「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」(2017)
作品解説
- 監督:リュック・ベッソン
- 脚本:リュック・ベッソン
- 原作:ピエール・クリスタン、ジャン=クロード・メジエール 「ヴァレリアンとローレリーヌ」
- 製作:リュック・ベッソン、ヴィルジニー・ベッソン=シラ
- 製作総指揮:マーク・ギャオ、ジン・ドン、グレゴリー・ウェノン、JC・チェン
- 音楽:アレクサンドル・デスプラ
- 撮影:ティエリー・アルボガスト
- 編集:ジュリアン・レイ
- 出演:デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、クライヴ・オーウェン、リアーナ、イーサン・ホーク、ハービー・ハンコック 他
「フィフス・エレメント」(1997)のリュック・ベッソン監督によるSFファンタジー映画。こちらはフランスのコミックを原作とした映画化になっており、ベッソン監督の長年の夢の企画だとか。
音楽にアレクサンドル・デスプラが来ていたりと結構豪華。
主演には「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2012)などのデイン・デハーン、そしてヒロインを「スーサイドスクワッド」(2016)のカーラ・デルヴィーニュが演じ、クライヴ・オーウェン、リアーナ、イーサン・ホークも出演しております。
こちらTOHO日比谷で観ましたが、ある程度若い観客が多く、といっても学生っぽい人はいませんでしたが、かなり混雑していました。
~あらすじ~
全宇宙の治安を守るために活躍する捜査官であるヴァレリアンとローレリーヌ。
2人はコンビを組んで様々な任務にあたっていたが、ある任務で回収した対象物は、記録では30年も前に消滅したはずの文明のものだった。
その文明のあった星に関する記録には権限がかけられており、2人の上司ですらもアクセスができない。
一方全宇宙の文明が集結している巨大宇宙ステーション、”千の惑星の都市”の中枢部では謎の放射線物質が肥大化しており、このままだと正体不明のエネルギー体によって”千の惑星の都市”は崩壊の危機にあるという。
ヴァレリアンとローレリーヌはその原因を特定、排除する任務を与えられ、そこで失われた文明についての闇を知っていく。
感想レビュー/考察
リュック・ベッソン監督が「フィフス・エレメント」を撮ったときから、構想していたという今作。私の印象としては、現代の今にアップデートせずにそのまま、ある意味で時代を保存したような作品でした。
全体に良い作品とは言えません。
台詞もちょっとダサめ、掛け合いのゆるさも微妙なコメディトーンで、ストーリーに関しても使い古されたようなものでした。
優秀なのに軽口ばかりのヒーロー、男勝りでも内心は乙女なヒロイン、悪い上層部など人物に関しても見飽きたような感覚ですね。
展開の抑揚や脚本で巧いということはないです。
しかし映像面ではさすがにCG技術もあって色々なスケールと造形、また擬似的にでもロングカット風に見せたりと、楽しいところは多かったと思います。
ヴァレリアンが街の中を追走するときのショートカット、細い道をジェットに乗ってすり抜けていくチェイスなどはアトラクション的な楽しさがあったと思います。
なによりも、そうした見た目に関わる部分で、ちゃんとSFファンタジーしていたということです。
海に砂漠、海底や大都市から洞窟。さまざまなステージを次々に移動し、そこには色々なメカにエイリアンや怪獣まで、宇宙船での追走劇までも入っていました。
そう考えてみると「フィフス・エレメント」以来大きく何か変わったような気はしなくとも、同じ方程式をそのまま現代のフォーマットに埋め込んできたような、ノスタルジーを感じました。
「ブレードランナー」とか「エクス・マキナ」など、ファンタジー要素を消してSFを使って哲学するタイプとは全然違い、単純にエンタメだけを追いかけていると思います。そしてそういうジャンル、もしくは役割をもった映画というのはやはり今もあるはずです。
まだまだ考察なんていらなかった頃。
子供の頃にその不思議で見たことのないものをただ見せられていたSFファンタジー。
あの頃の感覚が甦るような作品でした。
決してスゴく楽しいとか、深いメッセージとか、寓話性とかはないのです。
しかし不思議な感覚があったことだけは印象強く残りました。
子供のころ大好きだった作品を、大人になって改めて見たら、脚本も人物も大したものじゃなくて、意外にショボかった。
でも、自分の人生の一部だし、感謝もしてるから嫌いになれない。ヴァレリアンはそんな感覚になる作品でした。
ともすれば、こういうジャンルが好きな人は懐かしいというだけなのかな?逆に今の子供たちが観てどう感じるか知りたいものです。
わりとさっくりですが、感想としては以上。
ベッソンはベッソンのやりたいことやったらええ。それでは、また。
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