「ハウ・トゥ・ビルド・ア・ガール」(2019)

  • 監督:コーキー・ギェドロイツ
  • 脚本:キャトリン・モラン
  • 原作:キャトリン・モラン『How to Build a Girl』
  • 製作:アリソン・オーウェン、デブラ・ヘイワード
  • 製作総指揮:オリー・マッデン
  • 音楽: オリ・ジュリアン
  • 撮影:ヒューバート・タクザノウスキー
  • 編集:ゲイリー・ドルナー、ギャレス・C・スケイルズ
  • 出演:ビーニー・フェルドスタイン、アルフィー・アレン、パディ・コンシダイン、サラ・ソルマーニ、ローリー・キナストン 他

Beanie-Feldstein-How-to-Build-A-Girl

コーキー・ギェドロイツ監督が、キャトリン・モランの小説を元に、ある文才ある少女が自分の才能を試しながら本当の自分を探していくコメディドラマを描きます。

主演は「レディ・バード」「ブックスマート」で才覚を表している注目の俳優ビーニー・フェルドスタイン。

また主人公が出会うロックスターにはアルフィー・アレン、父親役にはパディ・コンシダインが出演。

作品は2019年にプレミア、2020年に入ってから北米でも限定公開されました。

そもそも海外でも公開規模は小さい?(コロナのせいもあるかもしれませんが)ようで、日本公開は現時点では決まっていないようです。

ビーニー・フェルドスタインの活躍もあり是非日本でも公開を望みますが、少しかかるか、配信になる気もします。

今回ちょっと先に観ることができました。

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1993年のウルヴァーハンプトン。図書館に通い詰めては様々な本を読み、自分もいつかはほんの主人公のように人生のターニングポイントが来るのかと悶々とする日々を送るジョアンナ。

彼女は文才があるが、それを発揮する場もなく、ついに自分の力を示すため待っていてはいけないと行動を決意。

ロックバンドの批評誌に仕事口を見つけ、ロックのことなど微塵も知らないにも関わらず、ギグの批評コラムを書く仕事を始めた。

そこで彼女は、辛口批評で人気を集めるオルターエゴ、ドリー・ワイルドというキャラクターになりきることに。

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コーキー・ギェドロイツ監督はこれまで多くTVシリーズやTV映画を手掛けてきたようで、そういう意味ではこれまで知らなかった監督です。

今作は行き過ぎないユーモアにあふれ、そこには確実にビーニー・フェルドスタインの力がありながら、実は誰しもが大なり小なり経験した成長の一片を切り取っています。

さらに、もともとキャトリン・モランにはフェミニズムの要素もあることからか、フェミニズムとさらに今現代の若者が目指す、ありのままの自分の需要までもを描いています。

しかしどれも湿っぽくもなく軽快で楽しい。好きになってしまう魅力のある作品なんです。

主演のビーニー・フェルドスタインのパワフルさは健在で、彼女のどこか健全さのような部分が私は好きです。

「ブックスマート」でもそうですが、下ネタに活力はあってもいやらしさがない。

一線超えてしまう家族崩壊シーンでも、なんというか醜悪にはならない感じとか、ジョアンナとドリーの間で揺れ動くときの葛藤も良いですね。

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16歳という年齢。

もちろん完全保護下の子どもではなく、しかし大人のような独り立ちもできるわけはない。非常にはっきりしない歳で、揺れ動く年。

だからこそジョアンナの行動にも共感します。

楽な道を選ぶこと。相対的な自分を作り出して、ワル、辛口キャラでいることがウケるなら、そこに徹して人気を得たい。

でもやはり自分探しなんてこの年でできるわけはなく、心の底で叫びが聞こえてしまうんですよね。

壁にかけられたたくさんの自分にとってのアイドルを、ジョアンナは塞いでいきますが、それでも心の中には自分が残る。

あの心の友達シーンや、バス停のポスターから出てくるジョンとのウォーキングシーンなど、ちょっとヘンテコでかわいいファンタジーも思春期らしく、その後で現実を見れる年だからこその残酷さもあったりで素敵です。

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いつしか社会性を気にしすぎて、自分の素直な気持ちを出すことよりも、周囲にとって良く思ってもらえることしか出さなくなる。

ありのままの自分ではなく、みんなに気に入ってもらえる自分を作り出す。

こうした過程って大なり小なり皆さん経験があるはずです。

それをどこかかわいらしくおかしく、しかしとても愛おしく残すような作品。

嫌いになれるわけがない。

ドリーではなく、ジョアンナとして発せられる「自分の想いを書くことなく、クールと他の人が思ってくれることばかり書いている。」は大人になった今こそ刺さってくる言葉でした。

今作が目指すのは全肯定。

他者からの評価による自分を越えて、自分が好きな自分を得ていくことと、その過程での失敗。

組んだものを一度崩すことも認めながら、ありのままを受け入れてくれる優しさに溢れています。

ジョアンナは自分を変えていくのではなく、自分のままでいることに自信を得るというのは、まさに現代の若者の造形。

彼氏ができるとか、男性に認めてもらうわけでもないですし。

活力に溢れたチャーミングな成長記としてすごく好意を持つ作品でした。

やっぱりビーニー・フェルドスタイン素敵。注目の俳優です。

あと今作のアルフィー・アレンの憂いある感じカッコいい。

日本でも公開されるか分からないですが、個人的にはオススメの1本です。

感想は以上。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた次の映画感想で。

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