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「キングス・オブ・サマー」”The Kings of Summer”(2013)

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映画レビュー
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「キングス・オブ・サマー」(2013)

  • 監督:ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
  • 脚本:クリス・ギャレッタ
  • 製作:タイラー・デビッドソン、ピーター・サラフ、ジョン・ホッジェス
  • 音楽:ライアン・ミラー
  • 撮影:ロス・リエージュ
  • 編集:テレル・ギブソン
  • 美術:タイラー・ロビンソン
  • 衣装:リネット・マイヤー
  • 出演:ニック・ロビンソン、ガブリエル・パッソ、モイセス・アリアス、メアリー・リン・ライスカブ、ニック・オファーマン 他

2017年のお祭り怪獣映画「キング・コング 髑髏島の巨神」を撮ったジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督が、そんな大抜擢をされる前のインディ系映画がこちら。

私はキングコングで監督を知ったので、遡ってみた感じですが、この作品自体日本での一般公開はしていなかったという事です。何か特集上映で観ることはできたらしいですけども、その後の日本版ソフトなども出ておらず、そこで見逃した人は私と同じように海外版で鑑賞という事になりそうですね。

主演には「ジュラシック・ワールド」(2015)で兄弟のお兄ちゃんの方を演じたニック・ロビンソン。彼の父役にはニック・オファーマン、親友役にガブリエル・バッソが出演しております。

15歳のジョーは、何かと命令してくる父親にうんざりする毎日を送っていた。最近は再婚相手の女性を連れてきては、息子と仲良くさせようというのも気に入らない。

ジョーの親友パトリックも、未だにべったりで過保護な両親に嫌気がさしていた。

そんな2人はある時、迷い込んだ森の奥で、自分たちだけの王国建設の場所を見つける。ここに家を建てて、自分たちで自分たちの好きなように生きてやる。

2人は着々と準備を進めるとさっさと家を出て、森の奥にすべて自分たちでルールを決められる楽園の生活を始めるのだった。

夏の青春映画として、この成長まっただ中で恥ずかしくも可愛くて輝く映画は個人的にかなり好きです。ちょうど15歳という設定が、大人びた問題を抱えさせずに、割りと軽快なのも心地よくて好きなところです。

少しづつ自立していき、個人がすごく形成される始まりみたいな歳ですから、問題のベースが子供らしさがあってかわいいのですよ。

大親友ペアで、なりきりのイタかわいいジョーに、正統ハンサムのパトリック、そして何しててもおかしな変わり者のビアジオと、この3人の少年たちの森での生活を見ているだけですごく楽しい。

余計な心配が適度に排除されて観やすく、かつ行動が実に幼稚さをほんのり抱えていて、自分のガキのころのバカさをもう一度観ているようでした。

それももう戻ってこない、無垢さからの卒業ギリギリの当たりなもんで、余計にノスタルジーですし輝いて見えます。

ジョーとパトリックにひげが(それもダサめにw)生えてくるのも良い演出ですね。大人の男の象徴みたいなものが見えつつも、やはりまだ男と言うには不釣り合いなあの顔がおもしろい。

ジョーやケリーの見る妄想が実にばかげているのもかわい過ぎるのです。

そんな少年たちだけでなく、囲む親たち大人も笑どころ多すぎの人物ばかり。途中のセラピストには吹き出しましたw

直面する問題は、純粋ながら苦いものでして、ジョーにとっては大きく成長するところですね。

恋と友情のはざまで揺れ動いた挙句に、追い出したからこそ自分が出ていけなくなった状況。もう引っ込みもつかないし、かといってこのままってわけにもいかない。

その解決には友情をみせつつも、少しきっかけとしては明確性に欠けた印象もありますが、あそこで口数というか台詞がことごとく少ないのがもう最高ですよ。はにかみすぎてこっちが恥ずかしいわ!

どちらにせよ前に進まなければいけない。こんな夏だっていつかは必ず終わってしまうのです。

ラストシーンで別々の車に乗りながら、窓越しに互いに言葉を交わさずに友情を確かめる演出の素晴らしいこと。やはり言葉はいらないのですね。

個人的にですが、最後の車の進行方向も少しほろ苦く思えましたね。別の方向へと走っていくのは、やはりいつか来るであろう別れと、それぞれの人生への暗示に思えますし。

設定された歳に絶妙に合わせたかわいげある問題に、観ている方もその無垢さと成長がぶつかった瞬間を思い出すと思います。ロバーツ監督は幼さの残る愛らしい青春映画を作っていると思いますね。

キングコングからさかのぼりましたけども、観て良かった1作でした。

感想はそんなところで、それでは、また~

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