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「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」”STARWARS The Last Jedi”(2017)

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「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(2017)

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作品概要

  • 監督:ライアン・ジョンソン
  • 脚本:ライアン・ジョンソン
  • 原作:ジョージ・ルーカス
  • 製作:キャスリーン・ケネディ、ラム・バーグマン
  • 製作総指揮:J・J・エイブラムス、ジェイソン・マクガトリン、トム・カルノースキー
  • 音楽:ジョン・ウィリアムス
  • 撮影:スティーヴ・イェリドン
  • 編集:ボブ・ダクセイ
  • プロダクションデザイン:リック・ヘインリッチス
  • 衣装:マイケル・カプラン
  • 出演:デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、ドーナル・グリーソン、ケリー・マリー・トラン、ベニチオ・デル・トロ、ローラ・ダーン、キャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、フランク・オズ 他

1977年に初めの作品「スター・ウォーズ」が公開され、その後長い歴史を経て、2015年に新たな3部作の始まりである「スター・ウォーズ フォースの覚醒」が公開。

それから2年後に、今回の作品が公開となりました。

主演陣は引き続いて、今回は前作のラストからの直結という事で、スター・ウォーズの主人公、ルーク・スカイウォーカーとしてマーク・ハミルが復帰。

監督は「LOOPER/ルーパー」(2012)で有名なライアン・ジョンソンが務め、脚本も彼が担当。

さらに撮影や編集など結構監督の昔なじみが集結しているようです。

公開の初日に夜の回でIMAX2D鑑賞。もう満員でしたよ。

その後IMAX2Dを2回、通常字幕を1回観てきました。

今回は少し評価が割れている?ようで、少なくとも批評家筋はかなり絶賛ですが、観客側ではすごく酷評の方も多いのだとか。

~あらすじ~

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遠い昔、はるか彼方の銀河系で・・・

スターキラー基地を失いながらも、共和国の壊滅に成功したファーストオーダーは、全銀河を武力で支配しようと猛攻を仕掛けていた。

もはや元老院もおらず、レイア・オーガナのみが支えであるレジスタンスは、かすかな希望、ルーク・スカイウォーカーの帰還を信じながら撤退戦を繰り広げていた。

そしてそのルークのもとには、ジャクーから旅立ち、カイロ・レンと渡り合った少女レイがいた。

今こそ伝説のジェダイマスターの力が必要と訴えかけるレイだが、ルークはそれを拒否し、希望をつなぐはずのライトセーバーを放り投げてしまう。

混乱するレイに対し、ルークは「ジェダイは滅びる」と言い放つのだった。

感想/レビュー

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前作より2年スパンで、ある意味新鮮度は薄らいだ状態での今作。

正直な感想としては、映画としての出来の良さは、シーンごとに起伏があり、脚本に難ありです。

しかし、総合的な評価としては、良いところの良さが自分には本当に素晴らしく感じたので、楽しく大好きな作品と言っていいでしょう。

素晴らしい画づくりに圧倒される

まず良かったのは(これもシーンによって落差がありますが)画作り。

予告で感じていた美しいビジュアルは健在で、1枚の画として説得力があった場面が多かったと思います。

赤の強いスノークの間(エリート・プレトリアン・ガードがホントカッコいい)、ハイパードライブがまさに閃光”スパーク”を放ち、割れるスターデストロイヤー。

塩の惑星クレイトの特に赤い水晶が見える洞窟に、月の光をバックに走るフィンとローズなど、ビジュアルのセンスはスゴく好きでした。

主軸を結ぶ編集

また、撮影だけでなく編集の面でも、つながりを持ったカットも良いですし、何よりレイとカイロ・レンとのフォースで結び付くシーンが見事です。

ただのカットバックだけで、音の操作はありますが、特別な二人だけの空間世界を示して見せる。

運命の恋のような描写が、ついに手を触れあう瞬間のハッとする高揚を演出していました。

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カイロ・レンが光る

で、実際人物としてもおもしろかったのは、カイロ・レンでしょうね。

後で書いていきますが、正直なところ人物の描き方というのは脚本の部分からして微妙に感じました。

しかし、アダム・ドライバーが演じたカイロ・レンは、おそろくこの作品のハイライトであり、彼が出てくるシーンはそれだけでこの作品を押し上げる力があります。

歴代のシリーズでも最も魅力的なキャラクターの一人となったと思いました。

分厚い肉体に対してどこか少年のような顔のアンバランスさが、そのまま精神の不安定さを表しているようですし。

表情一つとっても、常に進むべき方向に迷っているというか。

その顔は、師に見放され恐怖に目を見開いた少年のままなんですよね。

そのまま誰も信用できずに、孤独に生きてきた。

レイとは絶対的な孤独を共通点に繋がり、だからこそ”You are nothing. But not to me.”があまりに切ないのです。

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ただカイロ・レン以外の部分で目を向けていくと、厳しい部分もあると思います。

