「蜘蛛の巣を払う女」(2018)

  • 監督:フェデ・アルバレス
  • 脚本:フェデ・アルバレス、スティーブン・ナイト、ジェイ・バス
  • 原作:デヴィッド・ラーゲルクランツ 「The Girl In The Spider’s Web」
  • 製作:スコット・ルーディン、エイミー・パスカル、ソーレン・シュテルモーセ、エリザベス・カンティヨン、オレ・ソンバーグ
  • 製作総指揮:デヴィッド・フィンチャー、イーライ・ブッシュ
  • 音楽:ロケ・バニョス
  • 撮影:ペドロ・ルケ
  • 編集:タティアナ・S・リーゲル
  • 出演:クレア・フォイ、シルヴィア・フークス、キース・スタンフィールド、スヴェリル・グドナソン、ステファン・マーチャント、クリストファー・コンベリー 他

ドラゴンタトゥーの女シリーズの実写映画化作品としては、スウェーデンのミレニアムシリーズに続いてのフィンチャー版に加わる3回目の制作となり、監督には「ドント・ブリーズ」(2016)のフェデ・アルバレスが抜擢されています。

主人公リスベットを演じるのは、イギリス人女優クレア・フォイ。彼女はデミアン・チャゼル監督の新作「ファースト・マン」にも出演していますね。その他「ブレードランナー2049」(2017)のシルヴィア・フークス、「ゲット・アウト」(2017)のキース・スタンフィールド、そして「ボルグVSマッケンロー 氷の男と炎の男」(2017)のスヴェリル・グドナソン等が出演しています。

天才ハッカーであり、下されない正義のために法を犯して行動するリスベット・サランデル。

彼女の元に舞い込んだのは、”ファイアフォール”というプログラムファイルの奪還だった。それは全世界の核兵器管理にアクセスできるという、持つものに神のごとき力を与えるプログラム。

リスベットはアメリカ安全保障局から容易にプログラムを盗み出すのだが、依頼主に渡す前に謎の勢力に襲われプログラムを奪われてしまう。

一方アメリカ安全保障局もプログラムの回収のため動き、リスベットは追跡を逃れつつ襲撃者を追跡する。

私はフィンチャー版「ドラゴンタトゥーの女」は観てますが、ミレニアムは未見です。

原作も読んだことがなく、このシリーズからはある程度距離のある位置での鑑賞になりました。

で、フィンチャー版を比較対象として、同主人公を扱った作品と考えると、かなりエンタメとして振りきっているような印象を受けました。

まず、全体の画作りなどに関しては、寒色も多く冷たさは感じられます。それに闇とのコントラストや色彩異常なシーン、ワイドスクリーンで広く取る画面などアートチックなショットも印象にあります。

ただ、お話の部分やその描写に関してはあまりどす黒かったり、生理的嫌悪感や見たくない残酷な人間の本性などは控えめになっていますね。

もし、フィンチャー版の系統を組んでいると期待するなら、ハマりにくいと思います。

ジャンルとしてややアクションよりに感じますし、ちょっとお話に関しても腑に落ちない箇所などもありますね。

(例えばスパイダーズがバルデルのセーフハウスを襲撃するシーン。その時点では息子がプログラムを開くために必要と知らないはずなので、バルデルに開き方を聞かなきゃいけないはずなのに、普通に撃ち殺したり。)

ハッキリと言いますと表層的です。

各人物に付加されているドラマ部分がどうしても淡白で浅く感じてしまいます。スクリーンタイムが短いのもあるんですが、何にしても今回の事件で起きたドラマというものが少なく、映画が始まる前の、つまり背景としてある過去ばかりが濃いと描写されるからだと思います。

過去の何かが、実際に感情移入できるレベルで今回のストーリーに働きかけているわけでも、それがあったからこそ起こる何かがあるわけでもないので、始まってから追いかけているファイアフォールの争奪戦と、リスベット姉妹のお話が解離しているんですよ。

色々悲しい過去があるというのも、冒頭で示されて、そのあと会話するだけ。そこには観客とキャラクターが一体となった体験はないんです。

脚本は監督自身に加えて、「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」のスティーブン・ナイトということで期待はしていたのですが、あまり良いとは思えなかったです。普通のミステリー入りのアクション映画という感じ。

アクション面でも陰謀ミステリーとしてもまあ観たことあるような作品になっていますが、1つとっても素晴らしいものを持っている作品だとは言いたいです。

それは、主演のクレア・フォイ。

彼女のおかげで最後まで観れます。彼女を得たことが一番の強みではないでしょうかね。

どうにもルックに対して中身の伴わないような感じがする人物たちの中に、クレア・フォイ演じるリスベットはまさに人間味を与えていると思います。正直この作品に心をくれたのは彼女ではないでしょうか。

基本的に感情を表す単語すらあまり口にしないですし、かなり内向的なリスベットではありますが、表情一つでそのとき彼女の中で渦巻いているものを透かして見せてくれています。強さの中の弱さや繊細さ、そして眼から伝わるのは、底にある優しさだと思います。

クレア・フォイがリードしているおかげで、リスベットは私にとっては見ごたえがありました。一つの事件を通して幼少期の記憶と決別した女性、ある意味少女から本当の意味で成長を果たしたドラマがちゃんと残ったと思います。

話がわりとざっくりだったり、もののわりに規模が小さいとか、前評判があまり良くなかったのも頷けます。ただ、素直にアクション要素の強いミステリーだと思うと、普通にエンタメ映画としていいかなと思いますね。なにより、クレア・フォイを目当てに観てみることはいいと思いますので、彼女が気になるという方はチェックしてみてください。

感想としてはこれくらいで。クレア・フォイは「ファースト・マン」も観る予定なので期待します。彼女の出演作全然観てないので、これから追ってみようかな?それではまた~

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