「レゴ ニンジャゴー ザ・ムービー」(2017)
- 監督:チャーリー・ビーン、ポール・フィッシャー、ボブ・ローガン
- 脚本:ヒラリー・ウィンストン、ボブ・ローガン、ポール・フィッシャー
- 製作:ダン・リン、フィル・ロード、クリストファー・ミラー、ロイ・リー
- 製作総指揮:クリス・マッケイ、セス・グラハム=スミス、ジル・ビルフェルト
- 音楽:マーク・マザースボウ
- 編集:デヴィッド・バロウズ、ギャレット・エルキンス、ライアン・フォルシー、ジュリー・ロジャース、ジョン・ヴェンゾン
- 出演:デイヴ・フランコ、ジャスティン・セロー、フレッド・アーミセン、アビ・ジェイコブソン、オリビア・マン、マイケル・ペーニャ、ジャッキー・チェン 他
レゴシリーズからテレビアニメ展開されているレゴ®ニンジャゴーが、劇場用フルCGアニメになりました。
ワーナーからのレゴ長編映画としては、2014年の「レゴ®ムービー」、そして今年上半期公開の「レゴ バットマン ザ・ムービー」(2017)に続いての3作目となります。
英語版で声をあてているのは、なんとジャッキー・チェンですね。主人公たちを指導するマスターの役です。また主人公のロイドにはデイヴ・フランコ、仲間にマイケル・ペーニャなども出演。
私はレゴ®ニンジャゴーはテレビアニメを見たことはないですし、セットも買ったことがなく、初めましてで観てみました。今回は字幕版を鑑賞。入りとしては、まあ観たのが夜の回だったので、5人くらいでしたよw
平和な町ニンジャゴーシティは常に脅威にさらされていた。悪の大王ガーマドンが、いつ攻めてくるか分からないからだ。しかし、シティには信頼できるヒーローニンジャがいて、今までもガーマドンの攻撃から街を救っていたのだ。
そのメンバーの一人であるロイドは、ヒーローであることを隠しながら暮らしているが、彼の日常は散々である。街の人、学校中の生徒など、みんなから冷たい視線を送られているのだ。
それもそのはず、彼が戦っている嫌われ者のガーマドンは、実の父なのだから。
まず感触としては、今までのレゴ実写映画に比べ、だいぶ製品の対象年齢と合っている、もしくはそれ以上の年齢に普遍的に触れるような感じではなくなったと思いました。
子ども向けに純粋にシフトしたと言っていいでしょう。
お話の部分から見ても、ユーモアの種類からしても、いままでに強めに感じられた大人向けの風刺や引用ギャグも無くなり、より荒唐無稽なお祭りタイプであると思います。
そこは個人的には良い調整とも思います。もちろんシニカルさなどがなく、ちょっとギャグがしつこいこともありすごく笑えるわけではないにしても、まあ楽しいかなって感覚はありました。たまに散漫になったことはありましたが。
それよりも、私として気持ち良かった部分は、ビジュアル面にあります。
レゴ実写映画シリーズは、圧倒的情報量の映像も売りだと思いますが、今作は純粋にチーム戦隊ものっぽいので、アクション、メカやその造形、市街地でのバトルなどのビジュアル面がすごく楽しかったです。
ニンジャゴーシティへの空襲からの、各エリア(水中や道路、空中戦)でのアクション。また忍者たちの操るメカの造形に、破壊されていく街のレゴによる表現。
「レゴ バットマン ザ・ムービー」でも少し残念であった、現象や一部造形物がレゴで作られなくなったところは、今作は少し増えてしまい残念ではありますけどね。
あのガーマドンを閉じ込める檻とか、どうやら発売されているセットではしっかりビルドのようですがね・・・何とかしてできる限りレゴで全て組んでほしいです。川の水とかもレゴでやってほしい。
それでも、ロイドのメカドラゴンとか、ガーマドンのシャークロボットとか、造形の巧さとカッコよさが素敵なものもたくさん見れました。
実際に好きだったのは、出動や指令を出してのアクションから集結などの部分。
日曜朝のテレビで活躍するヒーローたちが、そのまま大スクリーンでよりビッグに活躍している、その感覚は好きでしたね。
転がりまくるお話には納得のいかない部分や説明不足に思える部分もありますが、今作は観ているうちに特に中盤からはだいぶプロットを絞り始めてくれるので終わるころにはまあ一本道を通ってきた感覚になります。
父と息子の物語。まあこれはレゴ映画が貫いていることでもありますが、しかし一番の肝である部分は、肉親が一番憎むべき相手であること、そして倒すべき相手であること、ではありませんでした。
というかギャグテイストによってそもそもの確執が曖昧です。
失った時間を埋め合わせていくことも、共に何かをすることも、良いことは良いのですけどね。前半部分でヒーロー活躍をメインにし、またマスターからの真の忍者になるため云々のくだりをかなりやっていますから、中盤前までに十分に土台を作れなかった印象。
全体のプロットの配分や進行に関して、散らばったパーツを組んでいくことはできなかったのかな。
親子の再生や師匠を超えること、また自分の真の力を見出すこと。
各主題が相互に作用してくれると、より全体に芯が通る形になったかと思うのですが、それぞれ別で動いているので・・・仲間たちはなぜ力を持っていて発現できるのか、そして彼らはいかにロイドとガーマドンの父子関係に影響するのか。そういった面では十分に納得できませんでした。
また今作はレゴ世界の前に現実パートが入っているため、構造的に全て語りでしかないというか。この仕掛けは「レゴ®ムービー」でやってますしね。
さすがにすべての要素がカチっとハマるような感覚は無かった感じです。
それでも生まれに呪いのある子が親を許す場面に関しては、非常に優しかったと思います。
前2作に比べてしまうと、もしくはその期待を持っていくと、拍子抜けしてしまう。
それは否めません。しかし、純粋にレゴニンジャゴーというブランドの劇場版(仮面ライダーとかの劇場版みたいな)だと思ってみると、圧倒的映像情報に、カッコいいメカやバトルなど、視覚で楽しむ分には良い作品でしょう。
個人的には、ポップな音楽面も好き。カンフー映画メロディと合わさった”Found My Place”とかね。
あとジャッキーのある意味アイドル映画的側面もあります。
レゴ®ニンジャゴーが好きな子供たちなら、そのままスクリーンサイズと共に大きくなった感じでいいんじゃないかな。ビルドを眺めるだけでも、レゴ好きならおススメ。
そんなところで感想は終わりです。今後もレゴ®ムービー2とか、まだまだレゴ長編映画続いてほしいですね。
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