ロバート・リチャードソン
  • 編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ
  • 衣装:ジャクリーン・ウェスト
  • 出演:ベン・アフレック、エル・ファニング、ゾーイ・サルダナ、クリス・クーパー、クリス・メッシーナ、シエナ・ミラー 他

現行DCEUのバットマンや、今年公開した「コンサルタント」などで活躍のベン・アフレック。彼がアカデミー賞を受賞した「アルゴ」(2011)以来となる監督作品です。デニス・ルへインの小説を基に、ベンアフ自ら脚本を仕上げ、主演もしております。

助演には「ネオン・デーモン」(2016)やら「20センチュリー・ウーマン」(2016)などのエル・ファニング。ガーディアンズのゾーイ・サルダナ。また、「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」(2015)のクリス・クーパー、「アメリカン・スナイパー」(2014)などのシエナ・ミラーも出ていますね。

公開した日に観たのですけども、あんまり人いなかったなぁ。おっさん率が高い高い。

実は変な意味で興味のあった作品で、かなりベンアフがお金かけたのに、批評的にも興業的にもコケてしまったというニュースを見て以来気になっていたのでしたw

禁酒法時代のアメリカで、ギャングやマフィアなどに属さずに強盗をしていたジョー・コフリン。

ある時おそったマフィア管轄の賭博場で出会ったエマと恋に落ちるのだが、彼女はマフィアのボス、ホワイトのお抱え情婦であった。

ついにその関係がばれたとき、ジョーは殺されかけるが、警察幹部である父に守られる。しかし、愛したエマはすでにホワイトに殺されてしまったと知ったジョーは、ホワイトと敵対するマフィアへと入ることを望み、ホワイトへの復讐を胸に深く闇の世界へと踏み込んでいく。

さてと、ベン・アフレックが監督をする、脚本も書く、そして主演も。

他のキャストには大注目のエル・ファニングや、ベテランのクリス・クーパーにブレンダン・グリーソンもいます。

そしてビハインド・ザ・カメラは、撮影はタランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」(2015)のロバート・リチャードソン、「アルゴ」でアカデミー賞を獲得したウィリアム・ゴールデンバーグが編集をしております。

この映画、そういう面で観るとなんとも約束されたようなものに思えたのですが、何か欠けた印象のまま終わってしまいました。

描かれていくことが多くも、それぞれしっかり混乱せずに観れますし、支離滅裂な部分もなく。

多くのギャング映画への意識、リスペクトを感じ、望まずにしかし確実に王へと昇るマイケル・コルレオーネも、たたき上げと真っ白のスーツからのトニー・モンタナも感じさせる部分があります。

もちろん重厚なドラマが描かれており、禁酒法やKKKなどの歴史とアメリカ暗部も観れるのですから、ダメな映画というわけではないはずなのです。

しかし全体にはなにか腑に落ちない。

ただ素晴らしいキャラクターが存在するのも事実だと思います。

一番は、中盤に少し見せ場があるだけなのに、映画全体を持って行った感があるエル・ファニング。まさにアメリカの暗部、資本主義やアメリカン・ドリームの幻想に騙され搾取されすべてを奪われた少女ですね。「ネオン・デーモン」と同じく、エルがLAに行くとロクな目に合わないw

彼女の存在感と女神や聖母のような美しく優しくそして厳しい態度。自分の武器を知りつくしそれを使って人を動かすその邪悪にも思えながら、アメリカの弱肉強食で学んだ知恵が素晴らしい。

そして彼女はそれだけでなく、そんなアイドルになりつつも、どこかこの宗教プロパガンダに利用されてしまった悲哀も感じる、深みのある人物でした。

ジョーと2人話すシーンで、何も無かった時のような無垢な顔をし、涙を流します。

そこでジョーと方法は違えどアメリカン・ドリームをめざし、そしてイノセンスを失った哀れさが伝わってきました。

また、ジョーのサイドキックであるクリス・メッシーナ演じるディオンも良いキャラしてましたね。コッキーでムードメイカー、コミックリリーフの役割としても良い役で、仕事上でジョーが信頼できる人物としてそしてジョーの出自をリマインドするものとしても良いものでした。

数々のギャングスター映画に敬意を払いつつ、十分に感情を込めた魅力的な人物が登場しているのですが、私にはなぜか薄く感じてしまい、フワフワと漂った印象の作品でした。

これなんですが、比重を置いたプロットがどれか分かりづらいことや、それによってこの作品が一体何についての物語か、何を描いたものかが曖昧なことが原因かと思いました。

アメリカン・ドリームに関わらないように、ただささやかな生をと望みながらも、確実に生きたくない世界で生きることになる。そして夢を追いつつもそれに喰われ利用され。

罪の背負い、アメリカン・ドリームの嘘、成り上がりなど様々なプロットを背負いきれずに、どこかでポロポロと落としたような印象。

そして各要素が散っていて、キャストやクルーに期待するような(それぞれは良いのですが)化学反応は見れなかったと思いました。

悪いかと言えばそんなにひどく言うものではないですし、楽しめるとは思うのですが、私にはなにか柱のない豪邸のようでした。

そんなところで感想はおしまいです。それでは、また。

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