「コレット」(2018)

  • 監督:ウォッシュ・ウエストモアランド
  • 脚本:リチャード・グラツァー、ウォッシュ・ウエストモアランド、レベッカ・レンキェビチ
  • 製作:エリザベス・カールセン、スティーブン・ウーリー、パメラ・コフラー、クリスティーン・ベイコン
  • 製作総指揮:スベトラーナ・メトキナ、ノーマン・メリー、メアリー・バーク
  • 音楽:トーマス・アデス
  • 撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
  • 編集:ルシア・ズケッティ
  • 衣装:アンドレア・フレッシュ
  • 美術:マイケル・カーリン
  • 出演:キーラ・ナイトレイ、ドミニク・ウェスト、デニース・ゴフ、エレノア・トムリンソン 他

COLETTE-MOVIE

フランス文学界に名を残す作家シドニー・ガブリエル・コレットを「アリスのままで」のウォッシュ・ウエストモアランドが描く伝記映画。

コレットはキーラ・ナイトレイが演じ、夫役にはドミニク・ウェストが出演。

私はコレットのことは全く知らず、ウエストモアランド監督の新作ということと、予告編でのキーラ・ナイトレイのかっこよさに惚れて観に行きました。

公開の週末に行ったのですが朝の回だったからかちょっと空いてました。

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1890年代のパリ。田舎町から結婚を機に移り住んできたコレットは、夫のウィリーと共に華やかなパーティに参加していたが、内心退屈していた。

ある時、次の小説が書けないというウィリーのため、コレットが自分の経験をもとに執筆をすることに。

出版した「学校のクロディーヌ」は大ヒットし、たくさんの、特に女性のファンを生んだ。

シリーズ化を進めていくコレットだったが、あくまで作者はウィリーであり、自分は影の主役に留まっていた。

連名にすることも受け入れられず、自分らしくあろうとすることに抑圧的な夫に対し、コレットは不満を募らせていった。

COLETTE-MOVIE

ウォッシュ・ウエストモアランド監督がキーラ・ナイトレイと共にここで描くのは、まずひとつに過去における存在の証明かと思いました。

時代劇においては、近代史にはトランスジェンダーやゲイの人々がいたこと。

さんざん多くの作品が作られながら、あまりたくさんは登場してこなかったように思えるので、確かに存在したこと、そしてコレットやミッシーを主軸に置くことで彼らの物語を描いたのだと思います。

そしてもうひとつが、これを観る女性たちに声(アイデンティティ)を与える事だと思います。

かつてコレットがクロディーヌを通して、当時を生きた女性たちにそうしたように。

ナイトレイの存在感はルックとしても態度としてもコスチュームドラマに馴染みつつ浮いています。他の女性たちと何か違う。それがコレットが時代の先を生きているような感覚を産み出しています。

無垢な感じもあるのに、カリスマ性や知性をすごく感じる表情。代表的な役になっているんじゃないでしょうか。

COLETTE-MOVIE

彼女を寄り添うようにしてしかし実際には搾取する夫ウィリーを演じるドミニク・ウェストも素敵です。

本当にどうしようもないクズをしっかり?演じています。腹立たしいw

「天才作家の妻 40年目の真実」のジョセフ・キャッスルマンと並んでのダメ男。

微妙にチャーミングさがありながら、端からみれば攻撃的であるわけでもなくタチが悪い男です。

彼にとっては結局コレット、というか女性はモノです。

自分の利益をあげるために話を書くマシン。ファンタジーのために女学生の服を着せ欲求を満たす入れ物です。

ドミニク・ウェストの何が素晴らしいって、やはり見るからに下劣でどうみても悪いやつっていう感じではなくて、社会的にはまあ認められちゃうウィリーの造形。無自覚の根本的な愛のなさが本当に実際によくいる男性的で的確。

colette_film_2018

自分のアイデンティティを取り上げられ、その名を別の人間が使い、受けるべき栄光も受けられない。人格すらも所有されてしまうところは本当に苦しく悲しい。

「アリスのままで」は自分が自分を、アイデンティティを失っていくさまを描き、なお周囲の愛する人がその人を定義づけてくれるお話でしたが、ウエストモアランド監督は今回、アイデンティティは他の誰でもなくその人自身が決めるのだと伝えます。

クロディーヌを奪われてしまったコレットは、自分を表現する文字通りパフォーマーとしてそこに自分を入れ込みます。どこまでも自分を描き自分で表現しようとする彼女の気高く美しいこと。

衣装や美術などプロダクションデザインのレベルも非常に高く、しっかりとこの19世紀の世界に入り込めます。総じて時代劇として出来が良く、そこに息づくコレットの真っ直ぐな強さが楽しめる作品でした。

最近は体の自由すら奪うようなことが本当に多い。その中で、自分の精神含めすべてを自分で表現し、誰にも定義されようとしないコレットは、多くの人に道を示してくれるのだと思います。

彼女は確かに自分に真っ直ぐに生きたわけです。

コレットの姿勢はキーラの演技と存在感に裏付けされて、今の私たちにアイデンティティの持ち主を教えてくれます。

感想はこのくらいです。興味のある方は是非劇場で観てほしい作品でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。それではまた次の記事で。

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