「ザ・ファイブ・ブラッズ」”Da 5 Bloods”(2020)

「ザ・ファイブ・ブラッズ」(2020)

  • 監督:スパイク・リー
  • 脚本:スパイク・リー、ダニー・ビルソン、ポール・デ・メオ、ケヴィン・ウィルモット
  • 製作:スパイク・リー、ジョン・キリク、ベアトリス・レヴィン、ロイド・レヴィン
  • 製作総指揮:マイク・バンドリー、バリー・レヴィン、ジョナサン・フィレイ
  • 音楽:テレンス・ブランチャード
  • 撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル
  • 編集:アダム・ガフ
  • 出演:デルロイ・リンドー、クラーク・ピータース、ノーム・ルイス、イザイア・ウィットロック・Jr、ジョナサン・メジャーズ、チャドウィック・ボーズマン、メラニー・ティエリー、ポール・ウォルター・ハウザー、ジャン・レノ 他

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「ブラック・クランズマン」などのスパイク・リー監督が、元ベトナム帰還兵が戦死した彼らの隊長の亡骸を探しに、数十年ぶりに再びベトナムを訪れる旅を描く作品。

元ベトナム帰還兵たちをデルロイ・リンドー、クラーク・ピータース、ノーム・ルイス、イザイア・ウィットロック・Jrが演じており、またそのうちの一人の息子役は「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」のジョナサン・メジャーズが演じています。

彼らの今は亡き隊長役は「ブラックパンサー」のチャドウィック・ボーズマン。そのほか「リチャード・ジュエル」のポール・ウォルター・ハウザー。ジャン・レノもフランス側でかかわる男として登場します。

もともと脚本はオリバー・ストーン監督のもとにありましたが、監督ができなくなったことからスパイク・リーのもとへ。そこで主人公たちを黒人に変更をして映画化されることになったものです。

各批評誌ですごく高い評価を得るとともに、アカデミー賞では作曲賞にノミネート。

製作がセットフリックスなので、配信での公開となりながらも、ルールが変わったカンヌで初めて上映予定となった映画でもあります。そのカンヌ自体がコロナの影響で開催取りやめとなってしまいましたが。

日本のネットフリックスでも公開されていましたので、加入後早速鑑賞です。

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かつてベトナム戦争を共に戦ったポール、オーティス、メルヴィン、エディの4人は、再びベトナムの地に戻るため再会した。

戦死した彼の隊長であるノーマンの遺骨を回収するためであったが、この旅には別の目的もあった。

それは当時米空軍が運んでおり、ベトナムに墜落した輸送機の荷物の回収。

ノーマンと皆で見つけ、戦争が終わったら取りに来ようと約束していた大量の金塊だった。

ポールの息子デヴィッドが勝手に着いてきたりしたが、一同はなんとか金塊を探し出すことに成功する。

しかし、ベトナム戦争はその地と人々の心に大きな闇をいまなお残しており、金塊をめぐる旅は地獄と化していく。

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スパイク・リー監督初のNETFLIX製作映画ですが、非常に監督らしいパワフルさに溢れてはいますが、クラシックになを連ねるほどの傑作とは思わない作品でした。

少々プロットに関して巧くいっていないと感じる部分が見えますが、映像で繰り出していく遊びに満ちていると行っても良い語りには流石の手腕を見せています。

今作は現在のポールたちを主軸に映しながらも、フラッシュバックとして過去のベトナム戦争中の一行を映し出します。

そこではアスペクト比が切り替えられ、時代の変化をそこから示していますが、変遷の仕方としてもおもしろいものが多くあります。

一見写真のようなものからの変化などですね。

シャッター音とともに静止画を映すくだりも多いのですが、ふと写真に見える人物が動き出したり。

それら映像でのストーリーテリングには、決して過去の出来事や一瞬という訳ではなく、彼らが今も生きている、今も苦しんでいるということを示していると感じます。

ポールたちは度々過去のフラッシュバックに登場します。

まあチームメンバーなので当然なのですが、今作では若い時代のために俳優を用意したりせず、現時代のポールたちがみなそのまま歳をとった姿で登場しています。

これは、彼らが今だなおベトナム戦争にいて、ベトナムに心を囚われたまま歳をとったことを示します。

いつまで経とうとも、彼らは今もジャングルにいる。

記憶というシーンでのビジュアルから心理描写を繋げていくのは巧いですね。

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もちろんベトナム戦争がその災禍を残す形として、かつての”アメリカ戦争”に従軍したベトナム兵士たちの子孫が多く出てくることもありますね。

両親を殺された世代がいま生きている。

アメリカ側の兵士が黒人であるという点も、スパイク・リー監督がもともとの脚本から変更したものでありますが、ここではあの戦争によって運命を狂わされた側として多いにベトナム側の人々も描いている。

そうすると、一体誰のための戦争だったのか?

ラジオ放送のアナウンスから聞こえる黒人従軍兵士の割合と、キング牧師暗殺。

建国に協力しながら(させられながら)、戦争に駆り出されその間に同胞を殺害され。

虚無感と怒りを胸に抱きながらもジャングルに残される。

背景においたドラマは数多の映画のなかで見られてこなかった側面であり、ここはリー監督の功績だと思います。

ただ、個人的には多くを盛り込みすぎたような気がします。

監督自身が意識したというクラシック名作であるジョン・ヒューストン監督の「黄金」

ベトナムを舞台にしての戦争の爪痕や、そもそもの白人中心のアメリカという国家の批判に対して、この金塊をめぐっての戦いはあまりかみ合っていないような気もするのです。

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もちろんさすがに組み立ては巧いので、序盤に渡されている拳銃のこととか、地雷撤去を推進するフランスのグループとかも急な登場にはなっていないため、無理やりだとかは思いません。

金塊探し~争奪戦の流れについてはバイオレンスアクションも、地雷が埋まっているという緊張感についても構成自体は非常にいいと思います。スリリングで楽しい。

金属探知機レーザーが反応するたびに、これ地雷じゃない?とソワソワしていたので、退屈では決してないのです。

ただ、どうしてもベトナム戦争に従軍しながらも無視されていた黒人たち、そしてアメリカ戦争によって踏みにじられたベトナムの人々という部分と、この黄金をめぐる話については綺麗にハマっていない気がしてしまいます。

総合的に見て今作が2つの映画をくっつけたように感じるのです。

金塊をめぐっての最後の戦い、「ブラッズは消えない。増えるだけだ。」と言いますが、その通りにこの資金は黒人の差別撤廃、BLM運動につぎ込まれていき、そしてベトナムに残り今なおも犠牲者を出し続ける地雷の撤去へ投入される。

確かに金塊は必要ですが、欲望渦巻く戦いはなんとなく不要だったかに思えます。

ただスパイク・リー監督の映像的なライド手法などは間違いなく楽しめますし、挿入される実際の戦争の写真や動き出し息づく写真、そしてフラッシュバックの使い方などインパクトは強く、エネルギーにあふれる作品です。

2時間30分以上の作品ですが、その力は間違いなく楽しめる作品と思いますので、興味のある方はぜひご鑑賞ください。

ということで感想は以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ではまた次の映画の感想で。

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