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「民衆の敵」”Public Enemy”(1931)

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映画レビュー
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「民衆の敵」(1931)

  • 監督:ウィリアム・A・ウェルマン
  • 脚本:ハーヴェイ・シュウ
  • 原作:キューベック・グラスマン、ジョン・ブラント
  • 撮影:デイブ・ジェニングス
  • 出演:ジェームズ・キャグニー、エドワーズ・ウッズ、ジーン・ハーロウ 他

ギャング映画古典の中の一つで、今なお愛される作品。

キャグニー演じるキャラの嫌悪感や感情移入しづらさが、逆に突き詰められて魅力的。私個人としてはリコやトニー・カモンテの方が上に来ますが、それでも好きな人物。

トムとマットの2人は少年時代から不良だった。成長すれば自然に裏の世界へ歩んでいく。

地元のワルである、ノーズについて働き始め、泥棒を始める。しかしある仕事が失敗したとき、ノーズは2人を見捨てた。

しばらくして事が落ち着いた頃、2人はまた新たなボス、パディにつく。

そこから禁酒法時代へ進み、2人は多くのギャングが睨み合う裏社会へ走っていく。

なにが見どころか?それはキャグニー演じるトムでしょう。

貧しいとはいえ、善良な親に良き兄をもっても彼だけは悪に走る。環境からなど関係なく、生まれながらにその素質があるのでしょう。

彼の加虐的性格は前編通して変わらないです。いかに母が嘆こうと兄と衝突しようと。

グレープフルーツのシーンは印象的。自分の女であろうと気に留めず暴力をふるう・・・観ていてこの主人公に好意を持つことはないでしょう。

しかし好きでなくとも魅力的な理由は、身のこなしにある気がします。

根っからの悪。生まれながらの素質と言いましたがそれが各所に表れているんです。

マットと2人で行動するから余計に差が見えますね。握手の前に素性を知りたい、話に懐疑心を忘れない。そしてのし上がる意欲は、ボスと話すとき自分の椅子を用意するところににじみ出ています。

始末をつけるときの容赦のなさも、そこまでできるというある種の優秀さです。

キャグニーがリードする今作ですが、流れの速さも良いですね。だいたい80分に裏社会入りからのし上がり、そして末路まで入れています。さらにトムの家族模様もあり。

さんざんに悪行を働いたトムは、全く情けなく哀れな姿で放り出される。それでおしまい。

しかしそんなトムでも家族に取っては大切。愛する息子、大切な弟。

それでいてトム含め、そうやって善良な人からかけがえないものを奪うやつら、すべての民衆の敵なんですね。

そんなところでおしまい。古い映画ですがテンポよくかつ悪を美化しない秀作です。ギャング映画をまとめてみるとき一緒におすすめ。

それではまた。

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