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「マダムと泥棒」”The Ladykillers”(1955)

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映画レビュー
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「マダムと泥棒」(1955)

  • 監督:アレクサンダー・マッケンドリック
  • 脚本:ウィリアム・ローズ
  • 製作:マイケル・バルコン
  • 音楽:トリストラム・キャリー
  • 撮影:オットー・ヘラー
  • 編集:ジャック・ハリス
  • 出演:アレック・ギネス、ケイティー・ジョンソン、ピーター・セラーズ、ハーバート・ロム、セシル・パーカー、ダニー・グリーン 他

「成功の甘き香り」(1957)で知られるアレクサンダー・マッケンドリック監督が、アレック・ギネスを迎えた犯罪コメディ。

非常にシニカルである意味ブラックユーモアな作品で、私の中ではけっこうお気に入りになります。

アカデミー賞には脚本賞にノミネートされるなど、狭い舞台で限られた人物たちが織り成していく、予想できない話が魅力です。

ロンドンのキングス・クロス駅の近くに、下宿を営んでいるウィルバーフォース夫人がいた。夫人は夫を亡くし、今はペットのインコと静かに暮らしている。

ある日夫人のもとにマーカス教授という男が現れ、演奏団の練習場所として夫人の家の二階の部屋を借りたいと申し出る。一人の退屈な日々に少しの賑やかさが得られると思い、夫人は承諾した。

後日教授は演奏団の仲間という男らを連れてくるのだが、実は演奏団というのは真っ赤な嘘で、現金輸送車を襲う強盗団だったのだ。

かくして夫人を利用し、犯罪計画を進める男たちであったが、夫人の思わぬ行動に、計画は予想外の方向へ・・・

こちらの映画はけっこう密室的。出てくるのは、駅、通り、そして夫人宅のみ。その限られた場所で繰り出されるおかしな犯罪。

とにかくハラハラさせる作りであるのは間違いなく、それは観客という視点を持つからこそだと思いますね。夫人もそして強盗団ですらも全体像をつかめぬ中、観客だけは何が起こっているのかを把握していますね。

この視点がゆえに、変なところで躓いたり、空回りしたりするのが余計にスリルになりさらに面白味にもなります。

このケイティー・ジョンソン演じる夫人の、おばあちゃんっぷりに感心です。おせっかいやおしゃべりはもちろん、可愛らしさも持ち合わせています。単に善人というだけでなく、過度な部分があるおかげで、緊張をもたせるきっかけにも働いています。

すやすや寝てる夫人に、「死んでる?」って。ちょっとブラックな笑いもナイス。

この泥棒たちのキャラ立ちも良い感じで、みんなどこかコミカルです。

大男がヨチヨチあわててるだけでも面白いですが、アレック・ギネスのオーバーアクトな感じも良いです。彼は絵を調整したり、いちいち几帳面なところがありますね。

物語は終盤にみるみる収束していき、予想もしない結末がやってきます。なんというかノアールというには明るいですが、確実にブラックな笑いが残るでしょうね。

そしてなにより、最後の最後でオープニングでの夫人のやりとりを使って粋なオチがまっているとは!上手い。平凡な毎日、相変わらずの会話の中に、実は恐ろしい悪が眠っているのかもしれません。そうしたことには気付かずに、私たちも人の話を聞いているのかも・・・?

というわけで、笑いながらもしっかりと驚かされる、小粋な犯罪コメディでしたね。一回は観てみてほしいですね。それでは、また~

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