「オールド」”Old”(2021)

「オールド」(2021)

  • 監督:M・ナイト・シャマラン
  • 脚本:M・ナイト・シャマラン
  • 原作:フレデリック・ペータース、ピエール・オスカル・レヴィー『Sandcastle』
  • 製作:M・ナイト・シャマラン、アシュウィン・ラジャン、マーク・ビエンストック
  • 製作総指揮:スティーヴン・シュナイダー
  • 音楽:トレヴァー・ガレキス
  • 撮影:マイク・ジオラキス
  • 編集:ブレット・M・リード
  • 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、アレックス・ウルフ、トーマサイン・マッケンジー、ルーファス・シーウェル、エリザ・スカンレン、アビー・リー 他

作品概要

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「スプリット」「ミスター・ガラス」のM・ナイト・シャマラン監督が、急速に人体の老化が進むビーチを舞台に脱出に挑む人間を描くスリラー映画。

ビーチを訪れて怪異に見舞われる家族は父を「エマ、愛の罠」のガエル・ガルシア、ベルナル、母は「蜘蛛の巣を払う女」のヴィッキー・クリープスが演じ、娘役は「ジョジョ・ラビット」のトーマサイン・マッケンジー、息子役は「ヘレディタリー/継承」のアレックス・ウルフが努めます。

今作はフレデリック・ぺータースによる『砂の城』という漫画?グラフィックのベル?を原作に、シャマラン監督自身が脚本を手掛けた作品になっています。

結構なスターたちが集まってのスリラー作品ですが、「アンブレイカブル」からのシリーズを終えた後で、また源流のようなスリラー映画製作に監督が戻ってきた感じですね。

一時はコロナウイルスの感染拡大を受けて上映が見送られていましたが、無事に北米でも日本でも劇場での公開にこぎつけることができました。

公開週末に早速鑑賞しに行ったのですが、かなり混んでいて、隔席での座席販売をしている今の映画館体制でいうのも変ですが、ほとんど満員状態になっていましたね。

~あらすじ~

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ガイとプリスカ夫婦は、娘と息子を連れバカンスにやってきた。

全てが万全の体制でもてなされる格別のリゾート地で、一家は案内人からアルプライベートビーチへの招待を受ける。

眺めがよく鑑賞されない穴場であるそのビーチに出かけることになるが、他にもその場所を紹介されたグループがいた。

一家はビーチについてからそれぞれリラックスしたり海で遊んだりしていたが、ある女性の遺体が流れ着いたことで状況は一変する。

突然の遺体に戸惑っていると、今度は先ほどまで元気だった老人が急死。さらに連れていた犬も死んでしまう。

警察を呼ぼうにも電波が入らず、さらに岩場を抜けてきた道を戻ろうとすると人が気絶してしまう。

そしてしばらく逃げ出す方法を考えているうちに、なんとさっきまで小さかった子どもたちが急激に成長しているのだった。

感想/レビュー

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根源的な恐怖、死へ向かう過程である老いをテーマに

「ミスター・ガラス」でフィナーレを迎えた3部作については、非常にシャマラン監督の個人的な思い入れがあったと思います。

今作はそこにあった根底の要素は若干受け継いでいますが、むしろもっとシャマラン監督のスリラー商業映画として、エンタメに振っている作品になっています。

まあ言ってしまえばワンアイディアな映画ではありますが、シャマラン監督は”老い”という、つまりはその先に死があることからくる人間の根源的な恐怖を、密室劇のように展開して独自のエンタメに挑戦しています。

まず老いていくこと、しわくちゃになっていくことってこういっては悪いですが気味悪さを持たせられるんですよ。

これはシャマラン監督は過去作の「ヴィジット」でやっていたものですがね。それ以外にもホラー映画とかって老婆とかをモンスターとして描くじゃないですか。

今作ではボケに近い部分をチャールズ、また老化していく気味悪さをクリスタルが担っていますね。

そしてもしも人間が急速に老化してしまったら。なかなか着想は良いと感じます。

差し迫ってくる死を何とか回避しようともがくと、必然的にタイムリミットが与えられますし、それがこのビーチという呪われた舞台をもてば、無駄にアドベンチャーをしなくても勝手にスリリングさを持ちますからね。

限定された舞台にて老化という現象をどのように展開していくのか。シャマラン監督の実験はシャマラン監督らしさに溢れています。

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スリラーの楽しさと設定や事象のバカバカしさが同居

良いところも悪いところも、シャマラン監督らしい。このビーチにはスリラーの楽しさと設定や事象のバカバカしさが同居しています。

そしてシャマラン監督だからこそ、そのヘンテコなバランスが成立しているんだと思います。

こんなことを言ってはアレですが、シャマランだから許されるってあるでしょう。

これはおかしいだろとか、意味が分からんとか。

6歳児で肉体が急速変化してティーンになったのだとして、精神的にも成長してあの状況でセックスしちゃうのとかもう笑ってしまいますよ。

その割にはマドックスとかもろに身体だけ成長していて喋り方とかは割と幼いし。整合性は薄いです。

ただそうした意味不明さとかバカバカしい部分に関しては、なぜだか可愛らしさでカバーしてしまうのが、M・ナイト・シャマランという男なのですよ。

多分これは、作品に気取った感じがないからでしょう。変に知的にしたり考察を深めるようなそぶりも見せません。

超速出産を見せたいとか、急に成長して大人向けのビキニ着てあこがれのスターに話しかけるも大人の会話のできなさがはがゆいとか。

思いついたアイディアを見せたいという、描きたいという楽しんでいる姿勢だけが前にあるから、許容できてしまうのです。

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不完全でもアイディアとスリルはやはりシャマラン

アビー・リーがおにぎり状態になったり、「ファーザー」でアンソニー・ホプキンスを責め立てていたルーファス・シーウェルがぼけちゃったり。

腫瘍摘出のシーンとか、ところどころにホラー的なビジュアルが盛り込まれますが、全体にいつものシャマラン監督の通りそこまで恐ろしい描写はなかったです。

ちなみにビジュアルでは界隈をにぎわせている、トーマサイン・マッケンジーの水着姿がありますね。

非常にわかりやすく初めから怪しいホテル、そして観測者の存在。怪しい雰囲気というのは音楽やカメラのパンなども結構仰々しく盛り上げてきます。

最後は製薬会社による陰謀というようなけっこう今はセンシティブな話題になっていきますが、根底にあるテーマとしてはちょっと、弱者というものは共有されています。

病気の人たちというのもあるんですが、実際には主人公は子どもたちということですし。

過ぎていく時間のなかでどうあるべきか、親が子どもにしてあげられることとは。また時間を超えるような体験をした二人の少年の友情。多数のための少数の犠牲。

掘り下げていけば割と深いテーマをスリラーに載せて描けたであろう要素って本当に多い気がしますが、それがきれいに丁寧に描かれてウェルメイドになってしまうと、シャマランじゃない。

少し抜けてて、でもアイディアはおもしろくて。劇場でスリリングな体験をしながらハラハラできる。

あまり重いものを持って帰らずに済むというのは、シャマラン監督らしい味わいで結構好きな作品でした。

というわけで今回の感想は以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた次の映画の感想で。

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