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「ナイス・ガイズ!」”The Nice Guys”(2016)

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映画レビュー
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「ナイス・ガイズ!」(2016)

  • 監督:シェーン・ブラック
  • 脚本:シェーン・ブラック、アンソニー・バガロッジ
  • 製作:ジョエル・シルバー
  • 音楽:ジョン・オットマン、デヴィッド・バックリー
  • 撮影:フィリップ・ルースロ
  • 編集:ジョエル・ネグロン
  • プロダクションデザイン:リチャード・ブリッジランド
  • 美術:デヴィッド・アトリー
  • 衣装:キム・バレット
  • 出演:ライアン・ゴズリング、ラッセル・クロウ、アンガーリー・ライス、キム・ベイシンガー、マット・ボマーマー、ガレット・クアリー 他

「リーサル・ウェポン」(1987)の脚本や「キスキス、バンバン」(2005)を監督し、少し空けて「アイアンマン3」(2013)で復帰したシェーン・ブラック監督。

彼が脚本と監督をした本作は、LAを舞台にしたバディものという事で、ある意味十八番の題材ですね。

そのバディには「ドライヴ」(2011)のライアンゴズリング、そして「グラディエーター」(2000)などのラッセル・クロウが出演。今作には新人女優のアンガーリー・ライスも出演。

北米公開からは本当に待たされていましたが、ようやく公開されて楽しみに観に行きました。

昨年の「デッドプール」(2016)並みに劇場が笑いに包まれて、最高な2時間でしたよ。

1977年、ロサンゼルス。とあるポルノ女優の事故死が起きた。

冴えない私立探偵のホランドは、その女優の叔母から、姪の捜索を頼まれる。事故死したはずの女優が2日後に自宅にいるのを見たというのだ。ホランドは叔母が見たのは、よく似た女性のアメリアであるという事は突き止める。

一方、そのアメリアは自分を嗅ぎまわる男たちを追い払うようにと、殴り屋であるヒーリーに依頼。ヒーリーはホランドの家に行き彼に警告をするのだった。

しかし、アメリアを探しているのは”男たち”、つまりホランド以外にもいたのである。

舞台は1970年台のLA、そして物語には私立探偵にタフガイ、殺し屋からセクシー女優がいます。それらが不審死や失踪、大企業のつながりなど陰謀を感じさせる。

こんなに好きな題材はないのです。私は今作を見ていて、テイストこそ違えど、「インヒアレント・ヴァイス」(2014)を思い出しました。

ヒッピー文化はないですが、描かれているものは近いかと。まあこの作品にはあちらにあるようなイノセンスと喪失はないですけど。

さて、バディものが得意なシェーン・ブラック監督によるバディという事で、十八番なんですよ。堅実に2人組を楽しませてくれますね。

ライアンゴズリングがここまでフィジカルにコメディができると、それを証明しているというだけで今作はおススメ。彼の幅というか、また楽しみが増えていますよ。

もともと「オンリー・ゴッド」(2013)などでは注目していた彼の裏声。それが惜しげもなく聞けて笑えます。

ラッセル・クロウの方は彼のいろいろが混ざっているように思えました。殴り屋は暴れん坊のラッセルらしいですが、ヒーリーの見せる正しくあろうとするドラマは、少しまた単なる粗暴な男とは違ったものでした。

まあ各人物非常に印象に残る作品で、終盤になってやっと出てくる殺し屋のマット・ボマーもすごく印象深く。失踪のアメリアからキム・ベイシンガー(豪華な配役ってだけでネタバレになるパターンでしたが)もやはり強い。

しかし今作でとりわけ光っていたのは、娘役のアンガーリー・ライスです。彼女がおませな女の子をやっていますが、可愛らしさが最高です。

勇気もあり主演の2人のキャラよりも数歩先を行く切れ者。この新しい才能を見るという意味でもやはり見逃せない作品でしょう。

今作は宣伝でも分かりますが、コメディ。終始笑いの絶えない劇場でしたが、無理もないってほど面白いですよ。

ライアン・ゴズリングのキャラがボケなのですけども、彼は成長というのはしないのです。終始お金に弱く、痛いのがキライで絶妙に間違っている奴です。

「命令に従ったって言ったやつを知ってるか?ヒトラーさ!」は個人的に一番このホランドを表している台詞だと思います。間違ってないというか、まあいいたいことは分かるんですが、でもお前間違ってるよw というアホの子。

そこに突っ込みを入れていくラッセル・クロウもよくハマっていました。

そっと廊下を覗き、ヤバいと思って静かにエレベータに戻るこの2人を、愛さずにはいられませんw

フィジカル、ダイアログ、ワンライナーすべてがしっかりと面白さを持って機能していると思いますので、楽しめる作品として間違いなくおすすめです。

そういった笑いに包まれているのは、社会考察と批判ですね。

この作品でキーとなるのはポルノ映画のフィルムですが、私はもう映画が何かの力をもち、役に立つというだけで(ベン・アフレックの「アルゴ」(2012)とか)その作品が好きです。

そしてアメリアの台詞はそのまま、この作品を表しているともとれますね。

「ポルノは見せかけ。大事なことはストーリーに込めた。」

まさしくこの作品も、おバカなコメディというベールで包みつつも、その中にはとても黒い闇を抱えています。大事なのは大企業や大きな組織が結託し、個人を食いつぶしているということ。

本質を上手く包みつつも、よく考えればとっても恐ろしい。決して冗談ごとではないというのは、今作がその暴力描写で手を抜いていないことにも表れていると思います。

血、銃やあっさりとした死。残酷で悲惨な部分は実はかなり真正面から描いています。

陰謀論に対してこれほどヘロヘロなヒーローたちもいないとは思いますけど、キュートでスマートなサイドキックもいて面白おかしく笑いつつ、その裏で起きていることには、体勢への不信という今のアメリカがまた感じ始めているものもあるのかなと思わせるものでした。

とんでもなく腐った世界で、正しさを捨てないでという女の子のために、ギリギリ踏ん張って頑張るこのダメな男たちに、感銘を受けます。

とにかく笑えるのでおすすめ。ゴズリングの新境地に、これからが楽しみな新人アンガーリーも見れますので。

シェーン・ブラック監督はあの「プレデター」(1987)のリメイク?リブート?を予定していて、どうやら完全復活かなと期待させてきますね。

というところで感想は終わりです。それでは、また。

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