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「シャザム! 神々の怒り」”Shazam! Fury of The Gods”(2023)

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「シャザム! 神々の怒り」(2023)

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作品概要

  • 監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
  • 脚本:ヘンリー・ゲイデン、クリス・モーガン
  • 製作:ピーター・サフラン
  • 音楽:クリストフ・ベック
  • 撮影:ギュラ・パドス
  • 編集:ミシェル・オーラー
  • 出演:ザッカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・グレイザー、グレイス・キャロライン・カリー、ヘレン・ミレン、ルーシー・リュー、レイチェル・ゼグラー 他

2019年の「シャザム!」の続編。

「ワンダーウーマン1984」「ブラックアダム」などのDCユニバースに属する作品の一つで、神の力を手に入れた子どもである主人公と、その力を取り戻そうとする神々の娘たちとの戦いを描きます。

主人公をアッシャー・エンジェル、変身した姿をザッカリー・リーヴァイが引き続き演じ、ジャック・ディラン・グレイザーが彼の親友を演じます。

また「Fall/フォール」で主演を努めたグレイス・キャロライン・カリー(グレース・フルトン)も前作に引き続いてヒーローの一人を演じています。

今作では敵役として大御所ヘレン・ミレンとルーシー・リュー、そしてスピルバーグリメイクの「ウエスト・サイド・ストーリー」でブレイクしたレイチェル・ゼグラーが出演。

監督は前作に引き続いてデヴィッド・F・サンドバーグが努めています。

DC再編の波の中ではどんな位置づけにいるのか分かりませんが、やや公開延期を受けて無事公開。

前作が結構好きだったため、今回も楽しみにしていました。地味に回数が少なかったため朝早い回に行ってきたのですが、まあそこそこ人が入っていました。

〜あらすじ〜

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魔術師から神の力を授かった少年ビリー・バットソン。

家族にも分け与えたその力でビリーたちは街の様々なトラブル解決に励んでいた。

しかし、子どもゆえにヒーロー活動は難航し、街にはなかなかヒーローとして受け入れてもらえなかった。

ビリーはみんなの結束を強めたいが、家族はそれぞれの生活を自由に生きたいと考えている。

そんなとき、魔術師の残した杖を博物館から強奪した謎の人物たちが現れる。

本来の神々の力を取り戻すため、神の娘たちが人間世界にやってきたのだ。

感想/レビュー

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チャーミングさがあった前作

前作を振り返ると、やたらと深刻な面して”シリアスで大人な”体裁を作っていたDCの中に、すごく牧歌的でおとぎ話のようなチャーミングさを与えてくれたのが「シャザム!」であったと思います。

ボディスワップ、入れ替わりもののような大人と子どもの要素に、オマージュもあった「ビッグ」のようなコメディ要素。

その中で、孤児、繋がりを欠くものが絆を得ていく様と、様々な背景を持つキャラクターがそれぞれにヒーローとなること。

また素晴らしいパワーを皆でシェアしていくという素敵なメッセージもうまく織り込まれていました。

私個人としては前作はキュートですごく好きです。

普通のスーパーヒーロー映画

今作に関してはおおよそ前作から要素を受け継いではいますが、昨今のスーパーヒーロー映画のテンプレートにあまりにハマりすぎていて、魅力が薄らいでしまったと感じます。

良くも悪くもと言いたいですが、絶妙に良いところが少ないかも。

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画面が派手になるほど観客と距離が空く

一番感じたのは中身の薄さでした。

CGIはやたらと派手になり、規模が大きすぎて眼の前で行われる大破壊やパニックが正直実感しづらい。

レンダリングされたコンピュータのグラフィックでしかなくて、「アントマン・アンド・ザ・ワスプ クアントマニア」でも感じましたがどうでも良くなる感覚があります。

何がどうなっているのかよくわからないレイチェル・ゼグラーのドクター・ストレンジのような空間変形の魔法から、ヘンテコな言葉を意味ありげに呟いて繰り出されるヘレン・ミレンの魔術。

ヘレン・ミレンやルーシー・リューのような歳を重ねた名優が、普通は若手ばかりが起用される(キャスティングされたとしても師匠とかの役)ブロックバスター映画でメインのヴィランを演じることに意義は感じますが。

それでもやたらと派手になっていく規模や映像表現に比例して、実直さとかは感じ取りにくくなり映画との距離を感じてしまいました。

ちょっと鬱陶しいギャグ

加えて個人的に感じたのは、入り込んでいなかったからでしょうけれどギャグがしつこく感じたことです。

ジャック・ディラン・グレイザーの独特の声とまくし立てるオタク特有の早口は膳作では可愛さがあったのです。

でも今作では喋りすぎ、ギャグの頻度が多すぎに感じました。

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インクルーシブな姿勢などのハートは失っていません。(LGBTQへの目配せ)

血縁でないところでの家族の結束も見られます。

もっともっと、血縁である女神たちと、そうでないビリーたちを対比してもいい気はしますが。

ハリーハウゼン映画のモンスターたちの奔流なんかも楽しくはありました。

死を軽んじれば生を軽んじる

でも一番やってはいけないことがあります。

DCは全体的にこの辺を軽視している気がしますがなキャラクターの生死についてです。

ネタバレになりますができますビリーが死に、その大きな自己犠牲がドラマとなります。それなのに数分後にはシャザムとして復活し生き返る。

死が軽くなるということはつまり生もまた軽くなるのです。

戦いに身を投じようとも「どうせすぐ生き返れる」と、その人物の行く末に興味が持てなくなります。

スーパーマンを仰々しく殺しながら、次作で復活させたスタジオらしい愚かな決断であると感じますね。

テンプレートヒーロー映画であり、特徴はそのピクセル数の多さに埋没。凡庸であまり記憶に残らない印象となった2作めでした。

DCの改変の中で、ブラックアダムとのクロスオーバーなどあやふやになっている点が多いシリーズですが、良い切り口でまたこの家族の話を見てみたくもあります。

というところで今回の感想は、以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた。

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