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「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」”Rogue One: A Star Wars Story”(2016)

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映画レビュー
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「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」(2016)

  • 監督:ギャレス・エドワーズ
  • 脚本:ゲイリー・ウィッタ、クリス・ワイツ
  • 原案:ジョン・ノール
  • 原作:ジョージ・ルーカス 「スター・ウォーズ」
  • 製作:キャスリーン・ケネディ
  • 製作総指揮:サイモン・エマニュエル、ジョン・ノール、ジェイソン・マクガトリン、アリソン・シェアマー
  • 音楽:マイケル・ジアッチーノ
  • 撮影:グリーグ・フレイザー
  • 編集:ジャベス・オルセン
  • プロダクションデザイン:ダグ・チャン、ニール・ラモント
  • 衣装:デヴィッド・クロスマン、グリン・ディロン
  • 出演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、アラン・テュディック、ドニ―・イェン、チアン・ウェン、リズ・アーメッド、ベン・メンデルソン 他

1977年に始まった「スター・ウォーズ」シリーズ。

シリーズはスカイウォーカー親子を主軸として描かれ、昨年公開の「スター・ウォーズ フォースの覚醒」にて新たな物語へとまた一歩進んだわけですが、今作は劇場公開第1作「スター・ウォーズ エピソード4新たなる希望」(1977)のタイトルロールにある一部を映画化した作品になります。

ということで鑑賞したい方は少なくともそのエピソード4は観ておかなくてはいけないかもしれないですね。というか観た方が絶対に楽しいです。

今まで一部除けばシリーズにはこの手のスピンオフはありませんでした。本作はシリーズ初めての試み。

監督には「GODZILLA ゴジラ」(2014)のギャレス・エドワーズ。そして主人公らに「博士と彼女のセオリー」(2014)や今年公開された「インフェルノ」にも出ていたフェリシティ・ジョーンズ、「エリジウム」(2013)にも出演のディエゴ・ルナなど。

さすがに公開してすぐの土曜日、満員状態で観ましたよ。TFAほどではないですが、盛り上がっていました。

あ、ネタバレしてますので注意です。まあ最後どうなるかなんて40年前にわかってるわけですけどw

遠い昔、はるか彼方の銀河系で・・・

銀河帝国による圧政が宇宙を覆い、人々からは希望が消えかけていた。

追い打ちをかけるように、帝国は新兵器を完成させる。それは全銀河の運命を決めてしまう恐ろしい兵器、デス・スター。

そんな厳しい情勢下で帝国への反撃を狙う反乱同盟軍に、連行されて来たものがいた。

ジン・アーソ。数々の犯罪歴がある曲者だが、なんとデス・スターの設計者の娘であるという。彼女を足掛かりに、反乱軍はデス・スターを攻略する糸口を探し始める。

もう毎年スター・ウォーズとか死んじゃうw

えーと、今回はスピンオフでしかもエピソード4直前までを描いているという事で、大方の予想というか結末は分かりきっているものです。ともすれば、行方を知っていながらいかに楽しませるかにかかっていると思います。

その点でギャレス・エドワーズ監督は観客の期待するものをしっかりと出し、私としては満足でした。

スカイウォーカーの血が関わらないスター・ウォーズという事で、タイトル通りの作風を持っている本作。ローグ、ならず者というように、この作品自体がシリーズに対して掟破りであり反抗的。

タイトルロールは無く、惑星の名前も説明も字幕を出し、回想シーンもあります。ワイプの場面転換も使ってなかったかな?スピンオフであるからこそ、枠にとらわれないような作りにもなっていますね。

音楽はマイケル・ジアッチーノが担当し、戦争映画という風格の重々しいスコアも多く、ジョン・ウィリアムズの空気から抜け出た気もしますね。

とはいえ、ファンサービスも欠かしていないところもあります。アイテム名や次々に登場するキャラなどはファンを喜ばせるには十分かと。

コックピット映像が77年の一作目のもののようなレトロな映像なのは、何か当時の映像を埋め込んだのでしょうか?CGターキンとか、小さいドロイドとか。あと、あのチンピラ2人が出てきて結構驚きました。

作りとしても主流から離れた本作ですが、しかしながらシリーズのタイトルに最も忠実な映画でもあると思います。

「スター・ウォーズ」、惑星と戦争。

今作は完全なる戦争映画であり、次々に惑星を飛び回りそしていろいろな場面で地上戦、空中戦そして宇宙戦が繰り広げられ、その描写感覚はシリーズで一番スター・ウォーズであると言えますね。

