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「コラテラル」”Collateral”(2004)

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「コラテラル」(2004)

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作品解説

  • 監督:マイケル・マン
  • 脚本:スチュアート・ビーティー
  • 製作:マイケル・マン、ジュリー・リチャードソン
  • 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
  • 撮影:ディオン・ビーブ、ポール・キャメロン
  • 編集:ジム・ミラー、ポール・ルベル
  • 出演:トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット・スミス、マーク・ラファロ、ハビエル・バルデム 他

2004年に公開されたアメリカ映画。「ヒート」などのマイケル・マン監督によるサスペンス作品で「ミッション:インポッシブル」シリーズなどヒーロー役が多かったトム・クルーズが初めて本格的な悪役に挑戦したことでも知られています。

悪人トムに脅されて夜のロサンゼルスの街を走り回ることになるのは、「ジャンゴ 繋がれざる者」や「ベイビー・ドライバー」などのジェイミー・フォックス。この作品でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。

他にも「マトリックス」シリーズでナイオビを演じたジェイダ・ピンケット・スミス、「アベンジャーズ」などのマーク・ラファロ、そして「007 スカイフォール」などのハビエル・バルデムが出演しています。

作品のタイトル「Collateral(コラテラル)」は、「巻き添え」といった意味を持つ言葉で、タクシードライバーのマックスが、殺し屋であるヴィンセントの犯行に巻き込まれてしまう様子を指しています。

初めて見たのは中学生くらいだったか。テレビで観たのですが、配信にて久しぶりに観たので感想を書きます。

~あらすじ~

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ロサンゼルスの夜。タクシー運転手のマックスは、いつもどおりにと仕事をこなしていた。

しかし、彼の車に乗ったのは、冷酷な殺し屋ビンセントだった。彼は、夜の間に複数の標的を処理する予定で、マックスを自分の運転手として雇う。

始めは無関係の存在であったマックスも、次第にビンセントの行動に疑問を抱き、自身も巻き込まれていくことになる。

感想レビュー/考察

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マイケル・マンと言えば1995年の「ヒート」であの有名な市街地での銃撃戦を描き、いまでも愛される名作となっている監督。

今作では夜を舞台にして、変わらず臨場感をうまく演出しています。この映画はタクシー運転手がいつもの夜を過ごしていたら、異物が紛れ込んで地獄と化していくもので、すべてがこの一夜に起きています。

なのでリアルタイムに進行するような焦り、現実感、一瞬一瞬を肌で感じるような感覚が必要で、そこにロサンゼルスの夜をそのまま切り出してきたかのような撮影が投入されている。

夜闇の深いところは深く奥が見えない。街の喧騒も明かりも、においまでも感じられるような。

こういう感覚は後に「ナイトクローラー」とかでも感じられますね。

撮影で映される街並みが良いので、ビンセントに振り回されていろいろなところに走りまわされるマックスの気持ちを、同じ車に乗って体感するような臨場感で感じることができます。

また脚本の構成についても重要に思います。この脚本はスチュアート・ビーティーがたった17歳の時に思いついたものであり、面白いのと同時にすごく短い時間を、逆行することなく進行するサスペンスです。

過去のことを振り返ったり、情報を整理することもなくただこの一夜を突き進んでいく。だからこそ目の前のことにだけ集中させることができ、先も読めない楽しさが純度を増してスクリーンに映し出されます。

さらに舞台設定も、まさに同乗者。

車や電車などが重要な要素に、舞台になっていますが、これも良い仕掛けです。逆走したりはせずまっすぐどこかに行くだけ。その過程や最終地点で運命は決まってしまう。だからこそマックスは必死にもがくわけです。

最初は従順なマックスが徐々に不満をあらわにして反撃していきますが、ある意味で外からの救いでもあった刑事ファニング。彼を途中で排除することで完全にマックスは自力で何とかするしかなくなるというのも好き。

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さて悪人を演じたトム・クルーズですが、これがまたカッコいい。

役作りのためにFedExの配達員をやって人ごみに溶け込む方法を身につけたり、LAPD他から銃器扱いの訓練を受けたりしたようです。

ビンセントはマックスを試す意味でも最初は横柄であったり、場面ごとに冷酷さやマックスの母に会う際の紳士的なふるまいなど幅のある、環境適応して目的のために進んでいく恐ろしさがあります。

またトム・クルーズ自身が超絶アクションの不死身のヒーロー感があるため、それを逆に止まらない殺人マシンという真っすぐさに置き換えた魅力もあります。

チンピラに絡まれた際にクイックドローであっという間に銃殺し、ダブルタップ決めるところとか動きがカッコいい。

ビンセントの造形や語りも必要最低限で良いです。彼自身の言動から何らかの過去を思わせ深みのある造形になっていながら、やはり過去を振り返ったり変に語りすぎないせずミステリアスさを保っていますね。

このビンセントに対してふやふやで自身のないマックス。

彼は運転席にいても主導権を握っていない。ビンセントはマックスの真後ろに座り、命を握っています。二人は同じ車の中にいても異なる視野を持つ。バックミラーから互いに目を合わせることはできても、対峙できていない。

これが最終決戦で電車の中の窓ではまっすぐに相手に向き合う構図に変わるというのがまた巧い演出です。

非常にスリリングでまっすぐ前だけを見た脚本に臨場感ある撮影、人物の造形も絶妙で楽しめる作品です。

この作品ももう20年も前と思うと感慨深い。

今回の感想はここまでです。ではまた。

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