「コンドル」(1975)

  • 監督:シドニー・ポラック
  • 脚本:ロレンツォ・センプル・ジュニア、デヴィッド・レイフィール
  • 原作:ジェームズ・グラディ 「コンドルの六日間」
  • 製作:スタンリー・シュナイダー
  • 製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
  • 音楽:デイヴ・グルーシン
  • 撮影:オーウェン・ロイズマン
  • 編集:フレドリック・スタインカンプ、ドン・ガイデス
  • 出演:ロバート・レッドフォード、フェイ・ダナウェイ、クリフ・ロバートソン、マックス・フォン・シドー 他

シドニー・ポラック監督作、アカデミー賞には編集賞のノミネートがありました。

フェイ・ダナウェイもゴールデングローブにノミネート。70年代に世相を反映した、ポリティカル・サスペンスの流れを持つ作品でありまして、陰謀論的映画ですね。

政治がらみなサスペンスですが、スパイ要素もあり、また巻き込まれがたとしてかなり好きな作品です。

ロバート・レッドフォードはこのほかに「大統領の陰謀」でも似たような状況に追い込まれる男を演じていますね。

ニューヨークにあるアメリカ文学史協会は、CIAの元で働く機関として日々書籍の分析をしていた。

協会には分析官たちが働いており、その中にジョセフ・ターナーがいた。少しお調子者のターナーは、毎度のように使用禁止の裏口から事務所を抜け出し、ランチに出かける。

昼食を終え事務所に戻ると、協会の同僚たちが皆射殺されていた。起きたことに動揺を隠せないターナーだったが、すぐさまCIA本部に報告、保護してくれるように頼むのだった・・・

オーウェン・ロイズマンは「フレンチコネクション」(’71)などいろいろな撮影をしている方ですが、街中の映しかたがとても好きです。

匂いを感じるっていうの分かります?自分としてはそんな表現がしっくりくる手触りの撮影です。

本作は緊張感を常に持つ作風ですね。こういったサスペンスは結構好きですが、この作品においてはターナー(コンドル)の人物設定がとても好きです。

彼は分析官としてとても優秀ですが、戦闘面に関しては全くの素人。なので敵に遭遇すること自体がかなり緊張をはらむものになってきます。

映画では何度も人と一対一で会うシーンがありますが、ほとんどの場合コンドルは自らを危険にさらすことになりますね。

ということで遭遇せずにいかに逃げ、情報を集めていくか。

その部分におけるコンドルの立ち回りは彼らしく良い気持ちです。コンロをさっとつける、回線の回し方、いちいち考えて動いている感じです。

やはりマックス・フォン・シドー演じる殺し屋とエレベーターに乗り合わせるシーンは素晴らしいです。

ただでさえ戦闘員ではないのに、刺客と密室にいるんです。あそこで若者を使うなど、コンドルも精一杯身を守ろうとします。

コンドルの立ち位置が決して完璧な善人でない点も良いですね。フェイ・ダナウェイに迫るあの感じからするに、もう必死。

ただ彼が心を許すのか、だれも信じず突っ走るのかは、大きな論点にも思えます。他人を利用するというのであれば、コンドルを狙う組織と何ら変わりは無くなってしまいますからね。

陰謀に巻き込まれた男の反撃であり、大きな体制に対し、無知ゆえに虐げられた一般人の逆襲劇でもある今作。

知らないところで好きなように社会や物事を動かし、知らぬ間に利用され処分されていく。そのシステムのあり方に勇気を出して反撃するコンドルが、この上なくカッコよく見えてきます。

最後は胸糞悪い男を追い詰めてやるわけですが、コンドルのこの先は謎。

何を信じればいいかわからない。

気付かぬところで大きな闇が広がっていて、一瞬の間にすべてが変わってしまう。

アメリカ国家という民のためにあるはずの存在が、その民に牙をむく。その中で少し古いかもしれないけれど、正しさを持っていようとするコンドル。

そりゃね、どんな時代になったとしてもこの男の正しさは変わらないです。

世界が敵に見える恐怖と、残酷なまでに人間を捨て去った組織システムの黒さを見つつ、最後は何か大切なものが残っていることを確認できるような映画。ポリティカル・サスペンスの名作です。

それでは~

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