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「42 世界を変えた男」”42″(2013)

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「42 世界を変えた男」(2013)

  • 監督:ブライアン・ヘルゲランド
  • 脚本:ブライアン・ヘルゲランド
  • 製作:トーマス・タル
  • 製作総指揮:ジェイソン・クラーク、ディック・クック、ジョン・ジャシュニ
  • 音楽:マーク・アイシャム
  • 撮影:ドン・バージェス
  • 編集:ケヴィン・スティット、ピーター・マクナルティ
  • 出演:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・べハーリー、クリストファー・メローニ、アラン・テュディック 他

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「レジェンド 狂気の美学」などのブライアン・ヘルゲランド監督が、アメリカメジャーリーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンを描く伝記スポーツ映画。

主演は「ブラックパンサー」などのチャドウィック・ボーズマン。

また球団オーナー役にはハリソン・フォード、またジャッキーの妻役ではニコール・べハーリー、その他クリストファー・メローニやルーカス・ブラック、アラン・テュディックなどが出演しています。

公開当時友人と観に行こうかとしたものの、たしか出遅れもあって公開館が少なくなっていて断念した作品。

結局数年前にブルーレイで鑑賞しました。

今回はチャドウィック・ボーズマンの訃報を受けて、「ブラックパンサー」含め観なおし、感想を残していない作品だったのでレビューを書きます。

スクリーンでも、そしてオフスクリーンでこそより真に英雄だった彼を悼みます。

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1947年、ブルックリン・ドジャースのマネージャーであるブランチ・リッキーは、新しい時代のヒーロー、力を求めて選手を探していた。

そんな彼の目に留まったのは、ニグロリーグで活躍するジャッキー・ブラウン。

ブランチは実力あるこの才能をチームに迎えることを決めるが、ジャッキーにはあることを覚悟させた。

「誰も文句を言えない素晴らしいプレーヤーであること、紳士であること。」

これは、白人のものであるメジャーリーグに黒人選手が入ることにより、ジャッキーに対する嫌がらせや脅迫、差別的な攻撃を覚悟させ、”やり返さない勇気”を覚えてもらうためであった。

予想通り、メディア、他の選手、地元のファンなどあらゆる方面からジャッキーは攻撃を受けるが、その類まれなプレーと強靭な精神でフィールド上で実力を示していく。

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ここで描かれるジャッキー・ロビンソンの物語は、おそらく教科書に載るものです。

歴史と教育の中で語られるべき重要な話であり、偉人伝に違いありません。

あくまで主軸は野球であり、そのプレーシーンは役者の訓練と動きによって試合を観る楽しさに溢れていますが、同時にアメリカ社会を投影する場になります。

ジム・クロウ法、人種隔離制作と統合への改革、南部連合の色濃い名残(今再び問題になっていますが)など、ジャッキーがマウンドに上がれば、そのメタ的な話題が見えてきます。

焦点はアメリカ社会と野球、選手としてのジャッキー・ロビンソンに当てられ、それを中心に展開されていきます。

ボーズマンの体現するジャッキーは内なる激しい感情を抑え込み、やはり紳士的な振る舞いを持つ威厳に満ちています。

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ただしかし、その描写からは個人的な部分や内側こそ見えてきませんでした。

この作品は絶えずジャッキーを外から見ているように感じます。

おそらく、ジャッキー・ロビンソンという存在の完全性や成人としての姿に、それを守ることに、崩さずに伝えることにこだわった結果なのかと思います。

だからこそ、”素晴らしい人間”としてのジャッキー・ロビンソン。

皆(から見た)の英雄ジャッキー・ロビンソンでしかなく、非常に近しい存在や内面を見る親しみには欠けています。

それが良いのかは完全に好みの問題でしょうし、今作の目的はジャッキー・ロビンソンという存在とその影響を描くことにあるのでしょう。

差別や偏見、人間の変容をより描こうとするので、憎悪の伝播とも言える、大人の真似をしてヘイトを撒き散らす子どものシーンが入れられているのだと思います。

ジャッキーその人を掘り下げていくならば、外部状況にドラマは必要ないはずです。

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ハリソン・フォード演じるマネージャーの理解ある保護者感も既視感が強く、チームメンバーとの親交や悪役キャラの描かれ方もオーソドックス。

間違いない王道にハマっているゆえに、アメリカで野球映画としての興業収入記録を塗り替えるのも納得。

多くの人が楽しめる作品として、エンターテイメントとして上質です。

ただ私個人としては、良い偉人伝、聖人伝からは抜け出すことなく、距離を感じてしまう作品でした。

ジャッキー・ロビンソンというアイコンを守りすぎるあまり、個人のレベルまで彼と繋がることができません。

語られるべき人物と物語であるからこそ、傷をつけないことに終止し、無難な作品になっている印象でした。

ボーズマンのしなやかな身体や運動神経からくるスリリングな試合シーンなど楽しめますし、立派な存在をみて心地よい映画。

ただ、もっと欲しかったというのは拭い切れないですね。

感想は以上になります。

世界が失ったチャドウィック・ボーズマンに哀悼の意を。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それではまた次の映画感想で。

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