「mid90s ミッドナインティーズ」(2018)

  • 監督:ジョナ・ヒル
  • 脚本:ジョナ・ヒル
  • 製作:ジョナ・ヒル、イーライ・ブッシュ、ケン・カオ、スコット・ルーディン、リラ・ヤコブ
  • 音楽:トレント・レズナー、アッティカス・ロス
  • 撮影:クリストファー・ブローヴェルト
  • 編集:ニック・フーイ
  • 出演:サニー・スリッチ、ルーカス・ヘッジス、キャサリン・ウォーターストン 他

俳優として活躍するジョナ・ヒルの監督デビュー作。1990年代中期のストリートでスケートボードに励む少年たちを描きます。

主演は「聖なる鹿殺し」のサニー・スリッチ。

また彼の兄役には「ある少年の告白」などのルーカス・ヘッジス、母親役に「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストンが出演。

NYFFのラインナップに入っていて知り、ジョナ・ヒルが監督デビューとのことで観たかった作品。

日本公開がなかなか決まらないので輸入盤Blu-ray観賞しました。

Mid90s-movie

1990年代半ばのロサンゼルス。

ストリートでスケートボードを楽しむ少年たちに憧れるスティーヴィーは、あるきっかけでボードショップにたむろするグループと親しくなる。

自分のボードを手に入れて、練習を重ねながら仲間たちと騒いで過ごす日々を送る彼は、仲間から”サンバーン”というニックネームをもらった。

しかし一方で、酒やタバコなどに手を出していくスティーヴィーを仲間の一人レイが不安そうに見ているのであった。

Mid90s-movie

ジョナ・ヒルの監督デビュー作として、彼の想いがよても強く出ていると思います。

彼自身子どもの頃にスケートボードをやっていたとのことで、年代も重なって伝記のようですらあります。

この点に関しては、グレタ・ガーウィグ監督の「レディ・バード」に近い温度を持った作品です。

全ては少年期の憧れとある意味での幻滅です。

ストリートの年上の少年たちに憧れ、自分も仲間になってクールになりたい。

冒頭でスティーヴィーが水を汲んで来てほしいと頼まれるシーンのかわいさ。

単なるパシりですけど、憧れの人に何か頼まれる、というか話しかけてもらえるだけで最高に嬉しいものです。

幼さとその感覚が蘇るノスタルジックな作品で、年代問わず、なにかイノセントだったころをスティーヴィーや仲間たちを通して思い出すでしょう。

Mid90s-movie

ただ、この作品は単純な少年期の懐かしさだけでなく、少しだけ大人になることやそこからくる失望も描いています。

スティーヴィーは粋がって、ストリートタイプな男になっていく。

自分はクールなんだと進む彼は、一番大人びているレイに諭されますね。

浮かび上がってくる貧困や家庭内暴力。

カッコいい仲間たちはみんな、居場所をストリートのスケートボードに求めていたんです。ただ滑ってバカなことをしている間は、悩みを忘れられる。

最初は荒れ狂っていたルーカス・ヘッジス演じる兄貴。彼の語る過去を聞いたときはとても悲しかったですね。

母親が次々と知らない男を家に連れ込んでは、ヤリまくっていた。そんな家で彼は少年期を過ごしていたと考えると、グレるのもうなずけます。

スティーヴィ―をぶん殴った後で大泣きする姿が忘れられません。

Mid90s-movie

何度も転んで、失敗して、それでも立ち上がってまた滑り出す。彼らの人生はスケートボードそのもののようです。それは時に非常に危険でもありますしね。

ただスティーヴィ―は自分の環境が恵まれていることにも気づくんです。

知ってしまうのは最高にクールと思っていたストリートの少年たちが、実はとても苦しんでいること。それに、個人的には”自分は彼らと根底的には違うのかも”って悲しさですね。

最後の最後には彼らのビデオが見せられますが、それも本当にただ彼らが遊んでいるだけです。今作はそれだけの映画であり、だから独特です。

何か大きく変わるとかもなくて、ただこの子たちが遊んでつるんで滑る。

ファイブOで警官から逃げ回るとか、酒を変な飲み方するとか。この懐かしい感じを眺めていて、変わらずずっとこうだった気もするのに、いまは過去になってしまったなと。

でも、ジョナ・ヒルは誰もが経験しただろうあの頃をとてもよく捉えているんだと思います。だから作品を観終わって、何の話だっけ?となりますが、でも良かったと思えるんです。

アメリカの90年代のスケートボードをする少年の話。それは遠い国の違う時代の物語ですが、ジョナ・ヒル監督がくれるのは誰しも過去にもってた記憶の、空気や匂い。

そういえば、グレタ・ガーウィグの監督デビューもA24、それからボー・バーナムの監督デビュー(「エイス・グレード」)もA24。もう監督デビューならA24ってことですよw

ジョナ・ヒル監督としても今後観ていきたいですね。今回はさっくりした感想ですが、このへんで終わります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。それではまた。

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