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「あの夏のルカ」”Luca”(2021)

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Luca-Movie-Disney-Pixar-2021 映画レビュー
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「あの夏のルカ」(2021)

  • 監督:エンリコ・カサローザ
  • 原案:エンリコ・カサローザ
  • 脚本:ジェシー・アンドリューズ、マイク・ジョーンズ
  • 製作:アンドレア・ウォーレン
  • 音楽:ダン・ローマー
  • 撮影:デビッド・ファン・ビアンキ、キム・ホワイト
  • 編集:キャサリン・アップル、ジェイソン・フダック
  • 出演:ジェイコブ・トレンブレイ、ジャン・ディラン・グレイザー、エマ・バーマン、マルコ・バリチェッリ、サヴェリオ・ライモンド、マーヤ・ルドルフ、ジム・ガフィガン 他

Luca-Movie-Disney-Pixar-2021

ピクサースタジオが贈る、海に住む魚人の少年たちのひと夏の友情を描いたアニメーション。

監督は「リメンバー・ミー」や「カールじいさんの空飛ぶ家」で美術部門を務め、短編「月と少年」を手掛けたエンリコ・カサローザ。今作で長編監督デビューとなります。

主人公ルカの声は「ルーム」などのジェイコブ・トレンブレイ、そして親友となるアルベルト役は「シャザム!」などのジャック・ディラン・グレイザーが演じています。

ピクサースタジオとしては「ソウルフル・ワールド」に次いでの新作となる今作ですが、前作と同様に劇場公開が断念されて、ディズニー+での配信公開が決定された作品になります。

作品の製作自体もコロナ禍であり、スタッフはスタジオではなくて自宅での製作をしたという、ある意味時代の流れによって制作環境も大きく変わった作品になっています。

劇場で観れない点は残念ではありますが、ピクサー新作を観れるだけでもいいのかな。ディズニー+についてはどうやらディズニーの作品以外はプレミアムアクセスは必要ないようで、「ラーヤと龍の王国」「クルエラ」と異なり加入者であれば無料で鑑賞ができました。

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人間の世界とは隔離された海の世界。そこには人間にシー・モンスターと呼ばれる生き物がいた。

ルカは地上に興味がありながらも厳格な母の言いつけに従っていたが、あるとき地上で一人で暮らす少年アルベルトと出会う。

彼らは水からあがると人間に変身でき、ルカは人間の姿でアルベルトと地上で遊ぶようになった。

そして彼らは、人間たちのもつ”ベスパ”という乗り物を手に入れたくなり、海を渡った先の小さな町へと出かけるのだった。

そこではトライアスロンレースが開催予定で、賞金をゲットすればベスパを交換できると知った二人は、地元でレース優勝を狙っている少女ジュリアと出会いチームを組むことになった。

実はシー・モンスターであることを隠しながら、大会優勝のために練習に励むルカとアルベルト。

しかしルカの両親が彼を連れ戻しに地上へやってきたのだった。

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非常に絵的に豊潤かつアニメーションの遊びや喜びに満ちていながらも、暖かくそしてどこか観ている自分の記憶を呼び覚ましてくるような、ファンタジーなのにノスタルジーを感じる人生の軌跡。

スタジオジブリの影響を大いに受けながらも、カサローザ監督自身の体験と少年期の友情を入れ込んだ個人的な作品。

それでもなお、普遍的な”子どものころと成長のために置いてきた時”を観ている人に思い起こす素敵な作品になっています。

まずは画の部分から入っていきましょうか。

カサローザ監督含めてアニメーション、美術部門がこだわりぬいたとされるその画は非常に豊かな色彩を持っていて、ブルー系統があっても寒さはなく、全体が明るく暖かな色合いです。

まるで良い思い出が輝いているように、この作品全体は非常に優しいルックを持っている点は、その色彩のカラフルさにも助けられています。

なかなか独特なのは自然風景に関しての描写になるでしょうか。超リアルにするというよりはアニメらしい無理さを残していますね。しかし背景部分などはすごくディテールが込められています。

