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「彼女たちの革命前夜」”Misbehaviour”(2020)

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misbehaviour-film-british-2020 映画レビュー
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「彼女たちの革命前夜」(2020)

misbehaviour-film-british-2020

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作品概要

  • 監督:フィリッパ・ロウソープ
  • 脚本:レベッカ・フレイン、ギャビー・チャッペ
  • 原案:レベッカ・フレイン
  • 製作:スザンヌ・マッキー、サラ・ジェーン・ウィール
  • 製作総指揮:アンディ・ハリース、レベッカ・フレイン、キャメロン・マクラッケン、ジェニー・ボーガーズ、ローズ・ガーネット、アンドレア・スカルソ、ナターシャ・ワートン
  • 音楽:ディコン・ハインクリフェ
  • 撮影:ザック・ニコルソン
  • 編集:ウナ・ニ・ドンガイル
  • 出演:キーラ・ナイトレイ、ジェシー・バックリー、グレッグ・ギニア、レスリー・マンヴィル、ググ・バサ=ロー、キーリー・ホーズ、リス・エヴァンス 他

「ザ・クラウン」などのフィリッパ・ロウソープ監督が、1970年のミス・ワールドで起きた妨害騒動を描く作品。

家父長制の打倒を目指した女性解放運動の初期のころ、女性をモノとしてその見た目を評価するシステムに一石を投じた女性たちの話になっています。

主演は「オフィシャル・シークレット」などのキーラ・ナイトレイ、「ワイルド・ローズ」などのジェシー・バックリー。

また、「マザーレス・ブルックリン」などのググ・バサ=ローがイギリス領のグレナダ代表者を、またアメリカのコメディアンボブ・ホープをグレッグ・ギニア、彼の妻役を「すべてが変わった日」で印象的なレスリー・マンヴィルが演じます。

作品の題材に似合っているミスコンテストですが、ミス・ユニバースとかインターナショナルとかある中でとても有名なもののひとつらしいです。

そんな有名コンテストですが、結局美女コンテストというかただの男性が喜ぶだけの時代錯誤甚だしい卑しいもの。

それに対して、女性差別であるとして運動を起こした1970年、ウーマンリブの先駆け的なちょうどその時を実話をもとにして描いた作品ということですね。

実は作品の背景については全然知らず、BFI製作の今作も認知していなかったのですが、映画館で予告を観てから興味を持ちました。

私はジェシー・バックリーが出ていたら無条件で鑑賞したいのでそれもありますが、まさに今もアメリカで問題になっている女性の身体の所有権について歴史的な部分も知りたいというのがありました。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」とか、ウーマンリブをもっと知っておきたいと思い鑑賞。

