「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」(1999)
- 監督:ジョージ・ルーカス
- 脚本:ジョージ・ルーカス
- 製作:リック・マッカラム
- 製作総指揮:ジョージ・ルーカス
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
- 撮影:デヴィッド・タッタータル
- 編集:ポール・マーティン・スミス、ベン・バート
- サウンド・デザイン:ベン・バート
- 出演:リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ロイド、イアン・マクダーミド 他
サーガは6の「ジェダイの帰還」で閉じましたが、ルーカス氏はもともとは前日譚を作る予定でした。
「新たなる希望」公開時の技術では難しかったらしく、エピソード1は90年代になってやっと製作されました。6からは16年経っていましたね。
世界中のファンが待ち望み、歴史上に残る熱狂が世界を包んでいました。予告のためだけに映画を見る。何週間も前から映画館に並ぶ。当日は欠勤が多すぎて会社が回らない。
様々な社会現象をおこし、そして・・・ その模様は「ピープルVSジョージ・ルーカス」を参照してください。
私が見たのは子供のころ。母に連れられ、わけもわからず映画館へ。そこから・・・いや正直に言えばやはり家で新たなる希望を見たのが始まりか・・・
遠い昔、はるか彼方の銀河系で・・・
銀河共和国の政治には腐敗が蔓延し、通商連合と周辺の惑星間では関税を巡る摩擦が起きていた。その事態に対しても腐りきって機能を失った元老議員会は対処できていなかった。
手荒な手段も辞さない通商連合は、ついに武力による交渉を見せ、惑星ナブーを包囲。その救済のため、平和の使者ジェダイの騎士が2人送り込まれる。
長らく続いてきた銀河共和国の時代に、影がかかり始めていた。
最初に思うんですが、なにこのプロローグ。
どうしたんでしょうか。これがスターウォーズ?夢見る大銀河に放り込む窓口であるはずのあのタイトルと流れる文章が、関税とか貿易とか。子供にはさっぱりですよ。
しかも最悪なことに、そのつまんない内容を、本編でも繰り返しです。とにかく座ったり立ったりべらべら良くわからんことをしゃべってばかり。だるいし長い。
それはアクションにも見られて、目玉であるはずのポッドレースも楽しめるものではないですね。CGで作られたデザイン的にすごくもないマシンが、どうしてもホームアローン的にしか見えないアナキン坊やに運転される。
ヤヴィン、流星群、エンドア、などの特撮に対してこれでは逆に後退しています。
アナキン坊やに関してですが、いやそれ含めて人物全てですが、旧作に感じられる役割とかユーモアとか。ほとんどなくなってしまいましたね。
まさに世間知らずの姫なアミダラ女王。ベイダーになると信じられない牧歌的でリアリティのないアニー。ぱっとしないオビ=ワン、ドロイドやエイリアンにもいいキャラがいない。
そして今作、いやスターウォーズが生み出した最大最悪のキャラ。ジャージャー・ビンクス。
世界中から嫌われて、ヘイトを集めに集めた人物です。ルーカスは一番のおもしろキャラと言っていましたが、言動は道化的な騒ぎですし、スベッているだけでちっとも面白くありません。
真面目なSFと思っても、このキャラが出てしゃべるだけで、その手の低予算で中身のないバカ映画に、全体のルックが下がってしまいます。
そして構成面にも問題が。
先ほど書いたように、かなり最後の方までずっと座ってしゃべるシーンが多くもりあがりに欠けていますし、子供が大活躍するコメディみたいなアナキンのシーン、ジャージャーがくそつまらないことをおもしろそうにやるシーン。どう組み替えても地獄です。
しかし良いところだって出ては来るんです。全盛期のジェダイのライトセーバーバトルです。
さすがにスタントマスターのレイ・パークだけあって、ダース・モールとジェダイ2人のバトルはかっこいいです。若干殺し合いでなく殺陣演武に見えもしますけど。
しかしその戦いがブツブツと切られ、ナブーの宮殿、通商連合とのドッグファイト、グンガンの平原での戦いが間に入ってきます。
アミダラたちの平凡な銃撃戦、アナキンが幼すぎてなんの緊張感ももてない宇宙船バトル、ただただうっとおしいジャージャーが間に入ってくるわけです。ライトセーバーバトルが楽しめない。
ビデオ買ってみるときも、早送りで終盤までとばし、ライトセーバー戦だけ見てました。6でもやはり無理があったように思えた、複数の同時進行が最悪の形で、それぞれに何の相互作用もないまま広がっているんです。
結局何がしたかったんだろう?
そもそもスターウォーズシリーズの前日譚である必要はあるのでしょうか?
この作品がなくとも、456の理解の上では何も問題はないですし、深まったバックグラウンドもないです。逆にフォースという素晴らしい概念に関して、科学的に証明、数値で表せるしょうもない物として台無しにしてくれましたが。
純粋にスペースオペラとして楽しみ、見たことのない世界に飛び込んでいけた感覚は消え、お粗末な現実感とだらだらした語りや構成、好きになれない人物が大量生産される商品のように並んでいるだけです。
はっきりと言ってしまいますが、スターウォーズとしてはもちろん、映画としても良いものではないですね。
16年の歳月が経って、生きた銀河はどこぞへと消え去り、張りぼてCGにあふれた商業用の巨大な空き箱が残っただけでした。
そんなわけで、思い出すたび腹も立ちまた残念にもなってしまうSW1のレビューでした。
あくまで個人的なことなので、これが大好きな方を否定はしません。
それでは、また。
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