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「リメンバー・ミー」”Coco”(2017)

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映画レビュー
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「リメンバー・ミー」(2017)

作品解説

  • 監督:リー・アンクリッチ
  • 脚本:エイドリアン・モリーナ
  • 製作:ダーラ・K・アンダーソン
  • 製作総指揮:ジョン・ラセター
  • 音楽:マイケル・ジアッチーノ
  • 編集:スティーブ・ブルーム、リー・アンクリッチ
  • 出演:アンソニー・ゴンザレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、アラナ・ユーバック、ベンジャミン・ブラット、レニー・ヴィクター、アナ・オフェリア・ムルギア 他

「ファインディング・ドリー」(2016)や「カーズ/クロスロード」(2017)などのピクサーが贈る最新作。アナと雪の女王のスピンオフが同時上映であります。そちらは個人的に長すぎでだるかったw

こちらは「トイ・ストーリー3」を手掛けたリー・アンクリッチ監督による作品であり、そちらもすごく好きなので楽しみにしておりました。

アカデミー賞では主題歌賞と最優秀アニメーション賞を獲得、非常に高い評価を得ています。

公開日ではなく、割りとすぐには観に行ったのですが、レビューは遅くなりました。夜遅くの回を六本木で観たのですけど、けっこう人いましたね。泣いておられる方、多かった。

~あらすじ~

昔、ある男が音楽家になる夢のために家族を残し去って行った。残された妻は幼い娘を一人育て、家族を捨てた男への怒りから、「音楽を禁止」する掟を立てた。

時は流れ、掟を代々引き継いできたリヴェラ一家は、メキシコ中が情熱的な音楽に溢れた今も尚、音楽を禁止していた。

そのリヴェラ一家に、ミゲルという少年がいるのだが、家族には内緒で音楽への想いを持っていた。屋根裏に隠れては、手製のギターを弾き、伝説の音楽家エルネスト・デラクルスを尊敬している。

メキシコの先祖がえりである「死者の日」。ミゲルはどうしても音楽を捨てられず、そしてあのデラクルスこそが、家族を捨てて音楽家になったという自分の祖先であると思い、彼の遺品のギターを盗みだす。

感想レビュー/考察

ピクサーの作品は毎回その題材がおもしろくて興味が湧くのですが、今作もその例に漏れず、メキシコの死者の日と死後の世界が舞台ということでチャレンジングでした。

主人公ミゲルは人間ですが、まあこの映画の大半を占める死後の世界では骸骨ばかりが出てくるんですから。

そんな骸骨たちなんですが、CG技術を楽しむ部分でも大いに満足できました。骨なのにすごく表情豊かなんですよね。

不気味さや怖さを感じさせなくて、涙は流さないけど悲しみが伝わる。さまざまな個性があって良かったですね。

彼らのいる死後の世界も、さまざまな色合いと光に溢れていて美しかった。

完全に天国っていうわけではなくて、どちらかと言えばもうひとつの現世みたいでしたね。

なにしろ貧富の差のようなものもあり、そして死後の世界にも死があるからです。

死後の死。

これは生きる人から完全に忘れられてしまうことと設定されます。

最近だとすぐに思い浮かんだのが、主人公と楽器が重要な点も似ている、トラヴィス・ナイト監督の「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」(2016)ですね。

まああちらは記憶を通しての永遠の命というのがメインだと思われますが、今作が押し出すのは、誰も覚えていないことによって、本当の意味で人が死んでしまうこと。

それがどういうことかは、名もなきおっさん骸骨で描かれました。

で、個人的にはあそこがかなりの今作ベストシーンでして。

最後に友に歌をもらって消えていくその切なさが・・・

あと、重要なのが彼がものすごく惨めには描かれなかったことかと思います。家族が回りにいるべきとは感じないからです。

絶対的な正解を押し付けないというか。

少しだけ、家族という足枷をつけられている人にも解放を与えているようなバランスでよかったと思います。

話題になっていて、アカデミー賞でも主題歌賞をとった”Remember me”。こちらも、繰り返されるなかで、その歌のよさだけではなく、誰が歌うかがすごく重要になっていますね。

正直ここまで個人的な歌だとは思ってもいませんでした。

原題が”Coco”なのがすごく刺さってきます。

最後のギターの弦に触れる指の動き、しわくちゃの顔の質感とそこに何か魔法のように生気が入る瞬間。CG技術の粋がここにあります。

音楽という普遍的な要素へ役割を与えた今作。音楽はそのままそれを歌いまた聞いたも者の記憶と感情を運び、時や場所を超えて生き続けるものです。

聞くたびに人を、場所を、時を思い出す曲が皆さんにもあるのではないでしょうか?

そしてこの”Remember Me”もまた、今作を観た人全てにヘクター、ミゲルそしてココを思い出させると思うのです。

リー・アンクリッチ監督は避けられないところでの死を描きながら、トイ・ストーリー3では受け継がれることで、そして今作では記憶に残ることで、疑似的にも永遠の命を描いていると思います。

悪役にこれ以上ない仕打ちをするブラックさはピクサーらしく、またひとつ奇妙な題材で、見事に家族愛を描きあげたと思います。

また、偶然か、メキシコの文化や人々を魅力的に描いている部分でも素敵な作品です。

メキシコというと結構カルテルだのがよく描かれる中で、情熱と家族愛、死者への想いとかお盆のような伝統とか、すごくメキシコに興味を抱かせてくれるのです。

こんな綺麗な文化を、壁を作って拒もうとしているという状況へのカウンターにもなっていておもしろい。

そういう意味でもオススメのアニメーション作品ですので、是非。

最近レビューが遅くて、公開終了とか間近になってますが、今後頑張ります(テキトー)

今回はこの辺で。それでは、また。

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