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「バービー」”Barbie”(2023)

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「バービー」(2023)

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作品概要

  • 監督:グレタ・ガーウィグ
  • 脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック
  • 製作:マーゴット・ロビー、トム・アッカーリー、ロビー・ブレナー、デヴィッド・ハイマン
  • 音楽:マーク・ロンソン、アンドリュー・ワイアット
  • 撮影:ロドリゴ・プリエト
  • 編集:ニック・ヒューイ
  • 出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、シム・リウ、エマ・マッキー、ケイト・マッキノン、マイケル・セラ、ウィル・フェレル 他

世界的に有名なバービー人形を実写映画に落とし込んだ作品。

監督は俳優でありまた「ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語」など監督としても活躍しているグレタ・ガーウィグ。

主演は「バビロン」などのマーゴット・ロビー。そして「グレイマン」などのライアン・ゴズリング、さらに「シャン・チー テン・リングスの伝説」のシム・リウがケン役で出ています。

その他ケイト・マッキノンやマイケル・セラ、エマ・マッキーにウィル・フェレルらが出演しています。

グレタ・ガーウィグ監督の新作ということに加えて、これまでも女性をテーマ/主軸にした映画で活躍、また制作も務めてきたマーゴット・ロビーの主演などかなり楽しみな作品。

北米ではクリストファー・ノーラン監督の新作「オッペンハイマー」との同時公開からバーベンハイマーなるミームも生まれていました。

そのミームがファンアートによって残念な騒動を巻き起こした点は、教養のない人間とは全員迷惑だという証明みたいなものでした。

公開がお盆期間ということもあって映画館は非常に混雑していました。

女性が圧倒的に多く、しかも若い。外国の方も多く来ていて、映画に合わせてピンクコーデの人もいました。

「バービー」のワーナー公式サイトはこちら

~あらすじ~

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女の子に革新を与え世界中から愛された人形、バービー。

女性はなんにでもなれるというメッセージを世界に届け、様々な問題は解決。バービーの世界ではそれぞれのバービーたちがハッピーにそして完璧に毎日を過ごしている。

バービーに振り向いてほしいケンたちも、そのバービーランドで一生懸命バービーにアピール。しかし状況は変わらず、ケンはケンであった。

しかしある日バービーは、よく分からない不安に苛まれる。

突然死ぬことを意識してしまったり、彼女の足もかかとが地面についてしまったり。

バービーは”変なバービー”のところへ相談に行くと、彼女の持ち主がなんらかの苦しみを抱えており、それがバービーランドに影響しているという。

隠してバービーは持ち主を探すために”リアルワールド”へ向かうことになった。

感想/レビュー

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バービー人形に対しての知識が全くないのですが、この作品はすごいものだと思います。

背景的な意味での説明も、メタや自虐ネタも楽しめますし、表層的にはハッピーな映画だという楽しさと軽さを持ちながら、ものすごいことをやっています。

そしてやはり、完璧な配役であろうマーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリングをたたえる映画です。

最終的にはそれらを統括し、この”バービー”の実写化をやり遂げて見せたグレタ・ガーウィグ監督がいかに天才かを証明しています。

バービーを実写映画にする最適解

人形であり商品で、歴史もある。このバービー人形を実写にするということ自体がなかなかの大変さがあると思います。

今作で私がもっとも評価したいのは、そんな難題をクリアして、これ以外に方法がないと思えるくらいスマートに、完璧なバービーの実写映画を作り上げたことです。

俳優を使い、人間をバービーとする。

映画の中でも触れられていますが、人形のようにパーフェクトなマーゴット・ロビーのルックスを存分に活かす。

そしてライアン・ゴズリング。「ラブ・アゲイン」でも言われてたようなPhotoshop的ルック。実際にすこしメイクも入っていますが、ちょっと現実の人間とは違う質感を持っている。

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実は見た目のつくり込みに関しては相当にレベルが高いと思います。

衣装やセットも実際にあった商品を再現しているようですが、現実世界においての浮き具合とかバランスが良いと思います。

理想郷を目指して

この虚実の入り混じる舞台を、理想郷(と思われた世界)と現実世界の対比として昇華。

理想的な女性へのエンパワーメントであるバービーランドと、その影響を受けたはずだが進歩していない現実社会。

バービーランドから抜け出して、バービーは現実を見る。

露骨な性搾取、セクハラの横行。女性の立場は良くない。

そして明言されるように、バービーは”誰にでもなれる”から”(ルックス的にも)バービーのようにあるべき”という女性への足かせにもなってしまった。

自身のアイデンティティを崩壊させられ、しかも”典型的なバービー”として特色も持たない。

このクライシスだけでも見事な描き方ですが、ガーウィグ監督はさらに議論を広げます。

男性の主体への洞察

それはケンの掘り込みです。

ケンは添え物です。”バービーとケン”であって”ケン”ではない。

そもそもの商品として、バービーがあってから生まれていて、バービーなしでは存在しない。

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ケンが現実社会にきて、男性にも主体性があること、何者かであれることに感激するという流れもひねりがあります。

フェミニズムに対して、行きすぎることなくまた男性側にも深い洞察を向けている。

露悪的に男性主義社会を見せていくので、もちろん男性優位を謳ってはいない。

逆に、それだけ男性たちが自分自身に何もなく、拠り所が”男性であること”になっていることを問題視しているのです。

ステレオタイプから脱却し、個になる

形骸化していながら暴走する”男性”。

そして重なる、自己を失ったバービー。

いつもハッピーである必要はない。完璧である必要もない。死を考えてしまったり、鬱で泣いてしまったりしてもいい。

誰かの添え物でいる必要もない。

こんなにも明るく数えきれないギャグに囲まれて、そこに男性至上主義にフェミニズムに生きることも愛も死も放り込む。

声高に意見も述べているし、やはり史上最高のバービー映画として本当に素晴らしい作品です。

グレタ・ガーウィグ監督天才過ぎて恐ろしいくらいです。お勧めですのでぜひ鑑賞を。

今回の感想はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

コメント

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