「ジュラシック・ワールド 炎の王国」(2018)

  • 監督:J・A・バヨナ
  • 脚本:デレク・コノリー、コリン・トレボロー
  • 原作:マイケル・クライトン
  • 製作:フランク・マーシャル、パトリック・ローリー、ベレン・アテイエンサ
  • 製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、コリン・トレボロー
  • 音楽:マイケル・ジアッキーノ
  • 撮影:オスカル・ファウラ
  • 編集:ベルナ・ビラプラーナ
  • 出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、レイフ・スポール、トビー・ジョーンズ、ジャスティス・スミス、ダニエラ・ピネダ、イザベラ・サーモン、ジェフ・ゴールドブラム 他

スティーブン・スピルバーグが恐竜を現代によみがえらせた「ジュラシック・パーク」(1993)。

2015年には正式な続編として、コリン・トレボロー監督により新シリーズ「ジュラシック・ワールド」が公開されました。

世界的にも大きな興業を上げた前作から引き続く、ワールドシリーズ第2作品目の今作は、監督を「怪物はささやく」(2016)のJ・A・バヨナへ交代。

主演は引き続き、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」などのクリス・プラット、そしてブライス・ダラス・ハワードです。また今作の悪役にはレイフ・スポールやトビー・ジョーンズが出演、またオリジナル3部作のマルコム博士ことジェフ・ゴールドブラムも出演しています。

公開の金曜日の夜の回、いまは日比谷別館扱いの元スカラ座で観てきました。結構人いたなあ。あと、今作の作風ゆえに、結構いい感じの反応が聞こえてくる劇場でした。

ジュラシック・ワールドにてインドミナス・レックスの脱走から起きた大惨事から数年。捨てられた恐竜の島では火山活動が活発化し、今にも大噴火を起こしそうな状況であった。

政府や動物保護期間などは協議を重ね、この大災害を前に、島から恐竜を救い出すべきか議論している。神の御業にまかせ、やはり恐竜の絶滅を運命として受け入れるか、助けられる命として種の保護を行うか。

ジュラシック・パーク創始者のジョン・ハモンドの旧友ロックウッドの代理人を務めるイーライ・ミルズは、恐竜保護を訴える、クレア・ディアリングを招き、恐竜を島から救い出すことを提案。

多くの種を助けることが目的であるが、一番の重要確保対象は、あのヴェロキラプトル、ブルーである。非常に知能の高いブルーを捕獲できるのは、やはり母親のようにブルーを育てた、オーウェンしかいない。クレアはオーウェンを説得し、爆発の迫る島へと赴く。

2015年の「ジュラシック・ワールド」、あちらはレビューでも書いてますが、倫理的に好きじゃないです。映画的にも作りが雑すぎて正直キライなくらい。

なので、今作はスルーするかとすら思っていたのですが、まあ監督があのJ・A・バヨナですもの、それは無理w

結局のところ、最近は多くのビッグバジェット映画に、作家性の強いアートハウスタイプの監督が起用されることがあります。それがいつも上手くいくわけでもなく、やはりフランチャイズ性と作家性がバランスを崩したり、衝突しててメチャクチャだったり。

ジョッシュ・トランク監督やダンカン・ジョーンズ監督など、小規模映画では切れ味がすごいのに、フランチャイズの中で苦しむパターンもありますからね。

その点、今作はバヨナ監督の持ち味とジュラシック・ワールドシリーズがうまくバランスをとっていたのではないかと思います。

フランチャイズの部分ではやりたいことはブルーとオーウェンの絆、また自然の法則を捻じ曲げることの人間へのしっぺ返しでしょう。後者に関してはかなりマイケル・クライトンの小説のテーマを押し出していたように感じます。

しかしまあ脚本はそんなにいいとは思えませんが。やはり人間たちの行動やそれぞれの関係性にはあまり納得もいかず。今回恐竜以上にやばい一線を普通に超えるんですが、それの処理も曖昧でしたし。

