「ニュー・ミュータント」(2020)

  • 監督:ジョシュ・ブーン
  • 脚本:ジョシュ・ブーン
  • 製作:サイモン・キンバーグ、ローレン・シュラー・ドナー
  • 音楽: マーク・スノウ
  • 撮影:ピーター・デミング
  • 編集:アンドリュー・バックランド、マシュー・ランデル、ロブ・サリバン、
  • 出演:ブルー・ハント、アニヤ・テイラー=ジョイ、メイジー・ウィリアムズ、チャーリー・ヒートン、ヘンリー・ザーガ、アリシー・ブラガ 他

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「ハッピーエンドが書けるまで」や「きっと、星のせいじゃない」のジョシュ・ブーン監督が、FOXスタジオにより長らく展開されてきたX-MENシリーズのスピンオフとして若きミュータントたちを描いた作品。

主演はTVシリーズを中心に活躍し今作で初めて長編映画出演となるブルー・ハント、また「ウィッチ」「スプリット」のアニヤ・テイラー=ジョイ、彼女と「マローボーン家の掟」で共演しているチャーリー・ヒートン。

その他「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目を集めたメイジー・ウィリアムズも出演しています。

一番初めに情報が出たのって、「ローガン」のころかでしたっけ?ポスターやビジュアルが出てきて、若いという点とホラー要素が強そうだという点が印象に残っていました。

しかし今作は2018年公開予定が伸びに延び、結局2020年に北米公開、日本では劇場公開はなくなってしまい配信にての公開になりました。

正直X-MENシリーズはまあ「ダーク・フェニックス」で締め、また「ローガン」という傑作があればもういいかなと思っていたのでそこまで興味がなかったです。

もちろんアニヤ・テイラー=ジョイが出ているとかは魅力でしたけれど。今回はディズニープラスに無料配信があったので鑑賞してみました。

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ある夜、ダニーは父に起こされる。巨大な竜巻が彼女の住む町を襲い、非難するように言われた。

状況のつかめぬままに父と家を離れたダニーだったが、父は彼女の制止を聞かずに他の人を助けに行ったことで死んでしまった。

ダニーは竜巻から逃げるように走ったが、それはうなり声をあげながら彼女を追いかけてきた。そしてダニーは坂を転げ落ちて気絶した。

目覚めると病院のような施設で、ベッドに拘束されているダニー。

主治医というレイエスはダニーはミュータントでありその力の正体と制御法を見つける手助けをするという。

ダニーは他にも能力を持つ若いミュータントたちと施設で共同生活を始めるが、施設はレイエスが作り上げたエネルギーフィールドで包まれており、実際には監獄のようになっているのだった。

そして、しばらくしてから怪奇現象が起き始める。

入居している他のミュータントたちの過去の亡霊ともいえるモンスターが現れ、皆を襲い始めたのだった。

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X-menは大本としては人種差別と超能力ヒーローを掛け合わせたコミックだと認識しています。

そして今作はそのなかでも超能力側について、思春期の経過や自己認識を織り混ぜた作品になっていると感じました。

主人公としてのダニーが自らのスーパーパワーを理解し、ついにはコントロールしていくこと。

これはまさに”できること”が増えて力が有り余りながらも、それを持てあまし時に制御できないという思春期の十代そのものです。

そこには超能力という要素が象徴的におかれてはいますが、さらにジョシュ・ブーン監督超能力の暴走という点でホラーの要素を入れ込んでいるというわけです。

ただはっきりと言えば、恋愛的な要素を入れてもクラシックなところの「キャリー」 、また超能力と自己解放では、「テルマ」には及ばなかったと思います。

もしそれらと差別化して昇華できる点あるとすれば、おそらくコミックヒーローものだという点です。

しかしそこも、ティム・バートンのゴシックモンスター的な造形も、巨大な熊さんも恐ろしいというところまではいかず、またその戦いも特段素晴らしいアクションではありませんでした。

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正直要素はすべて揃っていると思います。

様々な過去に関しては中身は置いておくとして、それを背負う役者は揃っていますし、それぞれ素晴らしい力を持っています。

ジレンマからのドラマ性も引き出す余地は大いにあり楽しめるものです。

まずアニヤ・テイラー=ジョイ演じるイリアナについて、彼女は過去に虐待を受けて、相手を皆殺しにした復讐者です。

彼女の恐れはもちろんあの笑う男たちですが、同時に自分が(研究所が望む通りの)殺し屋になっていくこともあるはずです。

そしてメイジー・ウィリアムズが演じているレイン。

ミュータントとしてだけでなく、同性愛者という自己が、進行する宗教と板挟みになり苦しむこともあるはず。

ただ両者共にあくまで眼前の恐怖の対象にしかドラマがもたらされていない気がして、非常にもったいなく感じます。

LGBTQフレンドリーなレインとダニーのシーンはこころから素敵と思えるところ。

ここはジョシュ・ブーン監督の、困難な(絶望的な)状況を共有する者同士の間で生まれる運命共同体としての愛。

純粋に美しい掛け合いとか繊細なシーンで、手腕が活かされていると思います。

ただ、それもレインの恐怖はミュータントであることなのか、同性愛者であることから来るものか曖昧です。

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そして最大の問題点と感じるのは、チームものとして、グループの青春映画としての弱さです。

ぶつかり合いながらも・・・という感じでまとまるかと思うとそこまででもない。

みんな一様に過去の傷と恐怖、罪悪感を感じているわけですから、痛みを知るものたちとしての結束があっても良いのかと感じます。

そしてやはり超能力チームなわけなんで、どうせならそれぞれの力と能力を組み合わせて、相乗効果を狙うべきかなと。

一人では無理でも、それぞれで補えば解決するような。

けっしてダメだというものではないんです。

それぞれのセクションはなかなかに良いのと、役者と題材選びこそ素晴らしいと思います。

ただそれらを活かしきれておらず、シナジーではなくて邪魔しあうような印象が残る作品でした。

実際今作はこの続きも気になるという作品ですが、ディズニーにおいてのFOX製X-Menはもうないと思うので、ちょっと残念です。

思っていたより全然悪くなくてまあ楽しめるとは思うのですが、ポテンシャルを感じ爆発的な力を秘めているからこそ余計に惜しい作品です。

もし興味が少しでもあるなら、その原石のような光には触れてほしいのでご鑑賞を。

今回の感想はこのくらいになります。できれば今作の続編を作り、もっともっと掘り下げていって青春超能力映画として楽しみたいですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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