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「ハニーボーイ」”Honey Boy”(2019)

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honeyboy-2019-movie 映画レビュー
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「ハニーボーイ」(2019)

  • 監督:アルマ・ハレル
  • 脚本:シャイア・ラブーフ
  • 製作:アルマ・ハレル、アニタ・ゴウ、ブライアン・カヴァナー=ジョーンズ、クリス・レゲット、ダニエラ・タップリン・ランドバーグ
  • 製作総指揮:フレッド・バーガー、ダニエル・クラウン、ヨニ・リーブリング
  • 音楽:アレックス・ソマーズ
  • 撮影:ナターシャ・ブライエ
  • 編集:ドミニク・ラペリエール、モニカ・サラザール
  • 出演:ノア・ジュープ、ルーカス・ヘッジス、シャイア・ラブーフ、FKAツィッグス 他

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俳優シャイア・ラブーフが書きあげた自身の父との関係性を脚本に、これまでショートやドキュメンタリーを手掛けてきたアルマ・ハレル監督が映画化。

ちなみに今作がハレル監督の長編デビューとのことです。

主人公の幼少期を「ワンダー 君は太陽」など注目のノア・ジュープ、また青年期を「ある少年の告白」などのルーカス・ヘッジス、そして父役は脚本を執筆のシャイア自身が演じています。

シャイア・ラブーフの半自伝的な作品となる今作はAmazonスタジオにて製作、サンダンス、トロント国際映画祭でのプレミア上映がされました。

日本でも少し遅れましたが無事に劇場公開。公開すぐの週末に鑑賞。コロナ感染症対策の関係で座席数を絞っているにしても、最前列まで埋まるくらい人が入っていました。

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2005年。さまざまな映画で活躍する若手俳優オーティスは、アルコール中毒で気性が荒く問題行動を繰り返していた。

あるときついに飲酒運転で事故を起こし、起訴されてしまう。

彼はその飲酒問題からリハビリ施設にて診断を受けることになり、そこでPTSDを患っていると告げられる。

オーティス自身PTSDなど身に覚えがないが、職員のセラピーでその原因、子役スターとして活躍していたころ、そして父親との関係性を振り返ることになる。

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今作はシャイア自身の自伝的な作品です。

あからさまに「トランスフォーマー」っぽい撮影現場シーンで始まっていたり、自己シーンで指の欠損が描写されていたり、オーティス=シャイア・ラブーフなのは間違いないところです。

この脚本自体も、もともと2017年にシャイアが自分のセラピーのプログラムで描き出した父との関係が元になっており、アルマ監督が読んで映画化に踏み切ることになったもの。

つまり、俳優が自分自身の人生を重ねたものです。非常に個人的。

それなのに、この作品は押し付けがましくもなく、自己憐憫に陥ってもなく、すごく親密なのに自分の注目を集めようという身勝手さも感じません。

まずここが素晴らしいバランスというか、観ていてある種の心地よさを感じる部分でした。

これはシャイアが描き出した脚本の主人公との距離感もあるでしょうし、やはりこの関係性を知らないアルマ監督という離れた第3者が撮っているのも大きい要素かと思います。

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その物語の距離感は素敵なところですが、父と息子の関係性は真っ直ぐでした。

醜いところも含めて正直な印象。子どものままに大人になった父と、早く大人になるしかなかった子ども。

明らかに傍から見れば、毒親です。

あの小の方の音の下りとか、すごいナチュラルに人を傷つけるし、母との電話の下りとか、自分でしゃべりたくないのは分かるけど、大人なんだから子どもをまず外して、向き合えよと。

お互いがお互いを必要としている。この親子の関係性は、対峙する形での切り取りや、間に境界線を設けるなどの画面構成からも語られながら、やはり二人の俳優が完成させています。

ノア・ジュープ君、かわいらしい感じがありながらも、やはり芸達者ですね。特に記憶に残ったのは、父に自分ができるなりの威圧を加えて、力づくでそばにいさせようとするシーン。

子どもが強い言葉を使う際の絶妙な強がり間や、変な冷静さ、切り替えされた時の怖がり方など、心が痛いほどに実体験ある手触り。すさまじい。

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そしてなによりシャイア・ラブーフの演技。

彼は一般的にはどうか分からないですが、繰り返し、私は好きだと言いたい俳優です。

「アメリカン・ハニー」「ボルグVSマッケンロー」「ピーナッツバター・ファルコン」など最近は落ちぶれていたり問題があったりする役どころが多いですが、いつも一生懸命だし独特の色気があります。

今作でも本当にダメな父親なんですが、究極の毒親映画「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」のあの母親に比べると、やはりどこか愛着が持てます。

紡がれてきた親からの問題を自分で避けようともがいて結局は抱えてしまった彼。

しかしだからこそ過剰にもオーティスに鑑賞してしまうし、トムのような”真っ当な”保護者に嫉妬のようなものも抱えてしまう。

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OP時も、そして時が飛んでの少年期でもオーティスは拘束されていました。ハーネスを付けられて、吊るされてもがいて。

動きづらい状態で生きてきた。プールが何度も出てくるのにも、どことなく自分の解放や同時に身を預ける場所が意図されているようにも感じます。

近い辛さとか、それでいて遠くに感じてしまう孤独とか、それらをナターシャ・ブラエの優しい撮影が包む。

今作もフレアの入り方などライティングの美しさもあり、また日差しや空気を肌で感じられるような素敵な撮影です。

愛を欲することと得られないことは、誰にも響く部分があるかなと感じます。

自分自身の本当に個人的な物語なのに、そこに絶妙な距離を置き、証人欲求や哀れみを求めない見事なシャイア・ラブーフの脚本。

さらにそれを見つめる視点を持たせるアルマ・ハレル監督。

デビュー作としても素晴らしく、次が楽しみになりますし、シャイア・ラブーフもやはり良い俳優だと確信できる作品でした。

劇場公開中に是非おススメしたい作品です。

今回の感想はこのくらいで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた次の記事で。

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