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「枯れ葉」”Fallen Leaves”(2023)

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Fallen-Leaves-Kuolleet -lehdet-movie-2023-Aki Kaurismäki 映画レビュー
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「枯れ葉」(2023)

Fallen-Leaves-Kuolleet -lehdet-movie-2023-Aki Kaurismäki

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作品概要

  • 監督:アキ・カウリスマキ
  • 製作:アキ・カウリスマキ、ミーシャ・ヤーリ、マーク・ルオフ、ラインハルト・ブルンディヒ
  • 脚本:アキ・カウリスマキ
  • 撮影:ティモ・サルミネン
  • 美術:ビレ・グロンルース
  • 衣装:ティーナ・カウカネン
  • 編集:サム・ヘイッキラ
  • 音楽:マウステテュトット
  • 出演:アルマ・ポウスティ、ユッシ・バタネン、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイブ 他

フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督による新作は、孤独な日々を送る男女が運命のパートナーを探す姿を描いたラブストーリー。

「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」と続く労働者3部作の第4弾であり、厳しい現実の中でも労働者たちが持つ生きる喜びと誇りを率直に描きます。

「TOVE トーベ」のアルマ・ポウスティ、「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」のユッシ・バタネンが不器用な二人の男女を演じ、「街のあかり」のヤンネ・フーティアイネン、「希望のかなた」のヌップ・コイブが共演。

今作は2023年・第76回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞しています。

公開館数がちょっと少なかったのですが、仕事の帰りに行けたので公開日に早速観てきました。金曜日夜でしたが、かなり人が入っていて混んでいました。

「枯れ葉」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

Fallen-Leaves-Kuolleet -lehdet-movie-2023-Aki Kaurismäki

ヘルシンキの街に住むアンサは、理不尽な出来事で仕事を失い、生活は窮地に追い込まれてしまう。

一方のホラッパは酒に溺れつつも、何とか工事現場で働いているが、いつ仕事中に飲んでいることがバレるとも分からない。

ある夜、彼らはカラオケバーで偶然出会い、お互いの名前も知らないまま、不思議な魅力に引かれ合った。

2人は一度映画を見に行ったが、ホラッパはアンサからもらった連絡先をなくしてしまった。

運の悪い偶然や過酷な現実が、彼らの身近な幸せさえも遠ざけようとしていく。

果たして彼らは再び出会うことができるのか……?

感想/レビュー

Fallen-Leaves-Kuolleet -lehdet-movie-2023-Aki Kaurismäki

アキ・カウリスマキ監督が引退を覆して描き出したシンプルだけど趣深いロマンスドラマ。

今どき珍しいくらいにクラシカルなプロットで、だからこそまずフレッシュさがあります。

そして王道さ故にカウリスマキ監督のような手腕がなければ扱いを間違えて退屈になりそうでもある。

もちろん、監督は引退中にスタイルを失ってはおらず、ここにまた1つ素敵な作品が生まれています。

表面的にはすごくゆっくりで、素朴で純化された映画。

そこにはシュールな笑いがいつも横たわっていて、騒がしくない心地よさがあります。

でも奥底、裏側には結構力強い叫びがあるのです。

登場人物たちはすごくしずかで、ふとした発言がシュールで面白い。彼らの心の中の言葉、感情表現は劇中に登場する様々な楽曲を通して示されていきます。

シャイな彼らの声を代弁するように、いろんなジャンルの音楽が流れてきますね。

実は言葉数は多いのに、喋ってセリフで何とかするわけではないためにさらりとして気持ちの良い構成です。

彼らを取り巻く背景のカラーリング、衣装や美術なども、彩度は高くないものの色数はあり、贅沢であるとか裕福であるとか言えない、アンサとホラッパの生活をすごく豊かに見せています。

Fallen-Leaves-Kuolleet -lehdet-movie-2023-Aki Kaurismäki

すれ違いながらも何となく歩み寄っていく二人の姿には、昔ながらの懐古的な空気を感じますが、絶えずウクライナの現状がラジオなどから聞こえます。

それはアンサが思わずぶつりと電源を切ってしまうほどに、聴いていて辛いものばかりです。

ウクライナの侵略、戦争は人間の争いの中でも最たる愚かしいものでしょう。

理不尽なこの事態は、きっとアンサの働いていたスーパーマーケットにも込められていますね。ちょっと笑ってしまうくらいのガン見を決めてくるおっさんです。

賞味期限切れの商品を並べている方が悪いのに、ただその商品は後でゴミに投げ入れられてしまうだけなのに。

それを持ち帰ったり、ホームレスと思われる男性に分けてあげたりしたら、それでクビになってしまう。

あほらしい理不尽さ。

OPでレジを通る食肉が、ベルトコンベアの先でぎゅっと停滞している様子が印象的です。

システムに動かされ、一方通行で身動きが取れず、そこにどん詰まり状態を作っていく。

日々の中に入り込んでいる抑圧。止まらない戦争。

カウリスマキ監督はこの素朴な作品から、そういったものへ対抗する手段を示しているのです。

それはです。

いつしか忘れてしまった、不器用でも確かにみんな持っている愛。人間にはそれがいまこそ必要なのかもしれません。

いろいろな映画への経緯も感じつつ、こんなにもシンプルまっすぐに愛を忘れないでと言える心地よい映画でした。

今回は短めの感想ですが以上。

ではまた。

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