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「ハロウィン KILLS」”Halloween Kills”(2021)

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halloween-KILLS-2021-movie 映画レビュー
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「ハロウィン KILLS」(2021)

  • 監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
  • 脚本:デヴィッド・ゴードン・グリーン、ダニー・マクブライド、スコット・ティームズ
  • 原作:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
  • 製作:ジェイソン・ブラム、ビル・ブロック
  • 製作総指揮:ジョン・カーペンター、ジェイミー・リー・カーティス、デヴィッド・ゴードン・グリーン
  • 音楽:ジョン・カーペンター、コーディ・カーペンター、ダニエル・デイヴィス
  • 撮影:マイケル・シモンズ
  • 編集:ティム・アルヴァーソン
  • 出演:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、カイル・リチャーズ、ナンシー・スティーヴンス、ウィル・パットン、トーマス・マン 他

作品概要

halloween-KILLS-2021-movie

名作ホラー「ハロウィン」の正当な続編として40年の時を経て製作された2018年の「ハロウィン」。新たにブギーマン/マイケル・マイヤーズの伝説と恐怖が復活したその作品は3部作展開となり、前作直後を舞台にその続編が公開。

監督はリブート1作目と同様に「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」のデヴィッド・ゴードン・グリーン。

主人公のジェイミー・リー・カーティスや、娘役のジョディ・グリア、そして孫娘のアンディ・マティチャックらがそのまま続投。

前作にも出ていて今年は「ミナリ」で印象深い役だったウィル・パットンも出ていますし、彼が演じるホーキンス保安官の河合頃の役にトーマス・マン。

その他原典「ハロウィン」での生き残りとしてナンシー・スティーヴンスとカイル・リチャーズがそのキャラクターを今回も演じ、往年のファンにはうれしいメンバーがそろっています。

新生リブートシリーズの第2作品目として本当は2020年には公開されるはずだったものなのですが、コロナ感染症の拡大を受けて延期され、ほぼ1年遅れての劇場公開に。

公開がまさにハロウィンの週末だったのですが、東京国際映画祭期間中で行けず、その次の週に鑑賞してきました。1週間たっていたのですが結構混んでいて、若い人が多めに思えました。

前作をみてこのシリーズから追いかけているのかもしれませんね。

「ハロウィン KILLS」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

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2018年のハロウィン。精神病院から逃走した殺人鬼マイケル・マイヤーズと、彼が40年前に起こした虐殺の生存者ローリーの戦いは、彼女が人生をかけて仕掛けた罠によって週末を迎えたに見えた。

しかし、燃え盛る火炎の中で生きていたマイケルは消火活動に来た消防士たちを皆殺しにし、再びハドンフィールドの町に解き放たれてしまった。

かつてマイケルに襲撃され、誤って同僚を射殺してしまったホーキンス保安官は、逮捕時にマイケルを殺さなかったことを悔やみ、絶対に殺さねばならないと考える。

一方のローリーは、娘のカレン、孫娘アリソンとともに病院へ運び込まれ、すべてが終わったのだと安堵の涙を流していた。

移動するマイケルは次々に犠牲者を増やす中、マイケルの殺戮を聞きつけたかつての惨劇の生き残りトミーたちは、今度こそ悪を滅ぼすと、仲間を集めてマイケル・マイヤーズ狩りを開始した。

混沌とする町ハドンフィールドは恐怖と怒り、憎しみに包まれていく。

感想/レビュー

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前作ではスラッシャーフィルムとして現代的に可能になったゴア表現を炸裂させていたわけですが、今作はさらにキルカウントを増量強化してマイケルが帰ってきました。

