「マー -サイコパスの狂気の地下室-」(2019)
- 監督:テイト・テイラー
- 脚本:スコッティ・ランデス、テイト・テイラー
- 製作:ジェイソン・ブラム、ジョン・ノリス、テイト・テイラー
- 製作総指揮:オクタヴィア・スペンサー、ロビン・マルケイ・フィッシェラ
- 音楽:グレゴリー・トリッピ
- 撮影:クリスティーナ・ヴォロス
- 編集:ルーシー・ドナルドソン、ジン・リー
- 出演:オクタヴィア・スペンサー、ダイアナ・シルバーズ、ジュリエット・ルイス、ルーク・エヴァンス、アリソン・ジャネイ、マッケイリー・ミラー、コーリー・フォーゲルマニス 他
「ガール・オン・ザ・トレイン」などのテイト・テイラー監督がある女性と知り合った高校生たちが、その女性の異常さに徐々に恐怖を覚えていくホラー映画。
主演は「ブックスマート」のダイアナ・シルバーズ。
またタイトルともなっている「マ”Ma”(母さん)」を演じるのは、監督とは「ヘルプ 心がつなぐストーリー」でも組んだオクタヴィア・スペンサー。
その他ルーク・エヴァンスやジュリエット・ルイスが出演。
今作はブラムハウス制作で、日本公開もするかと思っていたのですが、結局はDVDスルーになってしまいました。
今回はわけあって海外版ソフトでの鑑賞となりました。
オハイオの田舎町に引っ越してきたマギー。
転校生としての高校生活に不安を覚えるマギーは、知り合った生徒にパーティに誘われる。
それは人に見つからない空き地で、酒を飲んだりマリファナを吸うなどのモノだったが、断って仲間外れになるのが怖かったマギーは、参加することにした。
未成年で酒が買えないマギーたちは、親切な女性スー・アンと知り合い、彼女のおかげで酒をゲット。
すると今度は、スーの家の地下室で自由にパーティをしていいと提案される。
それ以降スーの地下室は学校中に広がり、酒を飲んで楽しめるスポットになるが、マギーはスー・アンのおかしなところに気づき始める。
初めに言いますと、けっこうめちゃくちゃな部分のある作品です。荒唐無稽だったり、意味が分からなかったり。
しかし世界としてはなんとなく出来上がっている気がします。自分にとってはパラレルワールド的な感じ。
ブラムハウスは色々な幅で、多方面へ向けてホラー、スリラー作品を届けており、今回はテイト・テイラー監督にとっては初ホラージャンルへの挑戦。
その意味では決まり事などは取り払って好きにのびのびやっているということです。
今作の高校生の会話のヘンテコさ。こんな話し方するティーンはまず存在しない感じ。友人間も親子間も。
しかしそれがどこなく味わいになります。そしてキャラクターたちの色付けにも一役買っていると思いますね。
独特な感じが良かったのは、スリラー描写で、スー・アンがSNS配信でストーキングしてくるところ。
あの、「大人が学生のツールにめっちゃ入り込んでくる不気味さ」はなかなか良かったと思います。
またこの作品は思っていたより、スー・アンが主人公です。
その主役にオクタヴィア・スペンサーがいるのはまさに強力な軸になっています。
作品は結構な頻度でジャンルを切り替えていき、コメディからロマンス、ホラーと思えば結構なゴアが展開します。
そのふり幅に応え、なんなら支配して引っ張ってくれるのが、オクタヴィア・スペンサーなんですよ。
いい感じのノリのおばちゃんから、急に狂った気味悪さを出せるのに、ふとすごく哀れな傷を負った女性にもなれる。
流れの中でギアチェンジをできて、特段大きなアクションを伴わないのはほんとにすごい。
その他地味に役者は豪華です。
特にアリソン・ジャネイ。口うるさい上司でちょっと出てあっさり死にますが、十分な印象付け。
かなりオクタヴィア・スペンサー頼りな感じがあって、今作ではダイアナ・シルバーズもそこまで主人公としてのドラマがなく。
スー・アンの背景描写関連も(というか過去のことが普通に犯罪でヤバイ)ある程度の範囲で止まった印象。
設定としてはスティーブン・キングの世界観もある気がするんですよね。
この町はなんとなくデリーっぽくて、それぞれの人間が何だかんだ抜け出せず、そして過去の暴力と恐怖を引きずって生きている。
もう少し若い世代側のドラマが濃く、過去を乗り越える証明がほしかったような。
スケアに関してもカメラパンとジャンプスケアが似たような形で繰り返されることもあります。
まあ最後の記念撮影が個人的には最高なのでOKです。
無茶苦茶な作品ですが、自由さや挑戦があり、オクタヴィア・スペンサーの技を堪能できるホラーでした。
感想は以上になります。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。
それではまた次の記事で。
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