実はアニメーションならではの良さが個人的には刺さっていて、それは他のキャラクターに比べてとにかく目が大きくいろいろなものを観ていくルカが、よく想像を膨らませるシーンが多いことです。

知らないゆえのヘンテコさこそあるんですが、ベスパに乗ったらどんなに自由だろうかと想像するシーンなど、実写とは異なるシームレスさと映像的な楽しさが最高でした。

あと個人的驚きポイントは料理です。ジェノベーゼパスタが画面に出てきたとき、びっくりしましたね。ほんとおいしそうです。

CGで作られたもので実際に食欲が刺激されるってすごいレベルだと思います。

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主軸になっている話としては複数が絡み合って非常にいいものになっています。

一つはアウトサイダーたちの結束と友情ですね。

シー・モンスターと人間というわけ隔てられた設定から、ルカとアルベルトは人間たちの世界では完全なるよそ者であり、町の風土からしても殺処分対象ということですが、二人はなんとか馴染んでいこうとします。

そこに加わるのが、同じように人間の世界で人間として暮らしながらもやはり孤独を感じたはぐれ者ジュリアです。

世界にてありのままにいようとしても、それが難しいというこの3人が出会い、それぞれの孤独を埋めるようにしてはぐくむ友情。

孤独を抱えている点での結び付けには、今作の引用も見えますね。

街にはあのイタリア巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の「道」のポスターがあり、またオープニングで両氏がのっていた船の名前はその「道」の登場人物ジェルソミーナです。

悲痛な人間の孤独を描く「道」と根底ではつながっているのかと思います。

特にアルベルトは父にすら捨てられたという深い孤独を抱えており、だからこそルカがジュリアと親しくなることは、彼にとってルカを失いまた孤独となるようで恐ろしいのでしょう。

そこでさらに入ってい来るのは、やはり主軸にあるこのひと夏の青春、友達との輝かしい日々です。それらが孤独を埋めていく。

今作はカサローザ監督自身の実際の体験、少年のころにいたアルベルトという友達のことを映画に落とし込んでいるとのこと。実際この作品も現代ではなくすこし古い時代設定のようです。

そもそも過去を振り返っているような視点だから、よりどんな人にも普遍的に、個人の思い出のように映るんですね。

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暖かな友情。それでも孤独を恐れた故に一度ルカはアルベルトを傷つけてしまいます。一瞬でも非常に心の痛いシーンでした。

しかしルカにとって、アルベルトは大切な存在です。彼がいなければ、ルカはこの地上を知らず、空気も重力も太陽も、パスタも知らなかった。

彼が世界を教えてくれた。ルカを引っ張って、もっと広い世界に連れて行ってくれたのです。

だからこそ自分の新しい世界を失うかもしれなくても、最後は友のために漕ぎ出します。

坂を下るのは怖くてできなかったルカですが、それもアルベルトと一緒に下った。その勇気がまた奮い起こされたわけです。

そして何よりも私に刺さって仕方がなかったのが、別れです。分かれって哀しいよねという感動モノではなく、感謝とともに人生が描かれているからです。

アルベルトのおかげでルカは成長しました。いろいろなものを観ました。

そして彼の好奇心はさらに刺激され、その先の世界があることも知った。人生は出会いと別れです。でも別れるというのは、失うこととは違います。

人生で先に進むとき、何かを後ろに置いていかなければならない、ならなかった瞬間。それをここでは描いている。

でもその残したものは、必ず、歩む人生の道に残っている。消えたりしない。

この先に行くのには持っていけないというだけで、後ろを振り返ればまた輝く夕陽と組んだ肩を感じることができる。

連れてきてくれた感謝と、背中を押してくれる感謝が合わさって本当に素晴らしいラストです。

豊かなアニメーションとどこまでも個人的な温かさ、前に進むために後ろにおいて来た、今の自分を作ってくれた想い出。

カサローザ監督のデビュー作として非常に心温まる普遍的なアニメーションになっていて素敵でした。

アイラ・サックスの「リトル・メン」とか、少年期に自分を形成する点で大きな役割を持った人との出会いが結構好きなんで、この辺ドストライクです。

今回の感想はこのくらいになります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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