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「ウーナ」”Una”(2016)

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una-movie-2016-rooney-mara 映画レビュー
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「ウーナ」(2016)

  • 監督:ベネディクト・アンドリューズ
  • 脚本:デヴィッド・ハロワ―
  • 原作:デヴィッド・ハロワ―『Blackbird』
  • 製作:ジーン・ドゥーマニアン、マヤ・アンセレム、パトリック・デイリー
  • 製作総指揮:ロン・バークル、テリー・アレン・クレイマー、ジョージ・S・カウフマン、ケヴィン・ローダー、デヴィッド・コス、サム・ラヴェンダー、ロビー・アレン、アーロン・L・ギルバート、ジェイソン・クロース、アンディ・ポラック、イヴ・シュークルーン、シャロン・ハレル
  • 音楽:ジェド・カーゼル
  • 撮影:ティミオス・バカタキス
  • 編集:ニック・フェントン
  • 出演:ルーニー・マーラ、ベン・メンデルソン、リズ・アーメッド、インディラ・ヴァルマ 他

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デヴィッド・ハロワ―の戯曲を映画化した作品。13歳にして親ほど年の離れた男と肉体関係を持った少女が、10年以上の時を経てその男へ会いに行くというドラマになります。

監督はベネディクト・アンドリューズ。ナショナル・シアター・ライブの監督をしていたので、舞台演劇と映画のメディア変遷は得意でしょうか。

主演は「キャロル」などのルーニー・マーラ。そして「ローグ・ワン/スター・ウォーズ ストーリー」からベン・メンデルソン、リズ・アーメッドが出演。

今作は一般劇場公開はしませんでしたが、’17年にシネマカリテのカリコレで上映していました。

当時観に行こうとしましたが予定が合わせられず、なんだかんだでスルー。今回はソフトがだいぶ安くなっていたので購入して観ました。

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ウーナはナイトクラブで酔い、適当な相手とトイレでセックスし、朝に家に戻るような空虚な日々を送っていた。

彼女は過保護な母にうんざりし、絶えずある男を探している。

レイ。彼女が13歳の時に愛し、肉体関係を持った男だ。ウーナは彼を本気で愛しており、関係が露呈し彼が逮捕されるという最悪の形で終わった過去をいまだに引きづっている。

ウーナはついに、レイの写真を元に職場を探し出し、一人彼と対面する。

ピートという名で人生をやり直していたレイは突然のウーナの訪問に動揺を隠しきれなかった。

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ベネディクト・アンドリューズ監督は時に舞台的ではあるものの、映画メディアへとしっかりと映しこまれた、非常に複雑かつ明確な答えにたどり着けない題材を、生々しさをもって描いています。

はっきりとした出口も、解決も逃避も与えない。

その作品のスタイルや存在そのものが、ウーナが抱えている問題と同じものになるように設計されていると感じました。

その窮屈さは舞台設計に顕著であり、登場人物たちは大きな倉庫の中やその倉庫の中の檻のような部屋、小さな備品室に入れこまれます。

カメラが捉える彼らの姿には窓枠やドアガラスが仕切りのように立ち、ホールを歩いていても、そびえ立つ積まれた商品のストックが解放感を与えません。

余白を設けるにしても、人物の向いている方向や目の前ではなく後ろ側なのも巧く、窮屈さと後ろ=過去の方が大きな存在となっていることを伝えています。

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常に隠れ、ひっそりと話す。過去と関係性は変わらず、ウーナとレイはけじめをつけきれないですね。

そんな二人を見事に演じているのがルーニー・マーラとベン・メンデルソン。

主演がこの二人であることが、陳腐にもなりかねない題材に、真実味と複雑さをくれていると思います。

ルーニーのどこか子どものような目線や態度も良いですが、個人的にはとにかくベン・メンデルソンが光っていたと思います。

最後の最後まで彼の演じるレイが不透明だったのです。

本当にある女性を愛し、それがたまたま娘ほどの幼い少女だったのか。それとも少女を狙い、機会を確実に得て付け入った捕食者か。

彼の表情も言葉も、信じていいのか常に言い訳し逃げているのか分かんないんですよね。

そもそもベン・メンデルソン自身の魅力が中途半端な悪役面(いい意味で)と思っているので、もしかしていい人?いややっぱクズ?のバランスは彼にしか出せない気がします。

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未成年との肉体関係。それがどれだけ人生に影を落とすのか。

良い悪いの判断も、解放も答えもありませんが、それでこそこの題材にあっていると思います。

その後の愛に対して本物かの判断がつかなくなり、どこまでも根深いものになる。最後のカットが示すように、ウーナは今もなお、あの宿の部屋で、レイを待ち続けている。

非常に複雑で生々しいドラマを、窮屈な画面や舞台にてうまく表現し、役者の素晴らしい演技が完成する。

時に演劇風にも思えますが、カットバックで映される過去が現実に侵食し続ける感覚や、そもそもの信頼性まで含めて楽しむことができました。

下手をすると「はっきりしない」「何がしたいのか分からない」となりそうなところ、絶妙なバランスをとっている作品だと思います。

劇場でみれなかったのが残念ではありますが、スルーし続けず見れてよかったです。

いまかなりお安く手に入りますので、興味があればぜひ。ルーニー・マーラとベン・メンデルソンの演技目当てでもかなり満足できると思います。

今回は感想はこのくらいになります。

それではまた次の記事にて。

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