「グレイマン」(2022)
作品解説
- 監督:ジョー・ルッソ、アンソニー・ルッソ
- 脚本:ジョー・ルッソ、クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー
- 原作:マーク・グリーニー『暗殺者グレイマン』
- 製作:クリス・カスタルディ、ジェフ・キルシェンバウム、マイク・ラロッカ、パラク・パテル、ジョー・ロス、アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
- 音楽:ヘンリー・ジャックマン
- 撮影:スティーヴン・F・ウィンドン
- 編集:ピエトロ・スカリア、ジェフ・グロス
- 出演:ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス、ジュリア・バターズ、ジェシカ・ヘンウィック、レジ=ジーン・ページ、ダヌーシュ 他
「アベンジャーズ:エンドゲーム」などを手掛けたアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟がNETFLIX史上最高額の製作費をかけて撮るスパイアクション大作。
主演は「ブレードランナー2049」のライアン・ゴズリング、また彼を追いかける残虐なエージェントを「キャプテン・アメリカ」シリーズのクリス・エヴァンスが演じます。
さらに「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」で短いながらもアクションシーンで魅せたアナ・デ・アルマスが諜報員として活躍、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で印象的だった子役ジュリア・バターズも重要な役で出演しています。
企画自体は2011年ころから存在しており、様々な変遷を経て製作開始。もとからシリーズ化する構成似て製作されているとのことで、新たなアクションスリラー物を目指しているのでしょう。
NETFLIX製作のため基本的には配信での公開ですが、これまでも何回かあったように期間限定にて一部の劇場で公開されています。
今回はせっかくの大迫力系アクション映画ということで、劇場で鑑賞してきました。
有名俳優がそろっていてなのですが、そこまで混んでいなかったですね。
~あらすじ~
犯罪者を刑務所から出す代わりに、CIA諜報員として任務に就かせるシエラ・プロジェクト。
プロジェクト内で多大な成果を上げてきたエージェント・シックスは、政府の機密情報を流しているという男の抹殺任務にあたる。
しかしそこで対峙した男とは、同じプロジェクトで諜報員であったフォー。彼はCIAの闇が込められたメモリファイルをシックスに渡し、シックスはプロジェクトのエージェントが次々に殺されていると知り雲隠れする。
シックスがメモリを横取りしたと知ったCIA本部長は、民間の傭兵であるロイド・ハンセンを雇い、さらに世界中の暗殺部隊に手をまわしてシックスの殺害を命じる。
かくして世界中から銃を向けられたシックスは、プロジェクト創始者であるフィッツと彼の姪を守るため、ロイドの包囲網をくぐりながら世界を駆け巡る。
感想/レビュー
アクション映画見本市
映画の歴史において、様々なアクション映画シリーズが名を連ねています。
諜報員を描くそれらは非常に多く、各シリーズがそれぞれの色を出しながら、時に独自性を高め、時にそれぞれの革新を吸収して進化していきます。
007。イーサン・ハント。ジェイソン・ボーン。そしてアクション史にはジョン・ウィックも登場。
連なる系譜に対して、ルッソ兄弟が持ち込んだのはそうした映画史のアクション見本市でした。
今作はとめどないアクションとそれを印象付ける舞台や環境設定のオンパレードで、行きつく暇もなく2時間突っ走っていきます。
小食気味になる子の詰め合わせは、個人的には美しい「マッドマックス 怒りのデス・ロード」ではなく、すこしこぎれいになった「アンビュランス」に近しいものを感じました。
大騒動は被害を小さくする
正直言うと騒がしくて、アクションを突き詰めていこうとする姿勢はおなかいっぱい楽しめるとしても、あまりにドラマ面がないために実際に人物を気にかけ続けることができませんでした。
またアクションシークエンスは派手ではあるのですが、ルッソ兄弟にしてはアクションのゴールがあまり見えなかった点も正直退屈。
結局は殺すか殺されるかという点に執着するので、構造的には舞台も含めてどうでもいい。決着のつき方って殺害以外にないんです。
だから広場も路面電車も迷路(これに関しては全く意味がない)も、飾り立てる要素でしかなくてアクションの根幹をなしているとは思えませんでした。
不死身すぎて注意がそれる
クリシェそのものの人物たちについては、これまでの「ドライヴ」から「ブレードランナー」でも感じるロボット感が出ているライアン・ゴズリングはクール。
ただ、カッコいいのも良いところですが、そのロボット感は不死身性を増しすぎていて、かなりケガをして長時間休みなく動く割には強すぎる。
ジョン・ウィックはこの点で消耗感とか披露したアクションが見れて良かったのですが、いかんせんシックスは強すぎて、あまり死んでしまうかも?と心配するに及びませんでした。
全てがいけ好かないクリス・エヴァンス演じるロイドの造形は良かったです。
ナチスヘアーに口ひげ、ポロシャツに白パンそしてノーソックススリッポン。こんなにうざい服装ある?(褒めてます)
アクション俳優として輝くアナ・デ・アルマス
007でもスピンオフを望まれるほどの存在感とキャラの良さをみせていたアナ・デ・アルマスですが、今作でもOPから花柄スーツを決めていて、ちょっと強引な感じ含めていいキャラになっています。
よく考えると割と都合よく助っ人として参加することになっていますが、カッコいいので良いです。
全体に人物は分かりやすくキャラクターですし、暗殺者が少女を救うために奮闘するというあの関係性も何度も見てきたものです。
話についてはアクション以上に見どころはなかったと思います。
ここは007っぽい、ここはMIシリーズっぽい。ボーンのような戦闘。サンプリング祭りが過ぎるかな。
いろいろと追っていくと意外に見づらい格闘戦。CGも結構感じ取れる大破壊。
ストーリーで感心する点がないのでアクションであれこれ考えるのですが、シチュエーションこそカラーとか印象づいているものはあれど、根本的に革新的と思えるものはなかったり。
すごく微妙です。
総合的にアクション映画をまとめはしたものの、オリジナルとして何かを生み出してはいないと思います。独特なシーンがあると言っても、それは設定自体はあくまで焼きまわし。表面上の色を変えても意味はないと思います。
あと最後に、「アンビュランス」ほどではなくとも、ドローン使ってぐるぐる撮影するのはそんなにおもしろいでしょうか?意味のある使い方をしてほしいですね。
今後シリーズとして展開するということで、まだまだグレイマンが活躍するということですから、今度こそはもう少し緩急とドラマをしっかりしてほしいと思います。
正直最近はNETFLIXの作品は微妙なものばかりに思えます。
今回はあわなかったのでちょっと酷評気味ですが感想はここまで
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ではまた。
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