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「波止場」”On The Waterfront”(1954)

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映画レビュー
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「波止場」(1954)

  • 監督:エリア:カザン
  • 脚本:バッド・シュールバーグ
  • 製作:サム・スピーゲル
  • 音楽・レナード・バーンスタイン
  • 撮影:ボリス・カウフマン
  • 編集:ジーン・ミルフォード
  • 出演:マーロン・ブランド、エヴァ・マリー・セイント、カール・マルデン、リー・J・コッブ、ロッド・スタイガー 他

私の好きなマーロン・ブランド主演作。そしてエリア・カザン監督作でもあります。

アカデミー賞を作品賞含む8部門受賞した作品ですが、今となってはクラシックに入り私の周りには知ってる人も少ないです。映画好きなら観たこと、聞いたことはあると思います。

舞台は一つの港町でありながら、社会派で力強く、ブランドとエヴァももちろん脇を固める俳優たちの演技も圧巻です。私にとっては映画自体がすごく大切で、またここでブランドが演じるテリー・マロイは大好きなヒーローです。

元ボクサーのテリーは波止場で働いていた。兄チャーリーのおかげで波止場を仕切る組合にも気に入られ、仕事を受けていた。

しかし組合はギャングまがいの不正で労働者を押さえつけ搾取し、ついには告発しようとしたテリーの友人も殺してしまう。

友人を死なせてしまったことがテリーを悩ませ、その妹であるイディに出会い彼の中で何かが変わっていく。

テリーはイディのいうようにただのゴロツキです。自分を惨めと思いつつそれを変えず、強がっています。でも兄や組合にくっついているということはそれだけ弱さを持っていることです。

イディも神父も、不正を知らしめ変えるために努力します。その横暴でさらに死者を出さないために。この行動は勇気あるものですが、やはり犠牲を伴います。

立ち上がるものは邪魔になり、消される。それでもやるだけの価値があるのか?

イディは兄と父、神父は自分を信じてくれた者たち、テリーは親友、そして兄も失うハメに。

不正が大きな組織により行われ、社会を牛耳る中で立ち上がることの難しさと共に、

それでも大切なこと、くじけないことを見せてくれる。その価値を信じさせてくれる。

様々なシーンが私には名場面です。神父の波止場での演説。真実をイディに打ち明けるテリー。

中でもテリーが兄のチャーリーと話すシーンは映画史に残るものです。

「I could be somebody!」

何か大きなことができた、立派になるチャンスもあった。でも今はクズだ。誰しも後悔はあると思います。あの時こうしていれば、今はこうだったろう。取り戻せない過去。

やるせなさと怒りを手に、突っ込むテリーを神父が止めるシーンは素晴らしい。真に強さをもった”力”で立ち向かうように言うのです。

それを受け入れるテリーはここで大きく成長します。

立ち向かうものが受け継いできたジャケットを着て、飛び立つことの象徴である鳩を殺されても、彼は立ち上がる。鳩と同じく檻の中に入って、格子越しに話す彼もついには飛び出していくわけです。

危険を恐れ黙り、従う人々。事なかれ主義とは平和でなくただ不正の横行を許す。そしてそれこそ罪です。たとえどんなに踏みにじられようとも、立ち上がるのです。

テリーはダメなクズで、大切な人を救えませんでしたが、自分自身の力で文字通り立ち上がりました。その姿、屈しない強さこそ本物の力であり、不正を倒す武器なのです。

ただただブランド演じるテリーに心酔。

たとえどんなに惨めでも大切な事だけは忘れたくないと思います。現実で正しくないことがあれば立ち上がらなければいけませんね。

そこに私も本当の強さを学びたいと思う映画です。

生涯ベスト級の大好きな作品です。観てない方は是非。

そんなわけで今回はここまで。

まわりが見て見ぬふりのなか戦う映画では「真昼の決闘」(1952)も好きです。

いつかそちらについても書きたいです。

それではまた!

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