「エマ.」(2020)

  • 監督:オータム・デ・ワイルド
  • 脚本:エレノア・キャットン
  • 原作:ジェーン・オースティン『エマ』
  • 製作:ピーター・チャーニン、グレアム・ブロードベント、ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
  • 音楽:イソベル・ウォーラー=ブリッジ、デヴィッド・シュワイツァー
  • 撮影:クリストファー・ブローヴェルト
  • 編集:ニック・エマーソン
  • 出演:アニヤ・テイラー=ジョイ、ミア・ゴス、ジョニー・フリン、ビル・ナイ、カラム・ターナー、ジョシュ・オコナー、アンバー・アンダーソン 他

emma.-anya taylor-joy-movie-2020

ジェーン・オースティンの名作「エマ」を音楽業界で写真やミュージックビデオを手掛けてきたオータム・デ・ワイルド監督が映画化。今作は長編映画監督デビュー作でもあります。

主人公エマを演じるのは「サラブレッド」「ミスター・ガラス」などのアニヤ・テイラー=ジョイ。

また彼女の友人ハリエット役には「サスペリア」などのミア・ゴス、そしてエマと何かとぶつかるナイトリーを「ビースト」のジョニー・フリンが演じています。

その他、カラム・ターナー、ビル・ナイ、ジョシュ・オコナーらが出演。

北米では3月公開だったのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大で多くの映画館が閉鎖したことで、早くから配信も始まった作品です。

日本公開は今現在(2020.9.22)は未定でしょうか。

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裕福な家庭に生まれ、教養と美貌を兼ね備えた若きエマ・ウッドハウス。

エマは母が亡くなり、姉が嫁いでいったことから、今は父と暮らしている。

彼女は友人のハリエットに慕われており、ハリエットの花婿探しのために様々な紳士を品定めし、ハリエットに助言していた。

そんなエマを、ナイトリーは支配的で高慢だと指摘し、二人は互いを皮肉りあう。

しかし、病気をしていたジェーン・フェアファックスが戻ってきたことにより、それまで優位的に構えていたエマは大きく揺らぐことになる。

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ジェーン・オースティンの『エマ』はこれまでにも映画化されてきていますが、オータム・デ・ワイルド監督はそのエッセンスをしっかりと掴みながらも、独特な毒のあるユーモアを散りばめています。

エマの高飛車さ、大人たちのちょっとおかしな人物造形。

プロダクションデザインはぶっ飛んでいます。この作品の衣装から道具、美術などすべて、とにかく眺めているだけで美しい。

アニヤ含めて俳優陣の着こなしも素晴らしいので、眼福です。

しかも今作は音楽が流れの中に、アクションの効果音的な役目も追っていて、全身を使ってのコメディとなり楽しいです。

そして大事なのは、そのユーモアというのは決してこの作品を面白おかしく語るわけではない事。

確かに遊びはありますが、緩急をつけてのドラマチックな部分やロマンチックさはしっかりとあります。

そのバランスを取って、誰にでも感情移入したりできるキャラクターたちを見ているのが好きでした。

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もちろんそれは、そんなどこかおかしなキャラを、ドラマのあるシーンでは切り替えて演じることのできるそれぞれの俳優陣の力だなと感じるわけです。

アニヤ・テイラー=ジョイはその大きな瞳から色々なことを語っていける俳優で、表立った感情表現を控えつつも、エマの焦燥や嫉妬、悲しみなどを見せてくれます。

同じように毅然としていても、エマが調子に乗っているときと、心が裂けそうになってなお強がっているのとを分けて感じ取れます。

あと、終盤での鼻血。アレ本物らしい。

撮影時に鼻血を出すことができたそうで(imdbのtriviaから)、コメディックさと、見た目からエマが崩れているのが合わさって効果的な演出に思えます。

またミア・ゴスの幼さ加減とか、ジョシュ・オコナーのイタイ子からの癇癪切り替えも良く、いるだけでなんか心地よいビル・ナイも素敵です。

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ブラックまで行かないけれど、クスッとしてしまうユーモアに包まれ、ルックも完璧で美しい。

ただ最後までみていくときに、やっぱり少女の成長期として、精神の旅としてすごく良いんですよ。

みなさん10代の頃とかに感じていた、他者との比較、常に優位に立っている必要があるという強迫観念。

だからこそ、ハリエットをマーティンから遠ざけるのもやはり間違ってるけど身勝手さを自分の過去に感じたり。

そしてエマがジェーンと馬が合わない、というか才能を恐れてしまうのもよく分かります。

自分が世界の中心ではないと気づき始めているけれど、まだまだ光を浴びていたい。でも大切なものは別にあるんです。

色々並べて結婚を拒否していましたが、人を愛することも普遍的。

ダンスシーンは最高にトキメキますね。あそこで、みんなでダンスするわけですが、エマとナイトリーだけが手袋をしていないんですよ。

二人だけが、お互いの肌に触れあうということ。最高。

ルック、演技。原作を保存しながら特徴あるユーモア。初監督作にして素晴らしいデビューを飾った作品だと思います。

感想は以上になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

それではまた次の記事で。

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