まず今回の脚本はライアン・ジョンソン監督本人が手掛けていますが、運びの部分でも、そもそもの構成の部分でも飲み込むことが難しいと思いました。

失敗のための無意味さ

ひとつは、無意味な事が多いこと。

必死に行動する人物たちに対して、結局その行為が無駄でしかないように感じることで、個別のストーリーすら不要になっています。

フィンとローズの冒険は、最終的に意味はなかったですね。

それも、ホルド提督がなぜか作戦の共有をしなかったからです。

彼女がはじめからポーやフィンに計画を話していれば、わざわざ危険を冒してコードブレイカーを探す必要も、船艦の中での内乱も必要ないわけです。

どうして作戦の説明をしなかったかという点に納得できるものもありません。

これは単純に、今作が観客の期待、予想を裏切る手法に徹底したためだと思います。

ツイストとして良い部分もありますが、その衝撃の事実や驚きの展開を目指すために、ミスリードが多くなっています。

それがロジックとしては疑問が残るせいで、モヤモヤしてしまったのも事実です。

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シリーズとしての連続性で観ると厳しい人物の描写

目的のために破綻しているのは、人物描写にも感じられました。

分かりやすいのはポー・ダメロンでしたかね。

今作ではそれぞれのキャラクターが、現時点からある地点まで旅を、それは魂の旅というか、成長する旅でもあるものをします。

ポーのゴールは、英雄になるよりも、希望の光を守ることが大切であり、そのための自制や逃走も必要であることを学ぶこと。

それ自体は良いのですが、そこにいくためにスタート地点を低くしたせいで、「フォースの覚醒」と同一人物か疑問に思うほど無鉄砲、トリガーハッピーな暴れものという設定がついてしまいました。

正直、「こんなヤツだっけ?」という思いが頭から離れず、プロットのために無理やり人物設定を変えられたようで飲み込みづらく感じました。

もちろん、最後に”We are the spark to light the fire…”と、提督の残した言葉を彼が言うのは、良い呼応と成長には思えるのですが。

実際バランスが悪いのか、あえて掘り下げ具合をキャラごとに変えたのか。

主軸が良いので、できればサイドはまっすぐにするなり、そこまでツイストを入れなくても良かったのかもしれません。

ルーク含め、失敗から学んでいくという根底のテーマがあるのでまあ許容できるのですが、前作のある作品としては厳しいという感じでしょうか。

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”自分の”スター・ウォーズを作る覚悟

それでも総合的には好きなお話になったのは、新しい展開をくれたからです。

「フォースの覚醒」の時点で確かに全く新しい人物を登場させましたが、振り返ってみるとプロットはそこまで冒険してない気がしています。

今作は驚きの展開に加えて、やはり偉大すぎて離れることができなかった旧3部作に対して別れを告げ、もっと言えばそれらを終わらせていく気概が感じられたのです。

今までにないものをやり、先が完全に読めない拡張をすることは、本当の意味でスター・ウォーズが進んだと思いました。

だからこそ見終わってすぐはそれが飲み込めず、やはり旧3部の何か空気とか伝統に浸かっていた私には、スター・ウォーズっぽくないと思えたのです。

しかし考えてみると、公開時に初めて「帝国の逆襲」を観た時ってこんな感じだったのかなと思います。

堅実なファンサービスではなく、切り開く勇気

前日譚である新3部作に、ファン接待が強かった前作、そして終わりは始めから分かっていた「ローグ・ワン」

それらは堅実におもしろい。

ですが、今作でライアン・ジョンソン監督は、リスクを負ってでも前に飛んだ。それを評価したい、そしてその姿勢がすごく好きです。

伝説を否定し、ジェダイを否定し。

フォースが全ての者のものだと示し。

ここにきてまたルークの成長する姿を見せてくれるなんて、嬉しいかぎりですよ。

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どこかで「スター・ウォーズ」らしさが独り歩きしていた

交わらずに終わる赤と青のライトセーバー。

それどころか、共に戦うことがあるなんて。

「スター・ウォーズらしい」を根底から覆していこうとする度胸には脱帽でしたし、そもそもその”らしさをファンが自分の中で勝手に作り上げている思い上がり”にも気づかされました。

複数の回想を入れたり、ボイスオーバーをしたり、スローモーションを使うなんてこともしていまして、映像手法としてもスタイルを変えていますしね。

2つの夕陽を眺めるルークに、最高の敬意とお別れを感じます。

しかし、既存のスター・ウォーズを捨てるわけではないと思うのです。

ルークがいうように「常にそばにいる。」

まさに超えるための存在として、完全に古い世代は終わり、新世代は未知の領域へ飛び出しました。

その上で、脈々と続いた英雄伝が根底には横たわっていると思うのです。

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確実にシリーズの歴史を大きく動かした本作。

確かに粗があり単純に上手くいっていない脚本部分はありますが、私はそれ以上にここまで過去から続く”らしさ”を超えていった気概に感動し、ライアン・ジョンソン監督には拍手を送りたい。

意見、評価が別れるのも最もですが、こうして繰り返しから抜けてくれたのは大きな一歩でしょう。

次でこの3部作も最後、再びJ・J・エイブラムス監督の手に託されたわけですが、この今までにない展開の先が楽しみで仕方ないですね。

そんなわけで、スター・ウォーズ最新作の感想でした。

嬉しいような悲しいような、最近毎年SWやってるせいで特別感と言うかありがたみが少なくなってきちゃいました。

というところで感想はおしまいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ではまた。

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