「ファンタスティック・フォー」(2015)
作品解説
- 監督:ジョシュ・トランク
- 脚本:ジェレミー・スレイター、サイモン・キンバーグ、ジョシュ・トランク
- 原作:スタン・リー、ジャック・カービー『ファンタスティック・フォー』
- 製作:サイモン・キンバーグ、マシュー・ヴォーン、ハッチ・パーカー、ロバート・クルツァー、グレゴリー・グッドマン
- 製作総指揮:ケヴィン・フェイグ、アヴィ・アラッド、スタン・リー
- 音楽:マルコ・ベルトラミ、フィリップ・グラス
- 撮影:マシュー・ジェンセン
- 編集:エリオット・グリーンバーグ、スティーヴン・E・リフキン
- 出演:マイルズ・テラー、ケイト・マーラ、マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・ベル、トビー・ケベル 他
「クロニクル」で成功をおさめ大注目株となったジョシュ・トランク監督が、マーベルコミックの中でも初めてチームユニットとして登場した人気ヒーロー「ファンタスティック・フォー」を映画化した作品。
チームは以前にもFOXスタジオにてシリーズが作られており、今作はリブート的な立ち位置にもなるものです。
出演するのは「セッション」のマイルズ・テラー、「オデッセイ」などのケイト・マーラ、そして「クリード チャンプを継ぐ男」のマイケル・ジョーダン、さらに「リトル・ダンサー」で子役から売れていたジェイミー・ベル。
またチームの宿敵であるドクター・ドゥーム役には「猿の惑星:新世紀」で印象強いコバを演じたトビー・ケベルが出演。
ティム・ストーリー監督による2005年のものは子どものころによくTVで見ていましたが、まああちらも大傑作ではないでしょうけど楽しんでいました。複数人でのヒーローチーム、いざこざと連携などはやはりユニークですし。
リブートの話を知った時、監督もジョシュ・トランクということで期待はしたのですが、時期がね。
マッドマックスにAOU、SWep7などの2015年の中ではちょっと薄かったかも。観たは観ましたが・・・
で、最近ディズニー+にあったので本当に6年ぶりくらいに再鑑賞したのです。資格てよかったですけれど。
~あらすじ~
非常に頭がよく自身でスクラップを掘り返しては様々な部品を集めて研究を繰り返していたリード少年。
しかし次元空間移転装置なるものを作るといって、学校では先生にも呆れられ笑われていた。それでもリードの一生懸命さに、同じクラスのベンは興味をひかれ、二人はずっと一緒に研究を続けるようになった。
時は流れて二人も成長し、学生による研究発表のコンクールに出品するように。転送装置は完成をしていたものの、審査員にもよくわからず手品の類と思われてしまう。
しかし、その様子を見ていたストーム博士は、自身の研究施設に二人を招いて支援すると申し出てきた。
博士の娘であるスーザン、また息子のジョニーも加わり、以前同施設立ち上げにかかわっていたヴィクター・フォン・ドゥーム博士も戻る。
彼らは力を合わせて、安定した次元空間移転装置の完成を目指すのだった。
感想レビュー/考察
話が始まるあたりで終わる
例えば、スパイダーマンを取り上げてみましょう。
飛び切り頭のいい若い人間が、事故的に超パワーを手に入れる点で似ているので。
- クモに噛まれる
- 超人パワー発生
- だんだんと慣れる
- 人助けに使う
- ヴィランとバトル。
とまあこんな感じが筋ですね。
で、今作は上記のフローの中で、クモに噛まれるまでが70%くらいです。
そして超パワーを手に入れたのが驚きもなく出てきて、慣れとは何だといわんばかりに先へと進み、人も助けずにヴィランと戦って終わります。
マジで意味が分からない。
スーパーヒーロー映画でありながらもその要素を感じることができませんでした。
特に自分としてはその超人的な力を使用する際に、善の行為をすることは非常に大切と考えている人間なので、納得いきません。
軍事利用されるというのであれば、ミッション中に指示に従わずに民間人救助するなどいれることもできるでしょうに。
青春×超能力が機能不全を起こしている
そもそも今作はコンセプトが不透明です。
各キャラクターの年齢設定は高校~大学生くらいに若くなっており、青春ドラマのような様相を見せています。
じゃれあいやちょっとした恋愛模様と嫉妬を織り交ぜながらの研究プロセスは青春のそれですが、時間がかかりすぎています。
ここで群像劇を描くほどに、肝心のヒーロー要素であるスーパーパワーまでの道が長くなるわけですから。
で、実際のところその模様も別に楽しくはないのです。
ジョシュ・トランク監督の「クロニクル」で何が青春描写として楽しかったかって、有り余るパワーを持った若者がバカふざけしてるところでした。
それを狙ったのかもしれないのですが、スーパーパワーに対して治療を考える設定だったり、描写としても(特にリード)グロ目な感じでモンスターホラーテイストだったりで落ち着きません。
掘り下げていく気があるのかわからない青春恋愛描写部分や、序盤大親友ですすんできたベンをわりと何の説明もなしに放置していて、ザ・シングを入れることを思い出したかのように急に呼び出すなど、丁寧さが足りなさすぎです。
超人パワーも説明がなく、それは言葉でも映像でもあまりに足りていない。
限界点と特徴や弱点を示さないからこそ、それらを補い合って活躍するチームヒーローの味も出ない。
ドクター・ドゥームの能力がどこまでできるのかもよくわからない超絶なものになっているため、終盤は手を抜いているとしか思えませんし、上述の通り各人のユニークさが視覚的なところ以外なく、チームプレイも何をしているのかわからない。
変なロジックで勝ってそのまま終わりました。
「クロニクル」よろしくななんだか暗くて重くて曇りがかった感覚がつづき、そのまま失望に溶けていく全く晴れ晴れとしない映画。
スーパーヒーロー映画でもないし、スタートとしてもひどすぎる。
現在となってはこの悲惨な失敗を受けて本作の続編の構想や製作はなくなっており、またFOXはウォルト・ディズニー傘下になったことから、同グループ内のマーベルエンタテイメントはMCUの中でまた別に「ファンタスティック・フォー」を作り上げていくようです。
なので完全に今作はこれきりなんですね。まあ良いですが。
ということで結構な酷評になりましたが、擁護する点もないので仕方なし。単純に監督選抜ミスかなと思いますが、のちの「カポネ」含めてジョシュ・トランクが心配に。
感想はこのくらいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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