「パラノーマン ブライス・ホローの謎」(2012)

  • 監督:サム・フェル、クリス・バトラー
  • 脚本:クリス・バトラー
  • 製作:トラヴィス・ナイト、アリアンヌ・サットナー
  • 音楽:ジョン・ブライオン
  • 撮影:トリスタン・オリヴァー
  • 編集:クリストファー・ミュリー
  • 出演:コディ・スミット=マクフィー、アナ・ケンドリック、ケイシー・アフレック、タッカー・アルブリジー、クリストファー・ミンツ=プラッセ 他

Paranorman2012-movie

「コララインとボタンの魔女」のLAIKAスタジオによるストップモーション・アニメーション作品。

「猿の惑星:新世紀」のコディ・スミット=マクフィーが主人公ノーマンの声を務めています。

また、アナ・ケンドリックやケイシー・アフレックも、ノーマンと共に謎に立ち向かうキャラクターとして出演。

ライカスタジオ作品としては2作品目であり、今回初めてカラーの3Dプリンターが使用されているとのこと。

批評家の評価は高く、アカデミー賞アニメーション賞にノミネート。

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300年前に魔女狩りが行われていた町ブライス・ホロー。

ホラー映画好きな少年ノーマンは、死者が見え話ができることが理由で、家族から問題児扱いされ、学校ではいじめられている孤独な子だった。

あるとき、死んだ叔父さんがノーマンのもとへやってきて、「魔女の呪いが迫っている。死者がよみがえる前に、呪いを解くのだ。」と言う。

ノーマンはひとりだけで、魔女の呪いを解くべくお墓で物語を読む役目を負うことになった。

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ライカスタジオのアニメーションとなると、もう安心のクオリティです。

「コララインとボタンの魔女」での世界改変の描写をそのまま繰り出しながら、人体描写にはさらにブラックなユーモアが盛り込まれ、そして気体と現象の描写やスケールに関してはさらにパワーアップしていました。

正直魔女竜巻や、最後の崩壊世界とか、本当にクールでダイナミック。上下感覚なども狂わせてくるビジュアル。

これがストップモーションアニメで、1コマづつ撮影しているとは思えない迫力とクオリティです。

また、どこか毒っけのあるキャラクターとモンスターはかわいらしく、コララインほどトラウマチックな恐ろしさもありません。

死体が出て来たり骨が付きでたりゾンビの描写もあるんですが、怖いというかかなりシンボル的。いわゆる魔女、ゾンビ像、そしていじめっ子とか思春期まっさかりのお姉ちゃん、筋トレ兄貴。

すごく各キャラの造形が誇張気味かつシンボリックです。それはこの作品の根幹にもかかわる部分であり、重要なバランスを持っていると感じました。

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この作品はホラー映画ができることを押し出していると思います。

単純に怖がって、スリルを味わうとかもそうなんですが、ホラー映画におけるモンスターとそれに対処する側の構造をうまく使っていると思うんです。

見るからにやばそうな魔女、ゾンビたち。

彼らをみてノーマンも友達も一目散に逃げだします。そして街のみんなはゾンビを皆殺しにしようと集団ヒステリーへと突入していく。

しかし、ホラーというジャンルにできることは、怖がらせることだけではありません。

それはモンスターの素性を知ったり、その根源を理解したり、なんならそうなった事へ対する同情と憐憫すらあるのです。

ホラー映画を観るうちに、どうしてそんな風に霊になったのかとか、呪いをかけることになった理由とかが明かされていくことってありますよね。

そして、そこにある真実に涙することだってあるはずです。

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この作品はそんなホラーというものを本当に素敵な形でみせてくれます。

どうしてゾンビになりさまようことになるのか、魔女が街を呪う理由とは。

モンスターは虐げられます。それは容姿が恐ろしいからというよりは、やはり人と違い、理解できない存在だからです。

ノーマンもそうでした。

死者と話すなんて彼をフリークと呼び厄介者扱い。母の言う通り、ノーマンの視点になって考える人なんていませんでした。

残酷な過去の過ちが、絶えず人を虐げ本当のモンスターにしてしまう。魔女とゾンビがいる。どうして魔女になったのか、生ける屍になったのかが重要なんです。

どうしても知らないものって怖いんです。そして怖いと敵意を向け、攻撃してしまう。周りが助長すればなおさらです。

でもおばあさんが言っていたでしょう。「ゾンビだって話し合えば分かり合えるかもしれないのに。」

「これってどんなシーン?」その答えは私たちが作り出せる。

人類史の罪から他者理解とホラーというジャンルにできることまでを、最高にリッチなアニメーションに落とし込んだ素晴らしい作品。

是非一度は見てほしいアニメーション作品でした。

感想はここまでとなります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた次の記事で。

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