「ブライトバーン/恐怖の拡散者」(2019)
作品概要
- 監督:デヴィッド・ヨアノウスキー
- 脚本:ブライアン・ガン、マーク・ガン
- 製作:ジェームズ・ガン
- 製作総指揮:ダン・クリフトン、ニック・クロウリー、デヴィッド・ジェンドロン、ブライアン・ガン、マーク・ガン、サイモン・ハット、ケント・ファン、アリ・ジャザイェリ
- 音楽:ティモシー・ウィリアムズ
- 撮影:マイケル・ダラトーレ
- 編集:アンドリュー・S・アイゼン、ピーター・グヴォザス
- 出演:エリザベス・バンクス、デヴィッド・デンマン、ジャクソン・A・ダン、マット・ジョーンズ、メレディス・ハグナー 他
デヴィッド・ヨアノウスキー監督によるスーパーヒーロー・ホラー映画。
異世界からやってきた少年ブランドンが超常的な力を持ち、その力を使って悪事を重ねていく様子を描きます。
ジャクソン・デンプシー、「ピッチ・パーフェクト」や「チャーリーズ・エンジェル」のエリザベス・バンクス、デヴィッド・デンマンなどが出演。
製作には「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン。
独特な視点から描かれたヒーローの逸脱と恐怖の物語で、公開時に話題を呼びました。シンプルに言えばスーパーマンが超邪悪だったら?というアイディアで作られた映画ですね。
公開時には気になっていましたが観るチャンスのがしてそのままでした。
配信で観ることができたので初めて鑑賞です。
~あらすじ~
ブランドンは幼少期に養子として育てられ、12歳の誕生日を迎えたころから、彼の身体には超常的な能力が目覚め始める。
自分が超人的な存在であることを知った彼は、その力を悪用。無差別に人々を攻撃し、その一方で自分の起源と真の目的を模索していきます。
ブランドンの変貌に気づいた養父母は、彼が危険な存在になりつつあることを理解し、彼を止めようとするが、ブランドンは自身の力を誇示し続け、彼の恐るべき能力は地域社会を恐怖に陥れていく。
感想/レビュー
「ブライトバーン/恐怖の拡散者」は、良いアイディアや概念を持つことと、それを実行に移すこととの間の壁を感じました。
物語としては、有名なスーパーマンをベースに。
宇宙から来た少年が超常的な力を持つことを発見し、その力が次第に彼の心に影響を与え、周囲に恐怖をもたらしていく。
舞台設定はほぼすべてがクラーク・ケントのそれであり、なじみのある設定にひねりがあるだけでもフレッシュさは感じ取れて楽しいものです。
そのアイディアやコンセプトが非常に興味深く、刺激的である一方で、それを巧みに具現化することが難しいことが証明されてます。
良いアイディアを思いついても、具現化し、成功させるのは大変なものですね。
正直なところ、物語の途中でゴア描写やホラー演出特にジャンプスケアの多用が感じられ、それがゴシックな雰囲気を持つ一方で、やや悪趣味に映ることもありました。
結局深く掘るところはそこじゃないというか。やりたかったのはまさに幼稚な暴力という部分の映像化だったように感じてしまいました。
映画の展開では、養子として生きる若者の葛藤や、血の繋がりがないにも関わらず、深い愛情を注ぐ義理の母親の描写が際立っていました。
ブランドンは学校で孤独な存在ですが、唯一愛に溢れた両親という存在がいて、そこに居場所を持っているわけです。
それが実は血のつながりのない他人であった、しかもそのことをずっと隠され嘘をつかれていたと知るのです。
さらに、思春期の性的な興味や反抗期、感情の激しい変化など、複雑な感情や心理を丹念に表現しています。
ブランドンはたぶんですがあの女の子を気になっていて、好きなのかもしれません。でも距離の取り方が分かってない。
素直に言うことを聞いていた時期が終わり自立し始める彼の年齢的にも、父に対して怒鳴ってしまうシーンとか、結構リアルで好きでした。
大人側としても、悪と分かっていてもどこかで息子の善を信じる母親役を、エリザベス・バンクスは良い感じで演じてますし、抜き出した要素については「スーパーマン」ですらあまり掘り下げない部分でまたフレッシュでした。
これらは人物の内面を豊かに描きながら、物語に深みと奥行きを与えていますね。
でも着眼点が素晴らしくも、深く掘り下げることなく、最終的には超人的な力による恐怖に焦点を当ててしまうという点が難点でしょうか。
揃えた材料は良いと思うんですが、超人的能力と力を誇示してR指定のゲームのグロ描写ではしゃぐ中学生みたいなレベルに落ち込んでしまったのが残念な作品です。
まずは「スーパーマン」を知っておくこと。そしてそのうえで変わり種として興味があれば観てみるというのがおすすめでしょう。
感想は短いですがここまでです。
ではまた。
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