「大脱走」(1963)
- 監督:ジョン・スタージェス
- 脚本:ジェームズ・クラヴェル、W・R・バーネット
- 原作:ポール・ブリックヒル
- 製作:ジョン・スタージェス
- 音楽:エルマー・バーンスタイン
- 撮影:ダニエル・ファップ
- 編集:フェリス・ウェブスター
- 出演:スティーブ・マックイーン、ジェームズ・ガーナ―、チャールズ・ブロンソン、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・コバーン 他
「荒野の7人」(1960)など西部劇を手掛けたジョン・スタージェス監督による、第二次大戦下の脱走劇。
実話に基づくドイツ収容所でのアメリカ兵たちの歳月をかけた脱走を、コメディ要素も入れながら描いています。
当時大人気のスターたちがこれでもかと共演し、それぞれ印象深いキャラクターとなっています。
第二次世界大戦時、ドイツの捕虜収容所にアメリカ兵士たちが捕虜となって連れ込まれる。目を光らせる監視兵や所長たち。
そんな中数々の脱走をしてきたプロたちが集まった。入念に計画を練り、着実に作業を進める彼ら。史上最大級の脱走計画がここに動き出す。
戦争映画でありながら、戦闘シーンが無くほぼ収容所での作業や逃げ回るシーンのみ。
それでも試行錯誤しながら穴を掘ったり、機材を作ったり、監視の目をごまかしたりするのはワクワク、ハラハラさせられ、観ていて楽しいです。
やりとりに笑えるものが多い点や人物のユーモアあふれる性格など、戦争ものながら暗くならずに娯楽的です。
収容所はドイツのものでありながら、アメリカでもある。自由な選択や軍の組織形態にドイツ兵は羨み、捕虜たちは楽しく独立記念を祝います。
色々な設備や楽しみがあっても、司令官を立て脱走を計画するのはなぜか?
もちろん彼らだって家族が、友が国にいます。帰って会いたいのも当然です。しかしそれ以上に脱走には兵士としての義務があるのです。
脱走というのは脱獄と違いますよね。脱獄は基本的に悪人が自分の自由を求めて逃げることです。しかし脱走は任務なのです。
捕虜になってしまっても彼らは立派な兵士。そこでの兵士の義務は、脱走することで捜索隊を出させ、敵軍の兵士の数をそぐこと。つまり後方攪乱する義務があったのです。
国をめざし方々へ逃げる兵士たち。隣国に逃げようとさまざまな方法を試します。
ドイツ軍、しかもゲシュタポが迫る中、レジスタンスに偶然助けられたり。地元の人間に案内してもらったり。当時のドイツ国内にもやはり反ナチス的だった人もいたのでしょうかね?
残念ながら誰しもそう簡単に脱走できるわけではなく、当時逃げ出した多くの兵士たちは捕まってしまいます。またゲシュタポの介入が悲劇的な結果を生むことに。
国際条約では捕虜を殺すことはいけないはずですが、彼らは捕まえた兵士たちを平原に並ばせると、機関銃で銃殺してしまいます。
悲劇的な結末、脱走の失敗の映画化と言えばそうではないように思います。
あくまで脱走はシンボルのように感じました。屈しないという精神のシンボル。
最後のシーン。独房に戻ってきたヒルツはまたボールを壁に跳ね返し続ける。
そのやまない音が何度でもやり続ける折れない精神の鼓動に聞こえました。
普通に観ても楽しめるテンポの良さと、勇敢な兵士たちの尊厳を伝えてくれる映画です。
テーマ曲は誰しも聞いたことのあるものでしょう。是非観て欲しい1本です。
管理人はあまり戦争映画を観ませんが、ほかにもいつか紹介するものがあると思います。
それでは次に!
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