「ロン 僕のポンコツ・ボット」”Ron’s Gone Wrong”(2021)

「ロン 僕のポンコツ・ボット」(2021)

  • 監督:ジャン=フィリップ・ヴァイン、サラ・スミス
  • 脚本:ピーター・ベイナム、サラ・スミス
  • 製作:ララ・ブレイ、ジュリー・ロックハート
  • 音楽: ヘンリー・ジャックマン
  • 主題歌:リアム・ペイン「Sunshine」
  • 撮影:デイビット・ピアーズ、ヘイリー・ホワイト
  • 編集:デビッド・バローズ
  • 出演:ジャック・ディラン・グレイザー、ザック・ガリフィアナキス、ジャスティス・スミス、エド・ヘルムズ、オリヴィア・コールマン、ロブ・ディレイニー 他

作品概要

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イギリスのアニメーションスタジオ、ロックスミス・アニメーションによる作品。高度なAIボットが子どもたちの必需品となる世界で、ポンコツボットをゲットした少年とボットの友情、世界を変えていく冒険を描きます。

主人公の声を務めるのは「シャザム!」などで活躍のジャック・ディラン・グレイザー。

また壊れたBボットであるロンを「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」でも声優を務めたザック・ガリフィアナキスが演じています。

その他お父さんをエド・ヘルムズ、おばあちゃん役はオリヴィア・コールマン、またBボット開発の若きエンジニアをジャスティス・スミスが演じています。

今作はロックスミス・アニメーション初の映画作品になります。

製作自体は20世紀フォックスの元で行っておりますが、フォックスはディズニーの参加であるため、配給としてはディズニーになります。

なので劇場公開もされたのですが、今ではディズニー+で配信もされておりそちらで鑑賞することもできます。

公開時には行こうかと思っていたのですが見逃した作品。なので私もディズニー+の配信にて初めて鑑賞してみました。

「ロン 僕のポンコツ・ボット」20世紀スタジオ公式サイトはこちら

~あらすじ~

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中学生のバーニーには友達がまったくおらず、学校ではいつも一人ぼっちで過ごしている。

彼の孤独は全てあるものを持っていないことが原因だった。それはバブル社から発売されているBボット。

このBボットは持ち主の再考の友人になることを目的に設計されており、スマホのように写真や動画、SNSの機能があるだけではなく、持ち主のデータを収集して最適な友達探しをするマッチング機能まで備わっているのだ。

バーニーのお父さんはそんな息子の状況を知り、なんとかBボットを調達するのだが、それは破損が原因の廃棄予定のボット。当然故障しておりヘンテコな行動ばかりとるのだった。

バーニーはこのロンと名付けたBボットと出歩くが、普通と違うために逆に一緒にいるのが楽しくなった。

しかし、暴走するBボットがいるとバブル社は回収を試み、バーニーはロンをうまく隠しながら、友達づくりの方法について教えていくのだ。

感想/レビュー

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子どものころの自分に共通点を持てる

全体に思っていたよりもアクセスがしやすく、広い範囲を対象にしたエンタメになっています。家族で楽しめるアニメーションです。

題材にはAI、インターネットの世界や数値化された人気、電子世界に限るこちで生まれた新しい”友達”という概念など、主人公であるバーニーの世代を描いているのは確かですが、親たちの存在など含めても申し越し間口が広く設計されていると感じます。

技術革新によってバーニーはどちらかと言えば周囲に置いて行かれている存在。

ここには別に新型のAIボットを手に入れるかどうかよりも、学校のみんなが遊んでいるものを持っていない寂しさが込められていると思います。

例えば私が幼少期のころには遊戯王カードがはやった流行ったのでみんなで遊んでおり、自分も親にねだりました。

また同じくポケモンの新作がゲームボーイで出たときは、持っている前提でバージョンは金?銀?という話題に。(完全に年がばれる)