公開週末で朝の回でしたがまあ入りはそこそこでしたでしょうか。公開規模がちょっと小さめなようです。

「彼女たちの命前夜」のキノシネマ配給作品紹介ページはこちら

~あらすじ~

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1970年のロンドン。

学問をやり直すため大学に進学しようとするサリーは、男性主権的で女性を無視する体制に嫌気がさしていた。

彼女は家父長制を打ち壊していくために、女性労働者についてや女性に対する差別を学び、活動家の集会にも参加した。

そこでサリーはジョーという女性に出会う。彼女と仲間たちは急進的で行動派。

インテリなサリーとは対照的ではあるものの、世界を変えたいという思いの強さに共感していく。

そのころ、ロンドンではミス・ワールドが話題沸騰。

世界中から美女を集めて審査し、No.1を決めるそのイベントは、ルッキズム、女性をモノとして見る性差別、そして抑圧の象徴のようだった。

自分の娘がTVでそれを見て真似する姿に耐えかねたサリーは、ジョーたちのグループとともにミス・ワールドの開催中止を訴える活動を始める。

感想/レビュー

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交差する2つの闘い

今作は主人公を一応はキーラ・ナイトレイ演じるサリーに置いてはいるものの、実は2つの物語がクロスする内容になっています。

1つは家父長制を倒さんとするサリーやジョーの、ミス・ワールド開催中止の運動。

そしてもう1つが、公民権運動を経た後ととしてなお激しい人種差別への戦いです。

この2つの流れが交互に描かれながら、大きな波としてミス・ワールドイベントで交差する。

そこまでに至る流れは1つコミカルで風変わり、しかし一方で真摯で誠実でした。

悪い冗談みたいな暗い時代

時代は1970年のイギリス。

私はミス・ワールドについて正直何も知らないのですが、それでもどんな(どれだけ現代においては醜悪さが目立つ)イベントだったかは結構簡潔に示されます。

ほぼギャグみたいな軽さを持っています。ものすごい怖いとか性暴力が見えるわけではないです。

ただ、冗談としか思えない歪んだ女性の消費が、この時代には当たり前だったということです。

正直めちゃくちゃ悪いやつが出てこないのもテイストをライトにしてくれています。

矢面に立つことになるアメリカのコメディアン、ボブ・ホープ。

グレッグ・キニアが演じる彼は独特の印象を持ちますが巨悪というよりも愚かしい男です。

また主催者エリック・モーリーを演じたリス・エヴァンス。彼は最後の実際の映像の本人まんまバカらしい男ですね。

エネルギッシュでこちらに働きかける

極悪さがなくて、切り込んだテーマに対してライトタッチです。

もちろんそれが気になる方もいるでしょうが、私はこのトーンが作品の題材に対する姿勢を軽くしているとは思いません。

むしろこのような疲れないタッチは運動においても映画においてもこの映画を見た人に対しても、エネルギッシュさをもたらしていると思います。

ダウナーじゃない、次のアクションを起こさせる活発さ、それがとても気に入りました。

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様々な視点と立場の女性を漏らさない

また今作が描きこむ幅についても好きです。

もちろんサリーの家庭のような男性の在り方、女性の労働や就学、ジョーの自由さもあります。でも女性のあり方についてそこで留めない。

サリーの母は家父長制の中で耐え忍んだ

サリーとの口論で巧妙なカメラワーク。

カットバックで言い合う二人と、サリーのキツイ言葉。母も娘のために自身を殺していた。

そこで出ていこうとする母はサリーと同じ画面に入るのですが、二人の間には柱があり隔絶されている。

どちらも自分の娘の生きる世界を思っている。ただ二人は時代に隔てられてしまっています。

口論ではありますが、ここで強調されるのは家父長制に抑圧された2つの世代でありとても切なくなりました。

さらに人種差別の撤廃に向けての動き。アパルトヘイト政策への批判の中、ジェニファーは有色人種の希望を賭ける。

ミス・ワールドは抑圧的ですが、ジェニファーにとっては彼女の人種が存在することを示し、社会と文化的に認めさせるチャンスであるのです。

さらにちょっとした部分ですが、ボブ・ホープの妻の描写も良かったです。

以前の開催では完全に浮気された奥さんが、ボブ・ホープに対して呆れそして騒動では気分良く笑う。

レスリー・マンヴィルがここでもいい味を出していました。

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内側と外側の闘いに身を投じた女性たち

サリーはシステムの内部から崩壊を進めようとするも、大学入学の審査はまともでなくその時すらルックスに点数を付けられる始末。

そして獲得した席も飾りでしかなく、研究テーマもまともに扱われず発言、というか意見を求められることもない。

内部から変えることの難しさ、厳しさそして必要とされる時間をすごく良く感じます。くり返しますが、それがダウナーじゃない。

ふざけるな。じゃあやってやる。

そんな怒りを湧き起こし、行動させるトーンです。

サリーはそこで外部から挑戦するためにジョーの元へ。

ここの二人が協力していく流れも自然に組まれていました。

お互いに「バカ」とか「自己中」とか言いつつ一緒に歩いていくと事か、留置所での会話とか、わけ隔てない友情が素敵。

彼女たちの闘いは・・・

この作品はそんな歴史の中での戦いを、活発な躍動感で描き、誰も取りこぼさないバランスでまとめ上げています。

サリーが願う娘の生きる世界。それは今の時代になっているはず。そしてさらにその娘たちが生きている。

現代においても、ちょっと信じがたいミスコンテントは続いているようですが、それぞれの大会優勝者が全員有色人種だったりと確実な変化を持ってはいるようです。

しかし、「私たちは美しくも醜くもない。私たちは怒っている。」の言葉がやむことはない。

それは家父長制が打ち壊され、女性が自分自身の身体を完全に保有し、誰も口出ししなくなるまでの闘いです。

奇しくもこの映画を見に行った日曜日。アメリカでは中絶を憲法上の権利としていたのにもかかわらず、その50年も続いた判例を覆してしまう判断を最高裁が発表。

非常に多くの女性たちとサポーターが抗議をしています。

自分自身の身体のことを他人がとやかく言い、判断もできないし勝手に対象にされる。

今作でウェーデン代表の女性が持っていた憤り。

今なおも続く闘いですが、70年代に起きたこのような勇気と次世代への想いはちゃんと観て知っておくべきですね。

娘を想ってという点、同じくイギリスで女性参政権のために戦った女性たちサフラジェットを描いた「未来を花束にして」を思い起こしました。

何にしても、ふぃりっぱ監督が見据えている視野の広さと配慮は細やかなのに、慎重さとか堅苦しさもなく躍動感あるトーンになっていて見やすい作品です。

おすすめなので興味のある方は是非劇場へ。

というところで今回の感想はここまでです。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございます。

ではまた。

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