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「ペイルライダー」”Pale Rider”(1985)

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映画レビュー
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「ペイルライダー」(1985)

  • 監督:クリント・イーストウッド
  • 脚本:マイケル・バトラー、デニス・シュラック
  • 製作:クリント・イーストウッド
  • 製作総指揮:フリッツ・マーネイズ
  • 音楽・レニー・二―ハウス
  • 撮影:ブルース・サーティース
  • 編集:ジョエル・コックス
  • 美術:エドワード・G・カーファグノ
  • 出演:クリント・イーストウッド、マイケル・モリアーティ、キャリー・スノッドグレス、シドニー・ペニー 他

イーストウッド自身が監督、主演する西部劇です。自身の出自であるマカロニから、彼はそれ含め、アメリカ西部劇も合わせ、脱構築を繰り返しますね。

今作は名作「シェーン」をなぞるようで、自身の「荒野のストレンジャー」も感じさせるものです。

なんというか、いままでの西部劇と同じであり全く違う。毎回受け継ぐ者は受け継ぎながら、イーストウッド監督感をのせてきます。

カリフォルニアの金採掘場。そこには細々と作業する村がある。しかし今や町の権力者ラフッドが、彼らの採掘場を狙い横暴を繰り返していた。

ある日村人のハルが町へ行くと、ラフッドの手下に絡まれ痛めつけられる。そこに謎の男が割って入り、手下どもを一網打尽にしてしまう。

ハルはこの男を自宅に招き、婚約者のサラもその娘のミーガンもこの男が自分たちを救ってくれると慕うようになる。

西部劇なのに寒い。今回は冬も近い設定か、寒空と霜や雪が目立ちます。どこか荒涼とし、雄大な西部の景色とはいきませんね。変わったことをするものです。

イーストウッドらしく名無しの男ですが、牧師さんです。いやしかしこの牧師怪しい。

やたらに強く、背中には銃弾の傷、それに何か過去もあるようです。そしてミーガンの読む聖書の一説、「第四の騎士」にそっくり。騎士は死を意味するもの、地獄を携えやってくる・・・

この霊的、宗教的な人物像は「荒野のストレンジャー」の主人公のようです。

しかしあのひどい奴に思える主人公と違い、ここではまさに「シェーン」のシェーン役そのもの。

権力者に踏みにじられる人たちのところに流れ着き、一緒に岩を崩し(木の根っこ)、婚約者(奥さん)に惚れられ、ミーガン(あのシェーンカムバック!の子ポジション)に慕われる。

酔っぱらった村人が喧嘩を売りに行って撃ち殺される点、最後はなにやら因縁のある相手と戦う点。

まんまシェーンですよ。

しかしシェーンが英雄伝的だったのに対して、どこか罪を感じる今作。

牧師という皮をかぶっても人を打ち殺す。聖なるものの死の裁きなのか、単に元無法者なのか。

得体のしれないもの。そういった力や恐ろしさが感じられ、まさに自然の力にすら思えてくる。

弱いものに寄り添い、団結させるのは「アウトロー」でのジョージ―よろしくイーストウッドが続けていることに思えます。しかしやや屈折してるのがまた味わいですね。

最後はシェーンのようにミーガンが遠く牧師に叫ぶんですが、シェーンでの問いをふと思い出しちゃいます。彼は死んでるの?生きてるの?

観客が抱いた質問が、ここで想起されたときちょっとドキッとしました。もしかして最初から幽霊?

終わりの音楽もなんか暗く恐ろしいんですから・・・

イーストウッド、自分のやったこともひっくるめて新しく自分色にしてしまうなんて恐ろしい男です。

彼は彼の西部劇を出してきます。

そんなところで今回はイーストウッド回でした。

ではまた。

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