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「オペラハット」”Mr. Deeds Goes to Town”(1936)

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映画レビュー
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「オペラハット」(1936)

  • 監督:フランク・キャプラ
  • 脚本:ロバート・リスキン
  • 原作:クラレンス・バディントン・ケラード
  • 製作:フランク・キャプラ
  • 音楽:ハワード・ジャクソン
  • 撮影:ジョセフ・ウォーカー
  • 編集:ジーン・ヘイリック
  • 出演:ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー 他

キャプラとクーパーが組んだ本作、「群衆」でも組む2人ですが、あいかわらずのキャプラ節。金持ち批判の田舎者純情主義です。アカデミー賞にて監督賞を獲っていますね。

部類としてはロマコメに入るんですが、最後はやっぱり民主主義を叫びたいキャプラ監督の好みに走っていきます笑 そういえばこちら、リメイクされてた・・・?

田舎町バーモンド・レークに油脂工場を持つディーズ。詩をたしなんでもいた彼の元に、ある日突然の来客がある。

大富豪の叔父が交通事故で亡くなり、多額の遺産が彼に相続されるというのだ。かくして町をでてニューヨークに住み始める彼に、いたるところからタカリとゴシップ記者が殺到。

そんな中、敏腕女性記者のベーブが彼に近づいていく・・・

プロットは同じくキャプラが監督した「スミス都へ行く」に非常に似ています。名前までそっくり(原題を直訳すると「ディーズ町へ行く」)。そういえば、ジーン・アーサーも出てるんだった。

と、まぁ内容で言えばキャプラが繰り返してきた事なんでしょう。

田舎者が都会に出る、腐った金の亡者と化した都会人に対し、純粋で人間らしい田舎者の対比。

ロマコメとしても、純粋さに漬け込む形でベーブが接近するも、心に触れ惚れてしまうというまぁお決まりなものです。

田舎者のカルチャーギャップ、タカリたちや記者のドタバタ追っかけ、そしてディーズが繰り出すのんきな騒動。すべてはコメディですので、面白おかしくテンポよく運ばれていきます。

ただ、常にあるのはメインの二人の緊張。記者であることを隠しているベーブの、膨らむ恋心と罪悪感がすこし重みを与えています。

この映画で私が面白かったのは、中盤までずっとスクリューボール的な笑いだった要素すべてを、終盤で大真面目に扱う点。まさに「ネタにマジレス」です。

それまでの面白さを楽しんでいると、ここでやたらと理屈をつけ人を異常者扱いする環境に嫌気がさします。夜でも楽しそうだったディーズは、影の多い部屋に入り暗い中にいるようになりますね。

この反則的なコメディからのシリアスドラマに、納得できるのはやはりベーブの嘘があるからかと。急な転換でも、彼女の嘘の緊張だけはシリアスに続いていた要素ですからね。

さて、逆転して変人扱いされるディーズ。たしかに、コメディ映画では良いキャラの彼も、社会ドラマが舞台だと哀れな変質者・・・

彼の失意に畳み掛ける専門家らの言葉。すべては遺産相続人の彼を潰し、金の亡者が大金を得るため。

無垢な男は、呼びつけれれ騙され傷つけられた。悲劇になってしまう終盤です。

キャプラ監督作風がしっかり入った作品なので、ここはやはり善人ディーズが優しく勝ちます。決まったことですが、例えばスミス(J・スチュアート)の民主主義演説の熱さに比べれば、クーパーの品の良さが活かされた諭しですね。

そしてキャプラの考え方そのままに、俗物的金や名声でなく、愛を選んだ締めくくり。

気分よく見終わるキャプラ映画でしたね。

同じと言えばたしかにいつも同じです。しかし確固たるスタイル、キャプラ映画として観てみるのをおススメ。それではまた。

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