「ダムゼル/運命を拓きし者」(2024)
作品解説
- 監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ
- 製作総指揮:ミリー・ボビー・ブラウン、ロバート・ブラウン、ダン・マゾー、ザック・ロス
- 脚本:ダン・マゾー
- 出演:ミリー・ボビー・ブラウン、ニック・ロビンソン、レイ・ウィンストン、ロビン・ライト、アンジェラ・バセット 他
「ゴジラVSコング」や「エノーラ・ホームズの事件簿」などのミリー・ボビー・ブラウン主演で贈るファンタジーアクション。ドラゴンのいけにえにされた王女が生き残るために剣を持つ。
今作は「28週後」などのファン・カルロス・フレスナディージョ監督がNETFLIXで製作した作品です。
他にも演者には、「ワンダーウーマン」などのロビン・ライト、「ラブ、サイモン」のニック・ロビンソン、そして「ブラック・ウィドゥ」のレイ・ウィンストン、「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」などのアンジェラ・バセットと、豪華な俳優陣がそろっています。
ネトフリ映画なので劇場公開ではなくて配信ので公開。3月の初めの頃に配信されていて、短めということでサクッと観てみました。感想はちょっと遅れましたけれど。
~あらすじ~
厳しい寒さと資源の少ない土地で、王女として育ったエロディ。彼女は父と母、また妹とも協力し民のために自ら食物を探すなど、国のために尽力していた。
そんなある日、大国の王妃が父に縁談の話を持ち掛けてきた。王子の結婚相手にエロディを選びたいというのだ。
結婚など興味もないエロディであったが、大国とのつながりを持てば豊かな資源を自国に分けてもらえる。父の想いやなによりも民を想う気持ちが、エロディを突き動かした。
そして王国をおとずれたエロディたちであったが、すぐさまに結婚の儀を行うことになり王子や王妃と共に険しい山の渓谷を訪れる。
そこで誓いのしるしに王子と血の契約を結ぶエロディだが、なんと王子は彼女を深い谷の底へと投げ落としてしまう。そして奥底でエロディを待ち受けていたのは灼熱の炎を吹き出すドラゴンであった。
感想レビュー/考察
古典の脱構築
作品のタイトルですが個人的に聞きなれないので調べてみると、英語の原題「Damsel」。
これは「乙女」や「若い未婚の女性」を意味した言葉だそうです。
西洋の物語には、「Damsel in distress」と呼ばれる典型的な型があります。これは、苦境にある乙女が王子様などによって救出される、おとぎ話などによく見られる物語の型です。まあ古くはディズニープリンセスがやっていたあれですね。
しかし今作が、ミリー・ボビー・ブラウンを主演に迎えて2024年に公開されたネトフリ映画が、そんな典型的なものをなぞるはずもなく。
もちろん?フェミニズムを前にした作品ですし、往年のプリンセスと王子様の物語を脱構築していきます。
身勝手な男たちに搾取される若い女性の話
話としては、ある国王がドラゴンの巣を見つけて、(邪悪な生き物だから?)幼い子どもドラゴンたちを殺してしまいます。それに怒った母親のドラゴンは、王の配下を皆殺しにした上で、王の子孫も同じく殺すことを約束。
それ以来王は自身の娘を生贄として捧げ続けることに。
しかし一計を案じ、外から連れてきた若い女性に、王子の血を交ぜることで血縁であるとドラゴンを騙し続けているといった流れ。
まあつまり、男性が勝手に引き起こした殺戮と嘘の代償を、若い女性が支払わされているというなんとも分かりやすい現代の投影なんですね。
で、そんな渦中に放り込まれた十分に自立したエロディが、すべてを変革し構造を覆すお話になっています。
これまでにも「エノーラ・ホームズの事件簿」でシャーロック・ホームズの妹として女性が主役で往年の物語を変えてきたミリー・ボビー・ブラウン。今回も彼女がアイドルとして活躍。
お姫様な衣装のほうがあまり見ない彼女ですが、衣装変化はドラマを組まれていて楽しめるようになっています。
生きるために拘束具を脱ぎ捨てる
ドラゴンに襲われることで彼女は生き延びなければいけなくなります。その時、狭い穴をすり抜けるためにドレスをぶっ壊す。
身動きが取りにくいためにコルセットを外し捨てる。
女性が生き抜くため、彼女を縛るものを捨てていくことが衣装を脱ぎ捨てるところに重ねてあります。これはエロディに限らず女性の解放を示す点です。
レイ・ウィンストン演じているお父さんも最終的には娘のことを思って戻ってきてはくれますが、はじめは政治の道具として利用しちゃいましたし、王子も含めてろくな男性キャラはいません。
シンプルに何がしたいのかすごく分かりやすい映画ではあります。
わかり易すぎるのが気に入らない人もいるとは思いますし、この手のテーマに飽きたなら、正直そんなにひねりもなくて微妙かも。
ミリー・ボビー・ブラウンがハマって光る
そこで最後にどこに注目すべきかと思えば、やはり主演のミリー・ボビー・ブラウンです。
自立した女性、剣を構えて自らの運命を切り開く。機転もきくし行動力もあって、くよくよしない芯の強いこの英雄像を、彼女は見事に演じてみせます。
これまでのキャリアもあるでしょうけれど、ハマるんです。様になってる。竜を操る女となった終盤のカッコよさよ。
ビジュアル面は奇抜なデザインもなくしょうがないですがスタジオグリーンバック感もあります。
脚本に着目するよりも主演をアイドルとしてミリー・ボビー・ブラウンの華麗なかっこよさを堪能するのがいいでしょう。
今回の感想はこのくらいです。
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