「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」”No Time To Die”(2021)

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021)

  • 監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
  • 脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、キャリー・ジョージ・フクナガ、フィービー・ウォーラー=ブリッジ
  • 原作:イアン・フレミング
  • 製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
  • 主題歌:ビリー・アイリッシュ『No Time To Die』
  • 音楽: リヌス・サンドグレン
  • 編集:トム・クロス、エリオット・グレアム
  • 出演:ダニエル・クレイグ、レア・セドゥ、ラミ・マレク、アナ・デ・アルマス、クリストフ・ヴァルツ、ラシャーナ・リンチ、レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス 他

作品概要

007-no-time-to-die-2021-movie-james-bond

伝説のスパイ映画007シリーズ第25作品目にして、6代目ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグの最期のボンド役となる作品。

2006年の「カジノ・ロワイヤル」から長きにわたり、シリーズ初めて連続したドラマとして展開されてきたクレイグボンドシリーズの物語がついに終焉を迎えます。

監督ははじめは「トレインスポッティング」や「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイルでしたが芸術的観点の相違ということで製作と衝突し降板、その後キャリー・ジョージ・フクナガに引き継がれました。

主演はもちろんダニエル・クレイグ。またボンドの愛する女性として前作「007スペクター」からレア・セドゥがマドレーヌ役、またクリストフ・ヴァルツもブロフェルド役で登場。

その他レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリスらもいつものMI6メンバーで出演。さらに今作では新たな00の称号を得たスパイとして、「キャプテン・マーベル」のラシャーナ・リンチが出演。

その他ボンドガールとしては「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」でダニエル・クレイグと共演したアナ・デ・アルマスも。

そして今作にて悪役である能面の男サフィンを演じるのが、「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレクです。

個人的にはクレイグ・ボンドはサム・メンデス監督の「007 スカイフォール」(2012)で完結しているように思え、そもそも前作にあたる「007 スペクター」すらなんとなく蛇足に思っているほどでしたが、まあ自分にとってのジェームズ・ボンドであるダニエル・クレイグの最期のボンド役とあらば観ないわけがないですよね。

もともとは早い段階での公開予定が、先述の監督降板劇の影響で遅延。さらに新型コロナの影響で2020年4月公開がどんどん伸びて、2021年の10月になって公開です。

勝った前売り券がいつ使えるのか不安でしたね。今回は週末IMAXにて鑑賞。ちょうど緊急事態宣言解除もあってほとんど満席に近かったです。

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の公式サイトはこちら

~あらすじ~

007-no-time-to-die-2021-movie-james-bond

スペクターとの戦いの後、ボンドは現役を退き、マドレーヌとともにイタリアの町で静かな生活を送っている。

ボンドにとって最愛の女性ヴェスパーの過去を捨て、マドレーヌと再出発を図るが、何者かによってヴェスパーの墓が爆破され、さらにスペクターの軍勢がボンドに襲い掛かる。

襲撃者たちを倒しながらも、自分の居場所や動きがバレているのは、スペクターに属する父を持つマドレーヌが裏切ったのだとボンドは考え、彼女とは決別した。

それから5年。危険な生物兵器を開発するイギリスの研究所をテロ組織が襲撃、CIAの旧友フィリックスは研究職員であるオブルチェフ奪還のためボンドに協力を依頼してきた。

スペクターとの戦いに決着をつけること、そして何か別の者が影で動いていると察したボンドは現場に戻り生物兵器をめぐる任務へと就く。

感想/レビュー

007-no-time-to-die-2021-movie-james-bond

荒唐無稽さとシリアスさの歴史

今一度007シリーズについて、特にダニエル・クレイグによるジェームズ・ボンドについて考えてみますと、今作はその最後の作品としてはバランスは良いのかなというところでした。

往年のショーン・コネリー版から始まったシリーズは、完全無的かつまるで痛みも因果もないようなアクションシリーズになっていました。

そこで1作だけの製作であるジョージ・レーゼンビー版の「女王陛下の007」が登場。

しかしそのスタンスは今作がささげているオマージュや目くばせが非常に感じられる作品です。

シリアス路線に入ったその作品は細菌兵器とかブロフェルドとかも間違いなく今作が敬意を表するものですが、何にしてもダニエル・クレイグの流れのもとになっている気がします。(あと本当に結婚する点は、今作のクレイグボンドが真に女性を愛する展開にも感じられますね。)

007でありクレイグボンドである

2006年の「カジノ・ロワイヤル」ですらダニエル・クレイグの殺し屋感、まあいかつさが言われていましたが、特に「スカイフォール」はシリアス路線でアート傾向が非常に強いと思います。

なので話の根幹にレーゼンビーの「女王陛下の007」があるのはなんとなくシリーズの歴史への引用、オマージュとしては必然かもしれません。

クレイグボンドってここが原点だよねと言っているように感じました。

ただ同時に今作は前作「007スペクター」ですこし戻ってきた、007らしいバカバカしさも含まれています。コミカルなギャグ、不謹慎な殺し文句。(今回は眼のところとか酷いね(いい意味で))