前作のまさに直後から始まる今作はさすがに前作を見ていないと状況が飲み込みにくいですが、その分下地準備は不要とばかりに大虐殺が開始します。

現代アメリカを投影する試行はフォーマットによって失敗している

大盤振る舞いになり、続編は増量増スケールという昔ながらのフォーマットに則った展開になりましたが、私は全体に失敗してしまったと感じています。

大失敗とか駄作ではないのかもしれないですが、うまく機能しなかったことが多い気がしました。

それは主にグリーン監督が今作に込め描こうとした主軸の入れ込み方が不安定だからです。

前作は40年という時が経っても癒えない暴力の爪痕、人生を狂わせて宿命として背負うしかない悲しさを描いていたと思います。

映画の人物にしっかりと人生を与えて、被害者の生き方がどれだけ変容するかを悲哀をもって見せました。

そこで今回グリーン監督が目指したのは、”恐怖の伝染、暴力の根源”です。

強大な悪に対して一致団結するハドンフィールドの住人たちは、次第に恐怖にかられて個人を狩り始めるヒステリックな集団と化していきます。

結局、ちょっとネタバレですが、恐怖心と集団ヒステリーから誤って関係のない人を殺してしまうわけです。

おそらくそこに、現代のアメリカにおける個人や特定の人種、コミュニティーへの攻撃を投影したのだと思います。すべては恐れから来ているのだと。

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多すぎるサブプロットに振り回される作品

しかしそれに対して、どうもうまく噛み合ってこない。

まずはマイケル・マイヤーズ。

マイケルは恐怖と暴力の化身となり不死身かつ人間離れしすぎてきますし、さきに書いたように大虐殺がすぎるせいで豪快だなとは思うものの、正直もう怖いとは感じなくなってしまいました。

盛りすぎたせいで逆に薄いと言いますか。

薄気味悪さとかがあまりなくなってしまいました。追いまわされるとかふとそこに立っているような意味での超自然的な存在というよりも、もっとゴアスプラッタ全振りになります。

それはそれで1ジャンルとして強烈かもしれないですが、全体に騒がしいために怖くなくなってしまうのはどうかと思います。

ついで本来主人公でありこのサーガを前に進めるはずのローリーがあまりにも出番自体が少ないのも残念でした。私としては話の主軸にすらいなかったと思います。

ローリーめがけてマイケルがやってくると設定していましたが、マイケルが実家に向かうと言ったり、ちりてきにも

ジュディ・グリア演じるカレンなど外に出れる人物が主導するかと思えば、トミーの自警団が先導していたり。

だれが展開を引っ張るのか、その時点でのテーマが誰に付随し転がるのかが分かりにくく散漫です。

ノスタルジーに訴えたり、絶対悪を描いたり。家族の絆かと思えばマイケルが実家に帰るという謎のレールも敷かれていて。

マスクをどうするのかの件も集団ヒステリーも、あまりに多くサブプロットを入れすぎたのではないでしょうか。

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着想を見失うほどにバラバラに引き裂かれた

社会性を入れ込もうとしたことは分かりながらも、結局マイケルと間違われて追い回され死んだ男のことはサラリと流されてしまう。

その状況や相手、集団意識のなかで変わってしまう善悪の基準について。

大事なことですが、マイケル・マイヤーズは別に不当な差別を受けているわけでもマイノリティでもなく。

恐怖や怒りが私たちを怪物にしてしまうというメッセージこそ、ポストトランプ時代において痛烈に現代社会に響いてくるとは思いますが、その描き方においては微妙。

せっかく前作にて暴力とPTSDや被害者と加害者の関係性など面白い着眼点で新しいチャプターを切り開いたのにも関わらず、その続編はまさに初代ハロウィンに続いて登場したスラッシャーホラーだけの薄い映画になってしまいました。

カーペンター監督の根源を考えると、アイディアと言い着想において、要素を少なく削って(予算がすく中たこともありますが)純化したホラーだからこその良さがあったのだと思います。

今作は着想を見失うほどにゴアとスラッシャー描写に技術で応え、そしてマイケル・マイヤーズに惨殺されたようにバラバラな脚本でただ混沌を見せているにすぎませんでした。

前作に本当に感心、感動した身としてはどうしてもただのホラー映画になってしまった点寂しくも思います。

炎の中立っているマイケルの画とか結構クールなビジュアルもあるんですが…

このシリーズは少なくとも3作品目「ハロウィン Ends」の公開が決まっており、そちらもジェイミー・リー・カーティスいわく驚きがあるといいますが、今作は正直退屈なので、驚きも良いですがちゃんと怖くなっていることも期待したいです。

ということであまり合わなかったのですが、マイケル・マイヤーズ伝説を追いかける上では必要なピースではあるため、気になっている人は是非。

そんなわけで感想はおしまいです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

それではまた次の映画の感想で。

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