「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(2015)
- 監督:アラン・テイラー
- 脚本:レータ・カログリディス、パトリック・ルシエ
- 製作:デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ
- 製作総指揮:ビル・カラッロ、レータ・カログリディス、パトリック・ルシエ、ミーガン・エリソン、ロバート・コート
- 音楽:ローン・バルフ
- 撮影:クレイマー・モーゲンソー
- 編集:ロジャー・バートン
- 出演:エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェイソン・クラーク、J・K・シモンズ、イ・ビョンホン、マット・スミス 他
ジェームズ・キャメロンが生み出した「ターミネーター」シリーズの、第5作品目にしてリブート的な位置づけとなった作品。
監督は「マイティ・ソー ダークワールド」などのアラン・テイラー。
シリーズの主役であるサラ・コナーを「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズなどのエミリア・クラークが演じ、カイル・リース役には「アウトロー」などのジェイ・コートニー。
またおなじみのT-800としてアーノルド・シュワルツェネッガーが登場するほか、「猿の惑星:新世紀」などのジェイソン・クラークが未来の指導者ジョン・コナーを演じます。
公開当時は子供のころの3の失望、また4もそこまで楽しめなかったことからスルー。興行収入的にはそこそこ良かったようですが、評価はとても好ましいものではなかった作品です。
今回はかなり経ってからですが、アマプラにあったので観ました。
人工知能スカイネットの反乱により、核戦争が引き起こされ人類抹殺の計画が進められていた。
そんな絶望的な未来において、預言者ともいえるジョン・コナーという男が現れ、機会の軍勢に反旗を翻す。
兵士であるカイル・リースは、ジョンの指導に従い戦い抜き、最終決戦に参加。人類の勝利は目前だった。
しかし中枢部を破壊されることを知ったスカイネットは、人型抹殺マシン”ターミネーター”を過去へ送り込み、ジョンの母サラ・コナーの抹殺で未来を変えようとしていた。
カイルはその後を追い、1984年へと移動するが、襲い掛かってきたのは観たことの無いターミネーターであり、なんと何も知らないはずのサラはT-800型のターミネーターと組み、襲撃者を返り討ちにするのだった。
2015年にまできて製作され続けたターミネーターシリーズですが、この作品が描いていることがあまりに少なく見えました。
やろうとする視点や切り口、現代的なアップデートこそ見えるのですが、うまく機能していない気がします。
全体的にはセルフパロディの極みに思えます。
過去の作品のメモリー、ノスタルジーに対しての茶化しとも思える遊び。
「あの時のこれだ。」「ここはあの展開だ。」というファンを喜ばせようとする演出や画面構成なども多いのですが、どこまで行っても新しい展開を見せようというわけではなく、IFものの豪華なファンメイドに見えてしまいました。
根幹として働くべき部分にまで無駄なコメディ要素を入れた点もあまり感心できなかったです。
サラとカイルの関係性が学園ものラブコメディのようなテイスト。世界に二人だけの存在であり、個人的には1作目のあまりに切ない愛の話が好きだっただけありかなりシラケました。
またシュワちゃんのT-800もなぜだかコミックリリーフような役回りに徹していますね。ロボットらしい言動やあの笑顔など、使いまわしも多すぎますし飽きます。
シュワちゃん自身セルフパロディをしにこの作品に出てる気さえします。
人物たちに関して真面目なドラマが感じられない点が、作品そのものがパロディに思えた要因です。
意外な展開を起こそうとし、そして根底には決められた運命ではなく、そのレールを自分で敷き切り拓くことを描こうとしているはずです。
道中のサラの発言は近代における女性像に言及し、またシリーズが負う種着点ありきの物語に一石を投じようという意気込みを感じました。
しかしそれだけ言っておきながら、根幹的にはそれを外したり変えたりせずに、やはりスカイネットの阻止に落ち着きます。
敵が誰であるとか関係ありません。サラとカイルの役割に変化はない。
アクションを詰め込んでも、もはや見慣れてしまった液体金属や粒子変形を見せられても、驚くことはないでしょう。
若干変にオリジナルもそこまでしつこく触れないようにしていた時間移動や異なる現実、マルチバースに足を突っ込みまくるので違和感も余計に感じます。
そのわりにユニークな物語を作り上げるにも至っておらず、本当に”観ても観なくてもいい”というバランスになってしまった作品でした。
今回は短めですが、感想はこのくらいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた。
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