オーウェンたちとメイシーをカットバックでみせるシーンはありますが、それだけで何か相互的な関係性を築いているとは思えず、なんというか無関係すぎるのです。

あと、結局やっていることはまあ前作と同じで、人造恐竜作ったけどそいつが逃げて色々大変になるというものなのですから、新しさもないですね。

ていうか、ブルーの捕獲意味あったの?なんかもう既にインドラプトルは生み出されていた訳ですし・・・

フランチャイズとして広がりを作り、前作との関係性とかそれこそパークシリーズからの引用とか、いろいろやることは多いようですけども、その仕事自体はやりきっています。

で、それが作家性と上手いことバランスをとっていると思います。

今作、怖いのです。ホラーなんですよね。

オープニングすぐのインドミナスの骨を回収するシーンではっきりと、今作のホラー性が出ていましたね。多用されるのは、一瞬の光に照らし出される闇に潜む怪物ですね。

ゴシックホラーと言うか、ノスフェラトゥですよ。古代の怪物、魔物です。

古い洋館で、月夜に怪物が吠える。そこでの追いかけっこはパーク1作目のキッチンでのラプトルとのかくれんぼの怖さを思い出しました。

インドラプトルを恐竜ではなく、一種の魔獣のように描き、やはり他の恐竜とは少し変わった異形なデザインもよく働いていると思います。

頭の良さとかの演出の中で、ゆっくりと忍び寄るその不気味な爪の手足を映し出し、影を使っての存在感やあのぐるりと回る屋根からのショットなど、狩りをする側の視点もあります。

古典的なホラー映画手法が、恐竜とうまくマッチしていて好きでした。

けっこうびっくりさせてくるシーンが多く、模型の中に本物がいるとか、鏡越しで目の前にいるとか、スリリングで良いですね。

ロックウッド邸ではそこまで分かれ道もなく、緊張が持続しますし見どころです。

ホラー面だけでなく、撮影が面白かったのもありました。インドラプトルが屋根から逆さに窓を覗き込むまでのカットとか、月をバックに咆哮とか、カメラワークとショットが印象的です。

火山大噴火の海中での脱出シークエンスを長回しでみせていて緊張感がありましたし、島からの脱出が美しいこと。

炎と煙に包まれていくブラキオサウルスのカットは切なくも美しいですね。箱舟に乗れなかった種族が、運命を受け入れて黄昏を迎えるのです。実は恐竜が死んでいく、絶滅するようなモチーフはあまりやらなかったと思うので、蘇る感動の上に、種の終焉を観るという視点も組み込まれたのは良いと思います。

画というか、動きの面でおもしろいのは、クリス・プラットが溶岩から逃げるシーンですね。あの動きは見てておもしろいですよ。

世界拡張をしたい意味での、フランチャイズ第2作品目としては楽しいものでした。

脚本はほぼ前作とやってること一緒で、相変わらずドラマと各人物の共存、相互作用には疑問符が残りますが、J・A・バヨナ監督のゴシックホラー演出がしっかりこの恐竜大作の中で発揮され、見所と特色がつけられているので満足です。

止まらない技術開発と、もはやそれを扱いきれなくなった人間。コントロールの効かなくなった、いやそもそやはり管理することはできない生命の力。

その処理で良いのかという疑問は残りますけど、クローン人間まで出してきて、3作目でどうまとめあげる気なんでしょうか。

タイトルのドヤ感はありますけど、ちゃんどパークではなくワールドにしたので、土台の完成したここからが本番ですね。

原題の”Fallen Kingdom”「堕ちた王国」はどちらを指しているのかもおもしろいものです。

感想はこんなところです。前作よりは楽しいですね。緊張感あるホラーの連続でダルくもないですし、大きなスクリーンで楽しんでみてください。ちょっと小さな子供には怖いかもしれませんけども。

それでは。

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