「狩人の夜」(1955)

  • 監督:チャールズ・ロートン
  • 製作:ポール・グレゴリー
  • 脚本:ジェームズ・エイジー
  • 撮影:スタンリー・コルテス
  • 編集:ロバート・ゴールデン
  • 音楽:ウォルター・シューマン
  • 出演:ロバート・ミッチャム、シェリー・ウィンターズ 他

俳優であったロートンの初そして最後の監督作。

というのも公開時は話題作が多く、興行的に失敗。批評家からも好ましくない評価を受けたのです。

しかしTV放送や後の見直しによって今ではこの映画の芸術的価値が認められています。また一部の映画ファンにはカルトとかしているようです。

ミッチャムの悪魔的偽神父はその雰囲気と絶妙な怖さある演技で人気ですね。

恐慌に苦しむ1930年代、ウェストバージニア。銀行強盗をした男は奪った金の隠し場所を息子と娘に伝え、すぐに逮捕される。

刑務所では偽伝道師のハリーと同じ房に入る。ハリーも金のことを聞くが男は答えなかった。しかし男のうわごとにハリーは子供の存在を知る。

程なくして出所したハリーは子供たちの元を訪れるのだった。

おそらくスリラーとしては話自体は普通です。金のため身分を偽り子供に近づく。

しかしロバート・ミッチャムの怪演が見ものです。素晴らしい。屈折し神の名を語る不徳な悪魔。巧みな話術と物腰の良さ、そして聖書の理解。さらに有名なLOVEとHATEのイレズミ。

説教をし周りを従え、子供たちの母を完全に空虚に閉じ込めてしまいます。

まさに魅了しながらその実与えるのは自由の欠落、悪魔の所業です。

しかもその裏で金のために子供を虐待するのです。人のよさそうな顔ににじむ汚さや、見下したような顔も見事ですし、なにより私は上手くいかないときの子供じみた叫びが好きです。

わがままで地団太を踏んでいるようなわめき。

いや嫌悪感はすごいんですが、それをここまで出せるミッチャムが本当にスゴイ。

おかげでこのハリー・パウエル、私の中で生涯の悪役です。

またこの映画は絵的にも雰囲気を統一したもので、幻想的で美しい画面も見る価値ありです。

当時こそ時代遅れと言われたこの白黒がより光と闇を強調します。暗がりに見える何か、広がる人の影など、綺麗ですがおどろおどろしい怖さもあります。

しっとり深く、不安にさせる画。恐怖とは美しさであるのですね。

音楽もなんというか魅惑的です。優しく触れるのに急に刺されるような感じがしました。

対峙するのは羊の皮をかぶった狼。神の名を語る悪魔です。

それはどの闇にもひそみどんな人にもなりえる狩人。本性を見るのは難しく、その前に虜にされてしまうのです。私たちのまわりにも存在しえるものです。

そういう悪と、私たちは向かい合っているんですね。しかもその狩人は休まず、寝ず、深い闇夜に子供をかすめ取ろうとする。

とにもかくにもミッチャムの恐ろしさと幻想的な画面と音楽が素晴らしい映画です。

守りのない無垢な子供たちと悪魔の戦い。おススメのスリラーですよ。

これでお終いで、また次に~

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