その両面について今作ではちょうどいい感じなバランスをとっていて、私としては007シリーズらしくありまたクレイグボンドシリーズらしくもありいい塩梅になったなと感じます。

007-no-time-to-die-2021-movie-james-bond

全体には満足ですが、細かなところを観ていくとなかなかに厳しい作品でもあります。

まずもって長いんです。

アバンタイトルに向けてのアクションではアストン・マーティン大活躍してくれますし、スペクターパーティ潜入とか最後の島の基地での制御室までのワンカット風戦闘シーンとか、かなり飽きさせないように頑張ってはいます。

しかしそれでも要所で結構長い作品だなと思って知ったのも事実でした。

誰もが認めるアナ・デ・アルマス

まあ、話し出したので言いますけれど、スペクターパーティ潜入シーン。あそこのアナ・デ・アルマスの持っていき具合は素晴らしいですね。

予告とスチルで観たときには、セクシズムの塊かと思うようなキャラを予想していましたが、裏切られました。

そのルックの割に、空回り系張り切り新人キャラ。

登場時にはなんかコーラみたいなのストローで飲んでるし。普段は格闘技と銃器訓練ばっかりやってる子に、仕事だからとセクシーなドレスを着せた感じ。

正直言ってあのシークエンス全部なくても、このパロマというCIAエージェントが出てこなくても作品は成立するんです。

それでも、このシーンは抜けないなと思わせてくれるチャーミングさとボンドとのコンビの良さで素晴らしい印象を残しています。

ここは彼女の魅力でOKですが、割と脚本のガタツキとかキャラクターの消化不良は多い気がします。

私として一番残念だったのは、サフィンでした。リューツィファー・サフィンというルシファー・サタンのもじりで、まあ確かに神のごとく振る舞う悪魔が今作の敵。

ラミ・マレクが独特の声と存在感で演じていてルックは良いのですが、いまいち脅威的かというと微妙です。

日本を意識した衣装などに関してもルック以外の意味は与えられていない気がします。

007-no-time-to-die-2021-movie-james-bond

悪人として義眼の男はまだしも、裏切りのアッシュ、またマクガフィンなのかコミックリリーフなのかよく分からないオブルチェフなど、色々と出した割には締まりが悪い。

そこまで求めるなという点でもありますが、クレイグボンドはなんとなくスカイフォールの呪いが強いかな。と感じます。

それでも満足なのって結局はダニエル・クレイグの力だと思います。

彼の最後のボンド役だという点が映画の出来に関係なく感情的にさせてきますが、それを除いても彼の功績は素晴らしいなと思うのです。

彼はジェームズ・ボンドに傷跡として残る痛みを与え、また脆さを与えることに成功したのです。

前述の因果ですね。無敵かつまるでサイボーグや狂人のような殺人者ではなくて、何かが起きればそれがしっかりと起きたこととして残る、キャラクターに残ること。

クレイグは見た目こそ冷酷な殺し屋としての007もできますが、孤児から母の愛を求める男、女性を本気で愛した男までをその脆さをもって演じます。

彼だからこそ連続ドラマにできたのだということが、今作で分かりました。

007-no-time-to-die-2021-movie-james-bond

Daniel Craig IS Bond

ダニエル・クレイグはジェームズ・ボンドじゃない。

そんな署名活動がありました。配役が決まったときに、イアン・フレミングの原作ファンらが怒った件です。

ダークヘア、ダークカラーの瞳。小説での描写と違う。彼はブロンドだし瞳もブルーだ。彼はジェームズ・ボンドじゃない。

そんな批判をはねのけて、「カジノ・ロワイヤル」から見事にドラマを紡いできたダニエル・クレイグ。

だからこそ今作のセリフ「ブルーの瞳」には胸を打たれます。あそこは感動して涙が出てきました。

彼の美しいブルーの瞳、それこそがジェームズ・ボンドの象徴に。

送り出していくフィナーレとしては素敵です。私にとってはダニエル・クレイグは紛れもなくジェームズ・ボンドであり、彼によってジェームズ・ボンドに命が吹き込まれました。

血が通った人になったのです。女王や英国というだけでなく、個人として愛する者のために戦ったのですから。

正直ダニー・ボイルだったらどうなっていたのか気にはなりますが、それを言ってはしょうがない。脚本の散漫さもまあ正直やばい。あと、なっちゃん、字幕情報がメチャクチャよ!

しかしこの俳優の人生を変え、そして俳優が映画史に残るキャラクターに新たな側面をもたらした一連のシリーズに終止符が打たれたこと。存分に楽しませてもらったことはうれしく思います。

賛否が分かれてしまうのも納得ですい、クレイグボンドのベストは相変わらずスカイフォールなんですが、楽しく満足できた作品でした。

やはり一つの時代の終わりという感じで、是非とも劇場で観てほしい作品です。一応画角とかの意味でもIMAXはお勧めです。

というところで感想はこのくらいになります。

最後魔読んでいただき、どうもありがとうございました。

それではまた次の映画の感想で。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です