「グレタ GRETA」(2018)
- 監督:ニール・ジョーダン
- 脚本:ニール・ジョーダン、レイ・ライト
- 製作:ローレンス・ベンダー、ジェームズ・フリン、シドニー・キンメル、ジョン・ペノッティ
- 製作総指揮:メイ・ハン、ブライアン・コーンライヒ、リチャード・D・ルイス、ピーター・ルオ
- 音楽:ハビエル・ナバレテ
- 撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
- 編集:ニック・エマーソン
- 出演:クロエ・グレース・モレッツ、イザベル・ユペール、マイカ・モンロー 他
「クライング・ゲーム」などのニール・ジョーダン監督が描くストーカーを題材とするサスペンススリラー作品。
主人公の少女を「ミスエデュケーション」などのクロエ・グレース・モレッツが、そして彼女に付きまとうフランス人女性を「未来よ こんにちは」などのイザベル・ユペールが演じています。
作品は昨年のトロント国際映画祭にてプレミア上映、北米では去年公開されました。日本公開は結構遅れての2019年11月8日とのこと。
今回は先に見る機会があったので鑑賞。ユペール様がストーカーというのも面白そうな題材でした。
ニューヨークのマンハッタンでウエイトレスとして働いているフランシス。
あるとき地下鉄で忘れ物のバッグを見つけたフランシスは、その持ち主のもとへバッグを届けに行くことに。
持ち主はグレタという一人暮らしの女性であり、フランシスは孤独な彼女を気遣い、二人は親交を深めていく。
しかしあるとき、招かれたグレタの家でフランシスはあるものを発見してしまう。それは彼女が届けたものと全く同じバッグの山であった。
バッグはそれを見つけた誰かを家まで誘い出すエサだったとしったフランシスは危険を感じ、グレタと縁を切ろうとするのだったが、グレタは執拗にフランシスに付きまとい、その行動はエスカレートしていく。
さっくりいうと、ストーカー題材のスリラー作品としてまあ平凡な印象です。
ダメな作品ってわけではなくちゃんとジャンル映画として楽しめるものの、脚本の弱さは感じますし、それを女優たちが演技でカバーした感じです。
プロットにはそこまでのサプライズもなく、またちょっと違和感を覚えるところもありますし、あくまで目配せ程度の要素も感じました。
探偵が行って殺されるとか、なんだかよくわからない「サイコ」へのオマージュも入れ込まれていますが、大きな意味があったとは思えません。
全体にはその狂気や異常性をしっかり感じ、気持ち悪さと不快さは存分に楽しめる作品ではありますが。
先ほども書きましたように、やはりクロエとユペールに大きく依存しているのは間違いないと思います。
クロエはどこか心優しさが残る少女を演じ、分かっていても抗えない母の喪失の穴埋めに自分から堕ちていく危うさを見せてくれます。
そして何より今作で強烈なのが、ノーマン・ベイツの母並みのモンスターママを演じるイザベル・ユペールです。クレイジーサイコビッチすぎて最高です。
ユペールはフィジカルには小さいですしほっそりした女性です。なので肉体的にはそんなに驚異的には見えないのですが、彼女が内包する狂気とか執着の目がとても恐ろしいです。
通りからこちらをただ見つめるだけでも強い。
それに、レストランでの暴走シーンとか、格闘とか体での部分ではなくて、何か魂レベルでこいつから逃げなきゃと思わせてくる圧があります。さすがです。
強力なユペールの存在感、本当にそこからの気味の悪さ(グロ描写のシーンとかあと部屋の真ん中でくるくる回って踊るとかゾッとしました)が堪能できる作品。
ニール・ジョーダン監督はストーカースリラージャンルにてジャンルに要求される部分をしっかり満たしていると感じます。
女優陣の演技に完成され、印象こそ残るのですが、はたして中身は期待のままというかそれ以上を何か見せてくれるわけではなかったと感じます。
節々に違和感や疑問の残っている脚本でややノイズにはなりつつも、サラっと楽しみたいときには良い作品だと思います。
どっちかといえばイザベル・ユペール目当てで観るのがおすすめな作品ですね。
感想はここまで。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それではまた次の記事で。
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