こういった周りと付き合うためのツールになる商品というのは、いつの時代にもあるはずなので、この点だけでもバーニーとのコネクトがしやすいなと感じました。

軽快なユーモアと現代の子どもたちと技術の関係

そこでやっとこさ(めちゃくちゃ闇市場から)Bボットを手に入れるのですが、なにせ中身がザック・ガリフィアナキスなのですから、イカレていて面白いに決まっているのです。

特徴的な奇妙さのあるジャック・ディラン・グレイザーの声と、ザック・ガリフィアナキスのまじめかつコミカルな声の演技によって、この二人のコンビの掛け合いをみているだけでも非常に楽しかったです。

アブサラムの言い方自体がすごく面白いですが、割とプレーンでビジュアル的にはシンプル、またロボットゆえに制約も多い中で、ここはセリフやその言い回しなどからのユーモアも溢れています。

あと声で言うとオリヴィア・コールマンのレベルの高さ。おもしろいですし、何でもできますねあの人。

超過度な友達作り宣伝広告はじめ、ロンが引き起こしていく騒動は楽しくもありますが、今現在を生きている子どもたちとデバイス、技術の関係性やそこにある厳しさを描き出すことにも貢献していると思えました。

簡単に数値化されることで見える化される。それだからこそ差というものが明確になり、バーニーのような孤独も感じます。

逆に見えすぎるということもあり、その拡散性は一人の女の子を苦しめていますね。

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ややジレンマのある消費社会への批判

子どもたちが生きる今とそこにある苦しさを見せつつ、大人の視点なのがまるで「ゼイリブ」のようなデータ・マイニングからの超消費社会の側面です。

邪悪なアップルと悪魔verのジョブズみたいなタートルネック野郎アンドリューが体現する洗脳的な情報社会。

この側面は子どもの視点よりむしろやはり実際に購買力もある大人たちに向けられていますね。

生活を便利にするためのスマホは今多くの人の手元に置かれ、それはセールスのダイレクトツールになっています。

この点は最もな分析と描写だとは思うのですが、実際のところBボットを手にして欲しいという点は一貫するので、若干ジレンマを感じます。

Bボットは買ってほしいけど、その後の購買は控えよう?

企業活動は否定しなくても良いかと。個人情報を大量抽出するのも実際MA的には必要。不正利用はだめですが。

相手を見つめていくこと

悪役を置きに行くところで私には曖昧なところはありましたが、バーニーとロンの友達を定義し友達作りを変えていく旅は非常に楽しかったです。

ある程度統制された社会において異質な二人と彼らの友情が、最後には社会全体を変えていくのです。

SNSを始めとして展開されていく現代の友達作りの輪。それはBボットが算出するマッチ度のように数値化された相性がありますが、その主語について考えてみましょう。

常に自分です。

自分にとってこの相手が合うのか?自分のデータを発信し、そこから集めていくのは自分のコピーに近しい延長線上の存在。

どのキャラクターも自分のBボットを持っていても、ロンのように名付けるとか人格化はされず、あくまでデバイスどまり。

異物は入り込む余地がなく、それはつまり驚きも不思議もない世界です。

それに対してロンは確かにおかしくて、予想もできず驚きに溢れています。同じ趣味も共通点もなくても、その違いを含めて相手を見つめること。

それこそが本当の意味での友達作りなのかもしれません。

この最高の友人ロンとバーニーがむかえるラスト。切なくも英雄的。

フォーカスがややぼやけるシーンも多々ありながらも、主軸として重要なバーニーとロンが良い出来上がりで、現代の子どもを中心にしつつもけっこう広い間口で楽しめるアニメーションでした。

今後もこのロックスミスアニメーションの新作を期待したいところですね。

CGアニメはディズニーにピクサーが強すぎるきらいもあるので。イギリスはアードマンがクレイアニメ、ストップモーションでは有名なので、イギリスのCGアニメ界の代表的な位置に躍り出てくれると楽しそうです。

というところで今回の感想はここまで。

最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。

それではまた。

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