撮影にもダイナミックに横幅を撮る形で、大きな戦闘が迫力を持って映し出されました。

今作はヒーローが主人公ではなく、ほぼ一兵卒の視点から描かれる戦闘です。そのため、帝国軍突撃部隊ストームトルーパーの強さや、彼らの使うAT-ST、AT-ATなどの兵器が一体戦場で出くわすとどれだけ恐ろしいのかが今までになく感じられます。

地鳴りと共に霧の中から顔をのぞかせるAT-ATの怖さと言ったら・・・

エドワーズ監督は観客に共有された今作のメンバーたちの顛末を巧く使い、「なんとかなる」という映画を観る上で主人公たちに抱く一種の保険を持たせません。

映画が後半に行けば、自ずとその時が来ることが予測されている。だからこそ容赦がない。

さて、今回のメインを引っ張るローグな奴らですが、好きですよ。映画が始まって出会ったのに、彼らの結末には切なさが込み上げました。

ただ、これは今作の個人的にはダメだった部分の一つにも当たるのですが、描写バランスがいまいちかとも思います。

フェリシティ・ジョーンズ演じるジン・アーソですが、彼女の佇まいは良かった。ただ、彼女がチームとして絆を築き最終目的に向かう動機が薄いと思います。

それは今回の人物全てに言えると思いますが、各々自分の目的がありそれは素晴らしいのですが、ローグ・ワンというチームとしてなぜまとまるのかが不明瞭なため、人物に共有されるドラマが見えにくいと思います。

アジア人起用が嬉しいドニ―さんとチアンさんの2人は良い。ただ彼らがチームのメンバーと築いた結びつきってなんでしょう?

リズ・アーメッドのボーディの物語はマッツ・ミケルセン演じるゲイレンからくる彼のドラマで完結していますし。

ジンは育て親と父に再会し心情に変化を持ちますが、それがこのチームの必要性とそこまでつながらないんです。

さて、今作は英雄ではない者たちが頑張るのですが、それは帝国軍側も同じこと。

今回メインの悪役として登場するベン・メンデルソン演じるクレニック長官。彼もまた、帝国軍の強大でカリスマを持つ大物の影で、なんとか英雄になろうともがく男です。

ダース・ベイダーにモフ・ターキン。印象的で、誰もが恐れる巨悪になれない男。哀しい運命の彼が私はとにかく好き。というかベン・メンデルソンが好きですからw あの小悪党な感じというかw

「あんたの手柄じゃねぇから!俺が成功させたって皇帝に伝えろや!」からの「調べてきます・・・」はもう笑えましたね。

彼は暗黒卿じゃないし、トップレベルの指揮官でもない。それでも銀河帝国史に輝こうと必死に頑張るのですよ。

その彼が迎える最期。ふと顔を上げれば、自らが製作し、自分の歴史的な作品であろうあのデス・スターが顔を向けている。あの悔しさ・・・クレニック長官、私はあんたを忘れないよ。銀河帝国の中でも最も重要な人物の一人として胸に刻みました。

実は前半がだるい、フォレスト・ウィテカーのキャラがほぼいらない、デス・トルーパーとか種類いるけど差別化できてない・・・など不満点はありました。

そこは正直に言います。それでも全体としては期待通りにやってくれた作品でした。

輝かしい英雄の物語の影で、数えきれない名もなき者が散っていった。

彼らのそれぞれの最後にはやはり涙しましたし、エピソード4へと近づけば近づくほどに、盛り上がります。

最後に期待していたダース・ベイダーの鬼神のごとき姿も観れて、つくづく一般時からしたら本当に悪夢なんだなと思いながら、あの顔もよく映らず名前もわからない反乱軍兵士たちが、必死に希望を渡していく様に感動しました。

「やった。送信できた。誰かには届いたはずだ。」

自らが英雄になり、一番輝く光を受けるのではないのです。

影の中、必死に誰かを光へと導こうとする。どんな物語にもいるそういった存在。彼らに暖かな目を向け、彼らを見せることでより英雄の物語も厚みを増しました。

希望の下に集まった者が、希望を次へとつないでいく。

いつか、いつの日にか、新たなる希望がやってきてくれることを願いながら。

ギャレス・エドワーズ監督によってシリーズは本格的な戦争映画、そしてフォースを持たず歴史に埋もれても、確かに希望をつないでくれた名もなき戦士たちへの賛歌をここに残したと言えます。

今年も良いスター・ウォーズが観れたな。さて、来年はまた話が進むんじゃ。ライアン・ジョンソン頼んだぞ!

ってことで、長めになりましたけど、ローグ・ワン。お勧めです。私ももう1回くらい観たいかな。

それでは~

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