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「真昼の死闘」”Two Mules for Sister Sara”(1970)

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映画レビュー
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「真昼の死闘」(1970)

  • 監督:ドン・シーゲル
  • 脚本:アルバート・マルツ
  • 原作:バド・ベティカー
  • 製作:マーティン・ラッキン、キャロル・ケイス
  • 音楽:エンニオ・モリコーネ
  • 撮影:ガブリエル・フィゲロア
  • 編集:ロバート・F・シュグリュー
  • 出演:クリント・イーストウッド、シャーリー・マクレーン、マロノ・ファブレガス 他

ドン・シーゲル&クリント・イーストウッドによるアメリカ西部劇。

ヒロインには「アパートの鍵貸します」(1960)のシャーリー・マクレーンが出演。

なんだかんだでTVでも観たことがなく、ブルーレイで初めて見た作品になります。原題は「シスター・サラに二頭のラバを」という意味になりますね。邦題の方はあまりあっていないかも。というのも死闘というほどの決闘はないし、そもそもクライマックスの戦いは真夜中です。

王道西部劇よりもマカロニ感のある作品ですね。

フランスによる占領下のメキシコ。荒野を放浪するガンマンのホーガンは、3人の男に襲われていた尼僧のサラを助ける。

成り行きで行動を共にすることになるホーガンだが、シスター・サラはフランス軍に抵抗するゲリラに力を貸すため旅していると言い、彼女からフランス軍の拠点にある金品の情報を聞いた。

政治に興味はないが、上手くいけば大金が手に入ると知り、ホーガンはシスターのお供をすることにするのだった。

アメリカ西部劇ではなく、マカロニウエスタンとしてみると良いと言えるでしょう。アメリカが舞台でないことの他、OP直後の3人撃ち殺しに、イーストウッドがタバコでダイナマイトに点火するなどはまさに。

ホーガンの行動原理がお金で、二つの勢力の中うまく立ち回ろうとするのは「荒野の用心棒」(1964)のまんま。さらにスコアはエンニオ・モリコーネが担当しています。

しかしこの作品、シーゲル監督のバイオレンス感、そのもたれるような重さは抑え目かと思います。

そこにはかわいいシャーリー・マクレーンがいるのです。彼女の立ち回りは尼僧ということで場所に置いては浮き、行動はコミック。

慌てふためき、ぶつくさ文句を言う彼女に対し、押され気味なホーガンが観ていておもしろいですね。この珍道中、目的も主義も違うのに行動を共にするコメディ感は、後の「アウトロー」(1976)につながっているように思えます。

私的ハイライトはホーガンとシスター・サラ2人の狙撃シーン。シスターの肩にライフルをのせ、ホーガンが狙撃するわけですが、あの協力感が良いですね。女性が銃に触れることがあまりない西部劇の中で、撃つ行為に参加するのって珍しく思えました。

そして、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)のフュリオサとマックスでは、男女逆転ですが今作を思い出したのです。

今作は終盤にてシスター・サラのびっくりな真実が明らかにされるのですが、”ass”という言葉のやり取りはコメディだけでなくその伏線にもなっていたわけです。

笑いどころとして色々あったコミカルさは、設定上必然だったのですね。シスターであることの協調としての役割でした。

ラストの攻略戦でも、自由に歩き回り煙草でダイナマイトに火をつけ銃をぶっ放すイーストウッド。

マカロニの雰囲気でありますが、バイオレンスの感覚はやはりシーゲル監督らしく乾いた印象で、多くの死者が出ようと陰惨な印象ではないかもしれません。

それはもちろん、絶えず添えられるコミカルな印象により与えられる部分が大きいと思います。

完全な調和や、スタイルの確立はなされないものの、それぞれの要素がその味を他を邪魔しない程度に合わさった西部劇ですね。ただ、そういう意味では、どれかの要素を存分に楽しむには向いていない作品です。

名無しにしては面白みのありすぎるイーストウッドに、シーゲル監督の暴力感はコメディに茶化されます。

それでも、カップルにはならずに展開する珍道中は面白い作品です。

というところで感想はおしまいです。それでは~

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